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「JKと住職」第3話

由「なんで怒ってんだよ!」 焦る由太郎に手を顎に当てながら考えるるり子。 る「ん~、おじさんのお経が嫌なんじゃない?」「ごめんって謝ったら?」眉を下げてため息をつく 由「そんな簡単な話じゃないだろ」「何か言ってないか?」 る「ん~…『われ いけにえを しょもうす』だってさ」「生贄ってなんかあげる系じゃね?」 るり子は聞き取れたことが少し嬉しくて、由太郎に振り向こうとする。 る「あとは…」 るり子の言葉を遮り、前に立ちはだかる由太郎。 由「るり子…よく頑張ったな。あとは、俺に任

    • 「JKと住職」第2話

      依頼人A「今日は遠くからわざわざすみません…」 由「いえいえ。因縁物は、中には動かせないものがありますからね。出張はよくあることです」 にこやかに話す由太郎に、深々と頭を下げるA。 A「龍山さん、ありがとうございます」「ところで――」 Aと龍山の視線の先には、ズタバの新作ドリンクを飲みながら携帯をいじるるり子がいた。 A「あの方は…」汗 由「スミマセン」「私の助手デス」半泣き 【あの人形事件(?)で出会った鍵谷るり子】 【俺には理解しがたい数々の言動をする、とんでもない今ど

      • 「JKと住職」第1話

        <あらすじ>  霊掃寺(れいそうじ)は、由緒正しき除霊専門の寺である。先人は皆、霊視と除霊で活躍してきたが、新たに住職となった龍山由太郎(27)は、祓うことができても実は霊が全く視えない人だった。なんとかごまかして視えているフリをしていたが、由太郎は初仕事で早くもピンチを迎えていた。心霊番組のロケの休憩中、突然現れたJKにこう囁かれたのだ。「視えてないでしょ、おじさん」  霊が視えるJKと弱みを握られたおじ…住職の物語。 登場人物 〇龍山由太郎(たつやまゆたろう)(27)独

        • 「タコの頂点」第3話

          浅(俺は、あのときからどうなったんだ…) 水「浅田君!」 浅「あ」 水野の声に我に返ったときには、浅田は立ち止って汗びっしょりになっていた。 浅「水野さんはさ…どうやって選抜に参加したのか覚えてる?」 水「私は、気付いたら病院の中で選抜に参加してた」 浅「病院?」 水「私、入院してたんだ。末期がんで」「それで、もう最期だなって一人ベッドの上で目を瞑ったとき、イカの神様のアナウンス聞いたの」「信じられないでしょ。私、こんなに動けててさ」 明るい声で軽いステップを踏む。しかし直ぐ

        「JKと住職」第3話

          「タコの頂点」第2話

          浅「!」 閉じていた目が開く。見慣れた天井が目に入った。 浅「はあはあ」 ベッドに横たわる浅田の影。自分の部屋だと認識するのに、長い時間がかかったようだった。部屋のカーテン、自分の勉強机、と目線だけで追う。重たい腕がベッドに貼り付いたままだった。指がピクリと動いて、シーツに皺を作る。 浅(生きてる…夢だった)(今何時だ…) 今の時刻を確認しようと身体を起こそうとしたとき、右腕に付着した血が視界に入る。 浅「んだよ、これ…」息をのむ。 浅田は急いで起き上がり、身体を確認した。

          「タコの頂点」第2話

          「タコの頂点」第1話

          <あらすじ>  「ようこそ、タコ共。今からタコの頂点を決めるための選抜を行う」人間をタコ呼ばわりするイカの神様(自称)から突然告げられたタコ選抜。ごく一般的な高校生の浅田が強制的に参加させられたのは、第一選抜『玉鬼(たまおに)』だった。鬼から逃げきればよいのだが、浅田がかつて本屋で立ち読みしたデスゲームとは全く違う点が一つあった。死んだら即終了ではない。参加者に与えられる命は3つなのである。2回まで復活できると考える者、2回も死を味わうと考える者が混在する中、可視化や具現化で

          「タコの頂点」第1話