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牛にも、人間にも、双方にやさしいテック導入のその先は?  〜  フードテックの可能性を支援事例から考えてみる(2) ◎地域金融機関さまの取引先支援のお手伝い

株式会社ただいまの佐藤と申します。これまで10年以上、地域の事業者さんの支援を手がけてきました。支援にあたっては、地域の金融機関さんや支援機関の方々とご一緒させていただく機会が多く、静岡、千葉、栃木、長野、京都、広島、福岡、長崎、佐賀などで主に活動しています。

これまで発信させていただいた記事の中で、「地域の「得意」を加速させるフードテック」へのアクセスがもっとも多く、皆様の関心が高いと推察しております。

日々発展するテクノロジーですが、前回の記事でも発信させていただいたとおり、「課題解決のためのテクノロジー」である必要があり、想像を超える、楽しくて豊かで、便利な生活が実現するフードテックには「現場からの目線」も重要だとあらためて感じています。

今回は、弊社の支援先でもある、長野県・長和町の『長門牧場(ながとぼくじょう)』の取り組みから考えてみます。

乳牛がのどかに過ごす長門牧場の風景

農場HACCP認証農場として認定され、これまで50年以上、酪農業及び乳製品加工・販売を手がけている長門牧場には、ベテランから若手まで、意欲的な社員さん、スタッフさんが県内外から集まり、日々懸命に働いていらっしゃいます。牧場で販売される乳製品、特にソフトクリームは根強い人気があります。

おだやかで癒される牧場の風景の裏では、乳牛の飼育に関わるスタッフは、牛舎の近くに寝泊まりし、早朝からの仕事に取り組まれています。その仕事は、地域活性化や酪農の発展に貢献する、というビジョンとともに、やはりご自身が「好き」ではないと続かない仕事だとお見受けします。

「好き」だからといって、無限に手間や時間を使い、仕事ができるでしょうか? そんなはずはありません。働く社員さんやスタッフさんの健康管理も非常に大切です。それは酪農が「好き」であれば、なおのことです。

先日、包括連携を結んだ、交通、観光業などを手掛けるアルピコグループとの取り組みを各新聞社さんに記事にしていただきましたが、産経新聞さんには、酪農の現場の目線も加えて、素敵な記事にしていただきました。

「牛にやさしい」長門牧場とアルピコグループがタッグ 商品や野外レジャーなど共同開発へ(産経新聞 22.7.22)

自動搾乳機の写真も掲載いただきました

長門牧場でも、最新鋭の自動搾乳機を導入。24時間稼働をしています。決まった時間に人間の手で乳牛から搾乳するのは大変な仕事です。この搾乳機のおかげで、搾乳の作業は省力化されたようです。

ちなみに乳牛は、自分のペースで、好きなタイミングで自動搾乳機に入り、それぞれの乳牛の形を認識できるシステムにより自動で搾乳されるため、乳牛自身のストレスが少なくなるとか。その分乳質も上がるようです。

このシステムの導入のおかげで、搾乳だけでなく、餌やりや糞の掃除まで自動化されたが、その分人間の仕事が楽になった、というわけでもなく、さらにストレスの少ない環境で乳牛を育てるための研究を重ね、試行錯誤を続けているとのことです。

つまり、このテックの活用により、人間がやるべき仕事を積極的に見つけ、そこに取り組む時間をしっかり確保されている、わけです。

また、乳質が上った分(美味しくなった分)だけ、今後の製品としての販売の際に、増えた付加価値分だけ価格をプラスすることは可能でしょうか?

フードテックの活用を、省力化による「コストダウン」だけでなく、「付加価値の向上から価格のアップ」をしっかり狙うべきだと感じました。

そこまで狙えれば、フードテック導入の価値が、さらにアップするのではないかと思います。

今後の見通しが立ちにくい環境の中、カンタンな取り組みではないことは理解しているつもりですが、チャレンジしたいと考えています。

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お忙しい中、長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。よろしければ、こちらもご覧ください!

https://note.com/tadaimainc/m/md9ef36efc7ab


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