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ブランディングとは、好きになって、買ってもらうこと◎地域金融機関さまの取引先支援のお手伝い〜支援に役立つ書籍と使い方(6)

株式会社ただいまの佐藤と申します。何度か自己紹介させていただきましたが、これまで10年以上、地域の事業者さんの支援を手がけてきました。支援にあたっては、地域の金融機関さんや支援機関の方々とご一緒させていただく機会が多く、千葉、長野、京都、広島、福岡、長崎などで主に活動しています。

地域の金融機関のお役に立てればと思い、このコンテンツをスタートして、今回で6回目になりました。

先日も弊社と長くお付き合いさせていただいている取引先から「勉強になっています」とストレートにうれしい感想をいただきました。ありがとうございます。

これまでの繰り返しになりますが、地域の企業の支援にあたり、地域の金融機関さんがよくおっしゃる「銀行員で何も事業のことがわからない」「銀行業務以外のことは不得手である」といったことについて、何かプラスになればうれしいです。銀行の複雑な業務がこなせる方は、いろんなことができるはずだと私は思っています。

多忙な金融機関の皆様には、事業アイデアの提供のために割ける時間も限られていると思います。そんな中でもまずやっていただきたいのは、参考になる書籍を読むことです。読んで、知識を高め、その知識を実際に使っていただくことです。

第6回目も、よくある相談のひとつ「ブランディング」がテーマです。

ブランドづくりに必要な「要素」を、シンプルに整理し、わかりやすく教えてくれるのが、第6回目の本です。

『USAMIのブランディング論』 。

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出版されてかなり時間が経ちますが、私はいつも私のデスクに置いて、新規支援案件に取りかかるとき、取り組んでいる案件がやや行き詰まったとき、などに読み返しています。

私もこれまで、さまざまな「ブランディング」に関する書籍を読んできましたが、根幹に触れず表面的な「デザイン」や「広告展開」を紹介しているだけだったり(自社メソッドのプロモーションかな?)や、「ブランディング」を和訳しにくいカタカナ用語でえらく複雑に解説していたり(著者も分かって書いているのかな?)といった本が多く、いざ現場で支援に活用しようとしてもこれじゃ難しいな、と感じていました。

その点、本書は「ブランドは、難しくない」「ブランディングとは、好きになってもらって購入することだ」とゴールを明確にしています。前回の記事ブランディングでは『大は小をかねない』では、ブランディングに必要な要素の1つが「共感」だとご説明しましたが、宇佐美さんはより深化した「好感」だとおっしゃっています。そうなんです。ブランディングは「好きになってもらう」ことでもあるんです。

実際の支援の現場において、私が考える本書の活用ポイントですが、

ポイント1:まずは支援先の取り組みを、ブランディングの視点から逆算して正確に把握する

ブランドの現在位置を把握するための「1B5C」の6つの要素(本書P74)。弊社も、支援先のお話を聞く際に参考にしている項目です。支援先と「ゴール」を定める際、その支援先が「どんなお客様に好きになってもらい、いくらぐらい稼ぐのか」を具体的に検討します。その実現可能性を検証するために、まずは支援先の現状を正しく認識する必要がありますが、その時にこの6つの要素で現在地を見定めます。

ポイント2:ターゲットの本音(=インサイト)をできるだけ深く、個別かつ具体的に把握するよう意識する

本書のP43でも紹介されている「インサイト」は、ブランディングはもちろん、事業計画の立案、その売上の確からしさ、商品やサービスの魅力度を測るためにも理解しておきたい要素です。インサイトとはつまるところ「ターゲットの本音」です。相手の本音がわからなければ、自社を好きになってもらうための手立てを思いつけません。どうしても一般論から派生した、表層的な施策に終始するはずです。少し回り道に感じるかもしれませんが、目先のメソッドに飛びつくのではなく、ターゲットの本音をきちんと探り、どうやったら好きになってもらえるか、そのヒントを把握することが、本当に重要です。そのためには、ターゲットとたくさん「会話する」ことが大切です。グループインタビューやWEB調査だけではわからない「本音」は、なにげない会話から拾うことができます。

ポイント3:使える道具はシンプルです。ブランディングに必要なのは「ODEN」だけ

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これが、ブランディングに必要な要素をまとめた「ODEN」チャートです。これまで弊社の支援先でフル活用し、成果を上げてきました。特にこの図が秀逸なのは「ターゲット」の設定です。「どんな世代の人か」と「その方のどんな生活シーンの場合か」の掛け合わせで、より「本音(インサイト)」を意識して、実践的なブランディングのアイデアを産み出すことが可能です。これをP65の「ブランディングアイデア」のチャートと組み合わせて考えることをおすすめします。

本書の活用にあたっての注意点〜現在の環境を踏まえて

本文では「広告会社の話」がそれなりのボリュームで紹介されていますが、金融機関の皆様の取引先支援においては、そこは読まなくてもいい部分かな、と思います。

もう一つ。少し前の本であるため、近刊本のようにインターネットやSNSを介したコミュニケーションの事例紹介は、ほとんどありません。(その部分について参考になりうる書籍は、また別の機会にご紹介したいと思っています。)ですが、ゴールを明確にした上でブランディングをスタートさせるということの必要性は、本書が出た頃も今も、全く変わりません。

以上、詳しくは本書をお読みいただければ幸いです(60分ほどで読了できる読みやすさです)

次回は、飲食店のメニュー開発などで参考になる書籍をご紹介する予定です。今回も長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

作成者:株式会社ただいま(サイトはこちら

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