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ブランディングでは『大は小をかねない』◎地域金融機関さまの取引先支援のお手伝い〜支援に役立つ書籍と使い方(5)

株式会社ただいまの佐藤と申します。何度か自己紹介させていただきましたが、これまで10年以上、地域の事業者さんの支援を手がけてきました。支援にあたっては、地域の金融機関さんや支援機関の方々とご一緒させていただく機会が多く、千葉、長野、京都、広島、福岡、長崎などで主に活動しています。

地域の金融機関のお役に立てればと思い、このコンテンツをスタートして、5回目です。

想定より多くの方からの反応をいただき、うれしい限りです。

地域の企業の支援にあたり、地域の金融機関さんがよくおっしゃる「私は銀行員で何も事業のことがわからない」「銀行業務以外のことは不得手である」ことについて、何かプラスになればうれしいです。銀行の複雑な業務がこなせる方は、いろんなことができるはずだと思っています。

多忙な金融機関の皆様には、事業アイデアの提供のために割ける時間も限られていると思います。そんな中でもまずやっていただきたいのは、参考になる書籍を読むことです。読んで、知識を高め、その知識を実際に使っていただくことです。なんともアナログな手法ですが、、、Kindleなどの電子書籍も活用すればスキマ時間ででき、お金もそれほどかかりません。

このコンテンツを読んでいただいた地域金融機関の方からも「実際に書籍を購入して読んでみた。わかりやすかった。職場でも薦めようと思います。といったコメントもいただいています。本当にうれしいです。

よく尋ねられる相談の上位「ブランディング」が、第5回目のテーマです。

ブランドづくりに必要な「本質」をわかりやすく教えてくれるのが、第5回目の本です。

『食卓の経営塾 DEAN&DELUCA 心に響くビジネスの育て方』です。

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「ブランディング」というと、とかく、「優秀なデザイナーにお願いしないと」とか「大規模な広告費を積まないと」といった、お金がかかる方向に話が向かいがちです。しかし、地域企業の状況からすると、必ずしも資本が潤沢であるとは限りません。むしろ限られた予算の中で、効果的な手を打たなければならないケースがほとんどです。そうした場合に「ブランディング」を考えるとき、大切なのは予算規模やメディアの大小ではなく、より本質をついた取り組みや支援であるかどうか、だと思います。

DEAN&DELUCAさんのエコバック(キャンバスバック)は、街を歩けば、持っている人を見かけない日はないくらいの人気商品です。キャンパス地にロゴが入ったデザインは、持つだけでさりげなくスタイルが決まります。が、それ以上に素敵なのが、お店の空間です。

美味しそうに盛られたデリやスイーツに出迎えられつつ、パッケージなどの「映え」もさることながら、見るからに美味しいであろうことがわかる、国内・海外のさまざまな食材や調味料、コーヒーやお茶、お菓子に囲まれて、どう食べる?いつ食べる?誰と食べる?と想像を巡らせながら選ぶ楽しみを、心ゆくまで満喫できる。私も、お店に入ったら最後なかなか出ることができない、本当に素敵な空間です。

弊社が地域企業のブランディングを支援するときに大切にしているのが「共感=それわかる!」と「記憶=こんな感じ?」です。DEAN&DELUCAさんの店内ではこれまで、弊社が支援する食や農の事業者さんとおじゃまして、いろんな新しいチャレンジをさせていただいていますが、事業者の皆さんからは「共感=美味しいものの作り手を大切にしてくれるいいスタッフといいお店だ!」「記憶=世界中からみたことない美味しいものが天井まで並んでいる楽しい空間かな?」といった感想をいただくことが多いです。事業者がそう感じる、ということは、おそらくお客様も同じように感じているのではないかと思います。

ブランドの支援にあたってのポイントですが、

1.「コストバランス」だけで事業を評価しない

もちろん、利益が出なくていい、という意味ではありません。私が支援の現場でしばしば耳にするのは「デザイン費用は高額だし、中身は変わらないいんだったら、どんなデザインやネーミングでもいいんじゃないですか?」という意見です。特にベテラン勢からの発言が多いです。このビジネスや商品が他と何が違うのか、一目でわかるようにして、共感、記憶していただくためにはデザインが必要ですが、高いからやらなくていい、とか、逆に、高いほどいい、ではなく、デザインにかかるそのコストに「適正な投資価値」があるかどうか、なのだと思います。

2.他者の情報で組み立てられていて、経営者自身の直感や思いが詰められていない「企画書だけキレイ」な事業計画には注意

先ほども書いた通り、ブランディングには「共感」と「記憶」が必要です。特に共感がなければ、ブランドにはなりません。その共感を生む要素は決して「他人事」からは産まれてきません。やはり経営者自身の想いが全ての起点になると思います。これまでたくさんの事業計画書を読ませていただきましたが、経営者の方の想い起点のものかどうかは、読めばすぐにわかります。そしてその起点の違いは、ゆくゆくは事業の成否を分けるタイミングで大きく影響してくるということも実感しています。もちろん、データを軽視して良いわけはなく、その直感を具現化するための検証として、他からの情報をフル活用する、という順番だと思うのです。

3.スマホサイズじゃない、アイデアを

DEAN&DELUCAの横川社長は、アイデアをあえて「手書きする」ことにこだわっていらっしゃいます。例えば下記です。

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わからないことがあれば、即座に調べることができるスマートフォンは本当に便利です。アイデアをパワーポイントのプレゼンシートにまとめると、いい感じに見えます。でも、最初からコンピューター上で考え始めると、そこで表現可能なことしか考えつかない、といったことが起こるかもしれません。そこへ行くと、紙とペンには自由があります。あえて、手書きのメモで発想を広げる。広げたアイデアにさらに手書きで上書きしてアイデアを広げる。想いが起点のアイデアを事業という形に、なるべく自由に表現していく過程では、そういった手触りのある作業が必要だと思います。

ブランディングでは『大は小をかねない』

本書の中では『すかいらーく』の創業者でもある、横川社長のお父様のお話や、すかいらーくで過ごされた時間の変化が紹介されています。それを読むと、横川社長が「個店がライバル」とおっしゃる意味がよくわかります。どうしても企業規模が大きくなると、かつてあったブランドの価値が薄まってしまう、、、好きだったお店やブランドがそうなっていく姿を、私もいちユーザーとして見ながら、残念な思いを何度もしてきました。

その一方で、地域の金融機関さんに支えていただいている「地域のたった一つのお店」が、地域の人の流れを変える、豊かな生活に繋がることも、たくさん経験してきました。今は新型コロナで大変な状況ですが、そんな「地域のたった一つのお店」を、このnoteをお読みいただいている皆さんにも支えていただければうれしいです。

今回も長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

詳しくは、本書をお目通しいただければ幸いです(90分ほどで楽しく読めます)

次回は、ブランドづくりを、もう少し体系立てて理解できる書籍をご紹介する予定です。今回もお読みいただき、ありがとうございました。

作成者:株式会社ただいま(サイトはこちら

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