緑のフィーカの会(第2回2023/11/19)〜里山との関わり方〜

第2回の緑のフィーカの会を開催しました。今回は里山の研究をしている新里さんをお呼びして里山、農村を通したこれからの地域のあり方をフリートークしました。前回はどう運営していくかというような話がメインだったので実質的には今回が初回みたいなものでした。

新里さんは大学で農村と人との関わり方などを学んでいましたが、座学だけに取り組んでいても、しょうがないので南相馬市で再生可能エネルギーなどの取り組みを含めたフィールドワークに参加したとのこと。
そこで津波が起きて、地域の未来を考え、様々なものを喪失してしまった街を復興していく人たちを見て、そこまで真摯に何かを思える地域はなかなかないという原体験から「初めに地元に対してどんな風に感じているか」というお題をいただき、話を進めました。

地元に対してどんな風に感じているか

参加者の中で地元に対しての想いをそれぞれシェアしました。
やはり、皆さんそれぞれ地元に対してはそれなりの愛着がありました。一方居住地が分散していた方からは愛着がそれぞれ分散しているという話も。

人と地域がつながる要素とは。

人と地域はどんな関係性を持っているのでしょうか。どうして地域を魅力的だと思ったり、移住するようなきっかけが生まれるのか話しました。

お祭りや地域の活動が重要

自然というより人の営みが見える商店街に愛着があった。チェーン店になると淋しい気持ちになる。

喪失体験、相対化されることによって地域の魅力が再発見されることは多い。外に出て、戻ってくるというのは昔は忌避されてきたが、今では地方でもその重要性は語られる。そうした中で何が地域で起きているかを知る。地域で根ざした学習が大事になってくる。

地域の関わり方は下記の大きく2つに分類できるのでは。
・土地の持つ魅力
・自分が主体的に関われるのか

人、仲間とのつながりによってその土地とのつながりも生まれくる。

自分ごとの範囲があるが、東京はいろんなものの関係性が薄く、孤独。一方、地域は自分ごとの範囲が広く地域とのつながりを感じられる。周りを見て、物をシェアし、裏山も庭のようになる。そういう集落的な活動が里山的でもある。そうした手入れにも前向きな人が多い。

都会は生物との距離が近い。人も情報も全てが近い。近すぎるからブロックしてしまう。地方にいけば全体的に距離が遠くなるからその分自分ごとできる範囲も広がってくるのでは。

脅威を感じること

最近、熊がまちに出てきていて大きな問題となっており、都会と自然の関係性を考え直すタイミングになっています。こうした問題の根本には里山の荒廃や近くにある自然が失われてきていることがあります。そうした問題意識もあり、脅威について議論が発展していきました。

2019年の台風19号で、長野や仙台など多くの街で川が氾濫し、大きな被害を受けた。東京も直撃だったがそれほどの被害がなかった。都市計画が優れていると言えるが、ある意味自然の脅威を感じにくくなっている。
津波や噴火など自然の循環作用は、大きな被害を与えるが同時に恩恵も与えてきた。そう言う自然への畏怖が、自然への信仰心となり、アミニズム、土着の文化を生み出してきた側面もある。

人間の大きさは所詮1m、2mで自然にいると自分より大きな存在を感じる。都市にいるとそれは構造物になるが、人間の努力は感じるが畏怖は感じない。

自然怖いという反乱で都市ができたが、それをしたら生きにくくなった。
これまでは人と自然が近すぎて、都市を作ったが、その中間の領域が大事になってくるのでは。そうした時に農村や里山がその中間になるのでは。

イノベーションとは何か。イノベーションが起きる時は絶対的にいいことと同時に悪いことが起きている。自動車が生まれた時、馬がすごい規模でなくなった。

自然の脅威を思い出すのが大きな価値観シフトのきっかけとなっている。東日本大震災やコロナを機に若い世代が地域に出てくる動きが生まれている。

神にはなれないと気付く。これからまた地震などの災害があった時に里山がどう管理されているのか。価値観がシフトされたときの受け皿となりうるのかが大事。

過疎地、里山をどう管理していくか

里山の管理は大きな課題となっている。また一部の地域は限界集落となっており、これらの地域とどう向き合っていくかは里山をどう持続的に管理していくのかとも繋がってきます。

里山はコモンズとして自分ごとの範囲を感じながら手入れをしている。ただそれにも限界があり、ビジネスの視点を必要としている。地域経営、里山経営とも言われている。人とお金の持続性が重要になってくる。

泥田んぼバレーボールというようなイベントも実施されているが、単発的で自然の管理は手間暇がかかる。

自然そのものを資本にとして捉えることが重要ではないか。そういう価値観が生まれないとなかなか持続的にならない。身近にある自然の中に思いがけない価値が出てくる。

これから人が住まなくなる集落が増えてくる。守るべき農地と計画的衰退を進めていくというような動きもある。村納めという概念があり、村の営みをアーカイブ化して建設的に村を閉じていくということも考えられている。一方、土地には人の想いが乗っかる側面もあり、計画的衰退も簡単な話ではない。

自然に任せた衰退はインフラ維持の問題が出てくる。一方、守っていきたい文化、その土地の自然にしかないものがある。

山形の黒松林を管理していた事例がある。知の継承ができなくなって、廃れていった。体験として継承されるのが難しく、継承1つをみても伝承がどのように継承されていくかはよく考えないといけない。

サーキュラーエコノミーに見られるように街ぐるみで何かを進めていくことが重要では。薪ストーブを進めていくことで薪がみじかになり、木の管理が進んでいくというような循環が生まれるといい。

里山が衰退することで熊が近くに参入してくることも考えられる。自然災害も同様の問題。自然と都市は分けきれない。地域を閉じて、里山が廃れることのリスクを念頭におく必要がある。

自然には3つの形があるのでは。
・手付かずの自然
・里山、農村のような管理された自然
・ガーデニングや公園のような人工的な自然
30by30のような手付かずの自然を増やす動きも広がっているが、里山が荒廃していくことが生態系や人にどのような影響与えるか考えていくことが重要では?

廃村化した生物多様性の研究がある。大きく2つのパターンがあり、ススキなどの草が生えるか、木が生い茂るか。しかし、結論としては管理してる方が生物多様性が高い状態。

土着の文化は移転できないのか

土着の文化は移転ができないのでしょうか。移転ができるならば、もしかしたら計画的な衰退が可能となり、限界集落への解決策の一つになるかもしれません。

福島原発の事故。放射性汚染で国が土地を買収しようとしたが、強い住民からの反対があった。結果的には強制避難区域に指定されて住民は戻ってこれなかった。合理的に考えると買収したほうが国にとっても、住民にとってもよかった。合理性だけでは解決しえない感情というものが入ってくる。

日本沈没というドラマで日本が沈没すると知っても海外に移動できない人がいた。生命よりも文化や生活が重要になる場合があるのでは。

大規模移動は難しい。人間の営みが地域の持つ生態系の一部となりうる。移転に近いことはできるかもしれないが、文化は心の持つ風景であり、土地とそこにある文化を切り離すことはできない。

森との関係性について技術革新が必要ではないか、自然との関係性で起きれば生活感は変わるかもしれない。

仙台に住むのも名古屋に住むのも都市生活という点では対して変わらない。ただ地域になるとそうはいかない。

機能的な側面と愛着的な側面がある。地域には時間、歴史性など紡がれてきたものがある。

どうしても計画的な衰退は感情が乗ってしまうので、結局自然淘汰が限界集落への最も納得のいく解決策では。

自然とどういう距離感でいるのか、どういうあり方が心地いいか。

最後にまとめ的に自然との距離感やあり方について此処が考えているものについてシェアしました。

区分けできる範囲でできることを考えていく。

移動と森の技術革新を願っている。自然豊かなところで都市の生活も得られるような技術を考えていきたい。

人間が自然の価値を思い出している。自然が脅威、恩恵。崇拝の対象。最近大切さを感じつつある。多くの人が成長とかから一歩抜け出した世界に行けるといい。

都市における自然というよりは、里山があるといい。土着の文化は難しいが、若い世代は守りたいという価値観が縮んでいる気もする。変わらないものと変わっていかなきゃいけないもののバランスを考える必要がある。

里山はある意味、人が生態系に混じった世界であり、その点は非常に興味深い。一方都市生活に慣れきった自分が関心の範囲を広げて里山を自分が管理できる自信はない。

いろんな場所にいったりきたりがすごい大事。殻が固定化されてしまうので、拠点をどこに置くのか。いろんなところに関わっていくことが大事。そういう機会を作ることをしたい。その上でどうそこに来たいと思ってもらえるのか。そういう場を提供できるようにしたい。
移住はハードルが減ってきている。移住ではなく引っ越しくらいの感覚。自分の人生をかけて関わっていく。循環の中で暮らせるという選択肢を残していきたい。

以上、里山との関わり方でした。次回は少し先の1月になります。次回の報告もお楽しみに〜

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