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誓い

恥の多い生涯を送ってきました。
君も、恥の多い人生を送ってた。

私たちの本当を他の人に話したら誰もが
「生きている価値ない人生だ」っていうような人生だったね。
君も私も、人間失格の刻印が押されていることを気づかれないように生きてきたよね。

どうして私たちが苦しんでいけない方なんだろう。なんで苦しまないといけなかったんだろう。

違う。

私たちが悪い子なのが悪かったんだ。
浮気なんかして最低だよ、愛する資格も生きる資格もない。君が私の命を救っていたとしても。
彼女がいる君を好きなった私は、許されない。

いい子が救われる世界。私たちが悪いとされなければいけない。許されてはいけない。私たちが世界を救ったってことにしとこう。誰にも理解されない私たちが生きていられるような言い訳は、私たちの中だけにしとこう。
私だけだと思っていた辛さを、君も持っていた。私だけじゃなかった。ひとりじゃなかった。
もう、寂しくない。君がいた、その事実で十分。

太宰治が好きな私は、太宰治に似ている君に死ぬ気で恋した。
人間失格でいうと、君は「葉蔵」、私は、、、。
本当は、ヨシちゃんになりたかった。あの天真爛漫な葉蔵のことを信用しきっているあの子に。
君のことをずっと思い続けていたかった。信じてたかった。それは小説の中での話...。

時間が経てば私たちの思い出は、嘘になってしまうかもしれない。なかったものにはできないけれど、君と私はなかったものにしたくなるかもしれない。


でも、でも


君と手を繋いで歩いてたこと。
1本のたばこを交互に吸ったこと。
雨の降る渋谷にて深夜一時、相合傘をして牛丼とお酒とたばこを買いに行ったこと。
渋谷駅で人に隠れてくちづけしたこと。
結婚向いてないねって笑いあってたこと。
君が私をお姫様扱いしてくれたこと。
他の人に理解されにくいマイナーな映画を2人で感動したこと。


消したくない。消えないで。あの時の私は、最高に最悪に幸せだった。

君と私は共通点が多かった。私たちは、似ていたんだ。
でも、私たちが長くそばにいられる関係は見当たらなかった。私たちはどんな関係であったら傍にいられたのだろう。一緒にいる選択肢なんてなく、初めから別れるために出会ったのかと思うほどだ。
君と出会うのが春じゃなくてよかった。あの優しくて柔らかい春を嫌いに、思い出すことが辛くなるところだった。君と出会った季節は、冬と春の間。
この時期に名前はない。私たちにぴったりだ。

この幸せな思い出はここに置いて、私は君のいない世界で生きる。
もうこんな最低な自分たちを上書きをする。
この罪も幸せも抱えて苦しんで生きることを覚悟した。
だから、どうかここに残すことをお許しください。
もう君には会わない。連絡しない。
1人でこんな決断したら揺らいでしまうから、読んでくれた優しいあなたに誓います。絶対に裏切りません。
読んでくれたあなたには意味わからない文章だろうに、ここまで文字を追ってくれてありがとうございます。その優しさに救われています。
どうか、そんなあなたに眠れない苦しい夜なんて来ませんように。

さようなら。大好きだったよ愛人。
君との約束果たしたよ。君と私を言葉に残すってこと。
君がこれを見つける暇がありませんように。
どうかお元気で。

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