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わたしとたばこ

たばこ嫌いな人多いですよね。
体に悪いし、値段高いし、臭いし。分かります。
私もそっち側でした。今は喫煙者ですが、

自分で言うのもなんですが、私は小柄でふわふわしている振りをしているので第一印象喫煙してることに驚かれます。お酒は平気なのに、たばこ買う時だけ百発百中で年確されて困ってます。

たばこの馴れ初めは人それぞれで聞くのが好きです。特に恋愛が絡んでいると聞いてる分には楽しくて仕方ありません。と、他人事にしたいのですが、私も恋愛絡みのたばこデビューです。「たばこ」という単語だけで勝手に感傷に浸れます。

今まで生きてきた中で、いちばん好きだった人が吸ってたんです。
その好きな人の前に付き合っていた人も喫煙者だったんですか、匂いとイキリ方が嫌いで私の前で吸わないでって言ってました。笑

でも、その好きな人は普段吸ってることを察させないほどのいい匂いを身に纏っていました。数回会った時に初めて喫煙者であることを知ったくらい。
喫煙所に行く間、私を1人にさせたくなくて我慢してくれていたみたいです。


君がたばこを吸ってる姿を初めて見たとき。
その姿、なんか知ってる。見たことある気がする。

あ、私だ。

腕を切り刻んだり、ODをしたり、自分を傷つけたくないのに傷つけてしまって寂しそうにしてる、その表情。
たばこだの浮気だの、自傷することでしかストレス発散方法を知らない不器用な私と君。

たばこを吸っている時は、天国でも地獄でもない。
吸う度に、死に近づいているように感じる。
唯一の私たちの免罪符。

そんな君が「ん、」
と吸っていたたばこを私の口の前に差し出した。
私はそのたばこを軽くくわえる。

「深呼吸するみたいに吸ってから、また深く吸って」

君に言われるようにやってみるが全然分からない。
私がたばこを吸ったのはこれが初めてだった。

「思ったよりまずくないんだね。おいしい」
もう一口ちょうだい、と君に言うと、
「まじで言ってる?才能あるよ」と引かれた。ひどい笑


君とばいばいして、連絡がきた。
「また一緒に吸おうね」

君との口約束がまた増えた。
好きな人からの口約束ほど、頭と人の心に住み着くことはない。また1つ学びました。
口約束にしない、約束を叶えてくれる。
こんな私でも大切にしてくれる人を見つけよう。
何回も君と会うのを最後にする覚悟を決めた。
たばこやめる覚悟と同じくらいに。


3週間だけ禁煙したことがあります。けれど、吸っている時より君のことを思い出していて、それが気に食わなくて短い禁煙生活は終止符を打ちました。
吸っても吸わなくても君のことを思い出してしまうならどっちでもいい。
でも、今は君のために吸ってるんじゃない。
自分のストレス発散のために吸っている。
おかげで、自分の体を切ることも、ODも今のところしてません。

人のせいにできなくて、自分を責めてしまう。自分の中でストレスを溜め込んだりしてしまう人ほど、自傷の沼にハマりやすく、自傷の才能があるように感じます。私調べですけど。

だから、私は、唯一のあなたを救う方法をあなたから取り上げることはできない。どんなに体に悪いことでも。
「頑張ってきたんだね。私が君のことを救いたい。幸せにしたい」

と言いたいけれど、口約束で君を救えるわけがない。悔しいが私はここにいて、君が求めてくれた時にだけ寄り添うことしかできない。

たばこを辞めたいと思えるような人に出会えたら素敵なのかもしれないけれど、そんなヒーローみたいな人はきっとどこにもいない。自分で自分を止めてあげるしかないんだ。
いつか、いつか自分のことを大切にできたらいい。
そして、誰かそんな自分のことを大切にしてくれたら死ぬほど感謝をして、その人のことを大切にしてあげよう。愛してあげるんだ。

本当はそれが、君が良かった。なんてね。
これは夢の中かな、おやすみ。

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