有吉佐和子『青い壺』
普段読むものと言ったら、断然ノンフィクション系のものが多いのだが、2週間前ぐらいから小説尽いている。
きっかけは、有吉佐和子の『青い壺』。
最近装丁を新しくして文春文庫から復刊したとのことで、よく売れているよう。Xのタイムラインに書店の「今売れているベスト10」のようなランキングが流れてくるが、複数の書店でランクインしているのを見かけた。
話は、ある無名の陶芸家が作った青磁の壺が、次々と色々な人の手に渡り、その作家のところに戻ってくるまでのオムニバス形式の短編集。
初版は昭和55年なので、女性の描かれ方などに関しては「今、これは絶対にありえない」というような部分もあるが、それを除けば、page turnerで、実に面白い。
最近の小説には、何かというとLGBTQや虐待を題材にする傾向を強く感じるが、この『青い壺』に出てくるのはもっとささいなちょっとしたやりとりや出来事だけ。
それでも読者をひきつけて離さない。これが筆の力というものだろうか。
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