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発刊順:5 ポアロ登場(短編集)

発刊順:5(1924年) ポアロ登場/小倉多加志訳

クリスティー初の短編集。
1921~24年にかけてポアロが手掛けた初期の事件14篇。
クリスティーは31歳~34歳くらいです。まだまだ若いですね。

 訳のせいもあるかもしれないが、どうもポアロの言葉遣いなどが雑で読んでいて気になる。ヘイスティングズも同様。

 殺人あり窃盗あり誘拐事件あり、多岐に亘る事件の謎を解いていくポアロ。短編なので、割とすぐに真相にたどり着いているのにわかっていないふりをして、ヘイスティングズをからかいながら証拠を固めていく…という軽やかな事件簿。

ポアロは、

 「なにもロンドンを離れる必要はなかったのです。自分の部屋で静かに腰をおろしていれば、それで充分だったでしょう。要はすべて、この中の小さな灰色の脳細胞ですよ。脳細胞はひそかに、そして黙々と、任務をはたしていきます」

本文より

そう、おきまりの『灰色の脳細胞』がポアロの最大の武器なのです。

 ヘイスティングズは、「物語の語り手ということをのぞけば、自らの愚かさをあらわにすることによって、ポアロの聡明さを引き立たせること」が最大の役割なのだ。だから、彼がどんなに愚鈍な行為をしたとしても、それは黙々と、彼の任務をはたしている…。

 ま、そんな2人の掛け合いも楽しみつつ、いろいろなタイプのミステリを堪能できます。

 

HM1-32 昭和58年9月 第9刷版
2021年12月12日読了

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