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『だから古典は面白い』

音楽においても文学においても、時代を超越した作品が「古典」であり、それらはいつの時代においても、決して古くなることはない。

半年前、『戦争と平和』を買ったものの結局読まずじまい。
”古典文学は読むのに体力が必要だから、若いうちに読んでおいた方が良い”
と言われ、なるほどと思い購入したのだが、モチベーションが上がらず……。

そして本屋さんを徘徊していた際にこの本を見つけた。
『だから古典は面白い』著:野口悠紀雄

章ごとにテーマがあり、そのテーマに沿って文学作品がいくつか提示され、それぞれ大まかなあらすじと筆者の解説が書かれている。
特に心惹かれた章が以下の2つ。

第5章:アンナカレーニナの世界

『アンナ・カレーニナ』を読んで何を得られるか?
という問いに対して筆者は、

『アンナ・カレーニナ』には『戦争と平和』のように大きな歴史の流れがないし、この本を読んだからと言って、生き方を学ぶことはできない。
一方で、いろいろな人生があることをこの本を通してみた。登場する人物はほとんど貴族社会の人々であり、われわれの生活とは基本的な条件が違う。それにもかかわらず、彼らの生き方を見たことは、私の人生を豊かなものにしてくれた。
さらに、『アンナ・カレーニナ』を読んでいる人とそうでない人には大きな差がある。これは読んでいるから偉いということではなく、”経験に差がある”ということ。疑似体験に過ぎないが、VRなどというオモチャで見る映像などは足元にも及ばない世界だ。

と述べている。
この言葉が印象的で、これは文学作品そのものの価値を示していると思う。確かにアンナ・カレーニナである必要はないが、やはり時代の淘汰をくぐり抜けてきた「古典文学」には、その価値が比較的高いのかもしれない。

第8章:現実にはあり得ない世界で遊ぶ

この章、とにかく面白かった。
いわゆるSFの文学作品をいくつか紹介しているのだが、その解説が本当に見事で、そういう楽しみ方があるのか……と、とても参考になる。

私の文章力で全部書くと面白くなくなるので、紹介されていた中で読んでみたい!と思った本を一つだけ。

『宇宙のランデヴー』著:アーサー・C・クラーク
これはもう、絶対読む。
西暦2130年、太陽系に近づく謎の物体が発見されたというストーリーなのだが、ここで描かれていたこととそっくりのことが、2017年に起こったという。実際にその時の記事を読んでみたのだが、衝撃だった。
私はこの類の話が大好物なので、この本は読むと決めた。

とても腰が重いことには変わりないのだが、時間のある学生のうちに、この本で興味を持った作品に挑戦してみよう。という気になれた。

『だから古典は面白い』は、確実に「きっかけをくれる本」。プロローグからエンディングまで、筆者の言葉からは学ぶことが多かった。

ヘッダー:アーティゾン美術館/東京
写真1:国立科学博物館/東京
写真2:ウユニ塩湖/Bolivia


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