見出し画像

「桂林の日本人宿で妥協を許さぬ手巻き寿司作り」

世界一周49日目(8/17)


寨山旅館 (ラオジャイ山旅館)のすぐ裏手には林さんが1600万円もの私費を投じて作り上げた展望台へとつづく石段がある。

僕と先輩は雨が弱まるのを待って石段を登り始めた。

色々な人がクチコミやブログにここから臨む景色は最高だと口を揃えて言ってきただろう。だけど僕に言わせて欲しい。

道がマジで険しいから!!

画像1

「大学のときは速記研究会に所属していましたぁ」みたいなヤツは途中で泣いちゃうんじゃないか?

『滑って転んだら死ねる!!!』と僕は石段を登りながら何度も思った。

晴れていればもっと登りやすかっただろう。だけど僕たちは雨の中を登って行ったのだ。

前なんて見てる余裕はなく目の前の階段を一歩ずつどこに足を置くかを考えてただひたすら足を石段に乗せていった。

やっとのことで「友好亭」という名前の展望台にたどり着いたが雨のせいで靄(もや)がかかり、遠くまで見渡すことはできなかった。

いつまでたっても雨はやまなかった。

僕はアドレナリンをドクドク分泌させながら同じルートで山を下った。

画像2



寨山旅館 (ラオジャイ山旅館)のご飯はめちゃくちゃ美味しい。中国人の奥さん、ビンビンさんが作る料理を見た瞬間、僕は日本の我が家を思い出した。

自分の家にいるような。それでいて母親が作ってくれる栄養満点のご飯のような。いつも7元のラーメン、高くて13元のご飯を食べている僕にとってここのご飯は最高の贅沢だった。何より味付けが凄い!

まあそんな調子でバクバク食べてるもんだから5キロも太ってしまったのは、もう少し旅をしてから知ることとなる。


この日は先輩がお返しに寿司をごちそうすることになっていたので僕と先輩は興坪 (シンピン)の町で材料探しをしに行った。

市場で犬の丸焼きを見た時はビックリした。思わず一眼のレンズを向けたけどバーナーで焼いてるおっちゃんが手で制したので写真は撮れなかった。

買って来たのはガリを作るためのショウガや軍艦巻きに乗せる材料、寿司ネタはゲストハウスにカニ缶などいくつか材料があった。

先輩は僕にだし巻き卵の作り方を教えてくれた。こんなの家庭科の授業以来だ。

画像3


次はお酢にIKEAで大量にもらって来た砂糖をワンパック分混ぜてすし酢を作り、炊いたご飯にまぜてシャリを作る。うちわであおいでシャリを冷ます。あおぐのはもちろん僕だ...

先輩が別の事をやっている間、僕はジャーキーを千切りにすることを命じられ、触感を良くするために千切りにする前に隠し包丁まで入れさせられた。

二人で寿司を握っていると若い日本人の旅行者が2人やってきた。林さんにビールの差し入れをする。ここまで長旅で疲れていることが二人の会話から分かった。

先輩はそんな二人にフレンドリーに「一緒に手巻き寿司を作りませんか?」と誘った。

2人は最初は楽しそうに寿司作りを手伝ってくれたが、先輩の細かい指示に段々顔色が変わってきた。

『あれ?俺たちなんで寿司握ってんだろう?』と。


夕方6時から始めた寿司作り。この時点で2時間が経過し、喜多郎くんも心なしか晩ご飯を待つのに飽き飽きしてるように見える。

普段は血液型による性格判断なんてこれっぽちもあてにしないんだけど、この時ばかりは先輩はA型だと決めつけた。

「清水くん、これちょっと形悪いね」
「これ、海苔の切り方イマイチだよね」
「二人ともシャリのサイズ大きくなってるよ。作り直して」

この妥協を許さない徹底したこだわりはどこからくるのだろう?世界を4周半した男はやっぱり持ってるものが違うのか!?

やっと完成した寿司に奥さんの手料理も加わってテーブルはにぎやかになった。

それにしても作るのには時間がかかるけど、喰うのはあっという間だ…。

画像4


現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。