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『POOLO NEXT』オープンセミナーvol.3「令和の時代の「観光再生」とは?サステイナブルな観光を作るビジネスプランを考える。」【イベントレポート】

POOLO NEXTのオープンセミナーが「令和の時代の観光再生」をテーマに開催されました。ゲストは、株式会社やまとごころ代表取締役の村山慶輔さんと、株式会社TABIPPO代表取締役の清水直哉。

観光業界の最前線を走る2人が、これからの観光の未来について、サステナブルな観光をキーワードに対談しました。

このイベントは「POOLO NEXT」のオープンセミナーですが、そもそもPOOLO NEXTをご存知でない方もいらっしゃると思いますので、最初にご紹介します。

「POOLO NEXT」とは......?
TABIPPOが主催する、2030年の観光業界を担う次世代リーダー養成スクー ル。「未来の観光に貢献する、ニューノーマルなビジネスプランを生み出す」をミッションとして、全12回の講義を担当する講師らとともに、ビジネスプランを考えていきます。



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清水:
本日はよろしくお願いします。さっそくですが、著書 「観光再生 サステナブルな地域を作る28のキーワード」出版のきっかけは何だったのでしょうか?

村山さん:
昨年(2020年)11月に「観光再生 サステナブルな地域を作る28のキーワード」を出版しました。もともとインバウンド専門で活動していたのですが、コロナウイルスの流行を機に、観光が同じ形で元通りには戻らないという予測を持ち、変わっていくであろう観光再生において大事な28キーワードをテーマにまとめようとしたのがきっかけです。

清水:
僕らも今まで通りの観光復興ではなく、新しい時代の新しい形での観光復興を目指していかなければなと感じていました。誰もが豊かに旅ができる時代に戻さなければいけないと思い、僕らの会社は事業をしています。

実際に会社のメンバーとも村山さんの本を参考に、たくさん話してきたのですが、実際に反響はどうでしたか?
 
村山さん:

反響はとてもよかったです。観光庁はじめ、自治体や各経済団体の観光復興のガイドブックとして活用していただいたり、ハワイ州のフォーラムなどこれまで以上に幅広いイベントに呼んでいただいたりする機会も増えました。

コロナ禍とインバウンド事業

清水:
コロナウイルスが流行して、海外からの渡航者もほぼいなくなったと思うのですが、インバウンドを事業として扱ってきた会社は1年間をどのように過ごしてきたんですか?

村山さん:
売り上げに対するインバウンド比率が半分を超える会社はやはり大打撃でしたね。インバウンド1本でリスクを分散できていなかった企業ですと、畳んでしまうところもありました。

しかし、リスクを分散して、準備できていた会社は強く生き残れていますね。現在でも、コロナウイルスが終息すること前提として活動していくのは難しいかもしれません。

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出典:JTB総合研究所 インバウンド訪日外国人動向

清水:
やまとごころさんも会社としての事業のあり方などをこのコロナ禍で変えましたか?

村山さん:
研修の全てをオンライン化しました。そして、コロナ禍で1番大きい変化が、国とか地域との連携がオンライン化されたことですね。

今までなら直接会って会議をしていた方たちが、強制的にオンライン化されたことによって、できることの幅が広がりました。

清水:
本当にその通りですよね。今までは小さなことでも集まって会議していたものが、オンライン化されたことによって起きたメリットはたくさんあったと感じています。

多くの方が気になっていると思うのですが、村山さんはコロナ後の観光をどのように考察していますか?

村山さん:
コロナ後の観光は元に戻っていくと思います。日本は衛生面や観光地・文化魅力が世界でもトップレベルという客観的な記事もありますし、日本の魅力が下がったのではなく、世界が日本に来れなくなっただけですね。

また、いつ戻るのかという点については明確にはわかりませんが、いつ終息しても対応できるように準備しておく。終わらなくても耐えられるようにすることが本質的に重要なことだと思いますね。

【参加者からの質問】
Q.リアルがある程度戻ってきた世界で、「オンライン」は観光業界に対してどういう形態で浸透していくと思いますでしょうか。

村山さん:
オンラインツアーでも残っていく種類のものもあるのではないでしょうか。高い商品(パッケージツアーなど)を買ってもらうための入口商品として、足腰が悪い方に向けてのオンラインツアーとして残っていく物もあると予想します。

ざっくりオンラインツアーの全てがなくなるということではなく、もっと要素を細分化していけるといいですね。オンラインは生産性を高める手段で、今後使いこなさなければいけないし、できないと淘汰されていくと思います。

「サステナブル」な観光

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清水:
サステナブルを一部分にとらえている人が多いけど、僕は全体的に必要だと思っているんですよね。著書のテーマ設定として「サステナブルな地域をつくる28のキーワード」を掲げられていると思うんですけど、これは「観光全体のテーマ」としてと感じました。どのようにしてそこに行き着いたのか、ぜひ教えていただきたいです。

村山さん:
日本における観光は、地域が永続的に続いていくための有効な手段だと思っています。サステナブルというのは根底の考え方で、漁業でも農業でも地域が生き残っていくためにサステナブルが必要であり、日本の地域を持続可能にする手段として、観光は鍵を握ると思っています。

つまり、何かサステナブルになるものを観光に導入するのではなく、地域・文化・産業が永久的に存続していくために、サステナブルという当たり前の前提が必要になってくるということですね。

清水:
世界と比較した時に、日本のサステナブルに課題はあったりしますか?

村山さん:
ピンポイントの話だと、外資系のホテルの部屋にはペットボトルのお水がないことが当たり前だけど、日本にはある.....などたくさん挙げられると思います。

大きく捉えると、世界的なサステナブルな国を表す指標では、1位スウェーデン、2位がフィンランド。日本は53位。これは宿泊者の意識、宿の意識、交通に関してなど7つ程度の指標があります。

消費者がマーケットを育てているからこそ、日本全体でサステナブルな意識を持つ消費者がかなり少ないのも大きな課題
ですね。

清水:
サステナブルは持続可能ということなのに、日本はゴミや環境問題にばかり焦点が当たっていることも問題だと思っています。根本的に地球も社会も長い関係性を続けていこうって話なはずだから、環境の問題だけでなく、もっと広い視野で捉えることができたら素晴らしいですね。

そして日本は中長期的な施策(サステナブルな施策)がなく、一発限りの施策(その場限りの数値を追い求める施策など)が多いことに課題を感じてます。

村山さん:
そうですよね。サステナブルというと環境に意識が行きがちだけど、環境・社会・経済のバランスが大切なんだと感じます。文化の継承とか、経済の生産性が低いなど、環境以外のサステナブルが見過ごされているのは日本の課題なのではないでしょうか。

民間主導でうまく関係構築ができた地域

Q.腰の重い行政を動かして、観光業界を盛り上げるにはどうしたらいいのでしょうか?民間が主導で行い、行政に支援をしてもらう以外の関係性は構築することができるのでしょうか?

村山さん:
事例をあげますと。気仙沼が素晴らしいですね。立ち上げた時の役割分担がよかった。観光業界はここ、行政はここなどと担当を振り分け、観光のプレイヤー5つに分類しました。

そして各団体のトップが話し合い、抜け漏れ、ダブりをなくしたことでうまく連携して地域観光に取り組めています。もちろん、市として、町としての観光の比重によって変わってくるので、本当にケースバイケースですね。これに関して、清水さんも何か思うことがあるんじゃないでしょうか?

清水:
僕らも同じ答えがないため難しいなと思いながら、地域と協力して課題解決に取り組んでいますね。ハワイの事例がとても素晴らしいと思います。住民に対してのKPIの設定や、住民が観光客に向けている視線をしっかりと観察している。全員にメリットがあるように、誰かが損をすることが起こらないように工夫していますね。

僕らはどうしても現地にいることができないので、地域にいる熱のある人と僕らの視点を織り交ぜて課題解決に向かっていくことが重要だと思います。

村山さん:
もう1つ民間主導でうまく行政を動かしているのが、長崎県の波佐見町。商社が中心に入って全体を動かしていますね。行政はどんどん使っていくものだと捉えているみたいです。

行政には行政が得意な予算回りやインフラ周りを役割分担することで、地域復興に取り組んでいます。そうすると民間の会社でも挑戦できることが増え、地域の可能性は広がっていくと思います。

清水:
観光は娯楽・エンターテイメント等「消費するもの」として捉えられてきたと思いますが、最近の若者はそれだけだと旅をしないと思うんですよね。

実際、低コストで自宅で楽しめるNETFLIXとかの方がコスパがいいじゃないですか。そこで、村山さんにとって、コロナによって変わった / 今後変えていくべき観光の価値などもお聞きしたいです。

村山さん:
観光を観光だけで捉えるのは良くないのではないかと考えています。観光にも色々な種類がある。楽しむ観光、誰かに会いにいく観光、仕事の観光。観光が多様化していて、境目がなくなっている今、観光に必要なのはスーパーコーディネート力だと思います。

全ての産業に観光を通して「よこぐし」を刺す。今後はもっと観光の解釈を広げて立体的に捉えていかないといけなくなってくると思いますね。そして観光単体で終わるのではなく、観光が架け橋となって、地域の産業に利益をもたらしていく、それを実現させることが必要になっていくと思います。

未来の観光を担う次世代に求められること

Q.未来の観光を担う次世代に求めることは何ですか?

村山さん:
私の学生時代より優秀な方が多いので、彼らが観光を復興するという意識を持ち、柔軟な思考で業種に業界、さらには国境と、いろんな壁を越えていってほしいですね。

そして観光にはまだまだアナログな部分がある。つまり伸びしろがたくさんあるからこそ、テクノロジーという手段で様々な壁をどんどん越えていってほしいと思います。まだまだ観光業界にアナログな人が多かったり、生産性が低い。チャレンジしがいがありますよね。

清水:

そして副業でも関わってくれる人がどんどん増えて行ってほしいですよね。仕事のやりがいが強いからこそ、他の業界で働いている人にもどんどん還元してもらいたいなと感じています。

村山さん:
まずは片足突っ込んでもらうくらいでもいいですよね。そこにビジネスチャンスが見えたらどっぷり浸かっていって欲しい。

Q.村山さんが今から旅行業界で0から起業されるとしたら、どんな領域を選びますか?また、その際に最初にするアクションが想起されれば教えてください。

村山さん:
1つは観光の業界がアナログで「よこぐし」を探しづらいので、その観点から新しいビジネスを探すと思います。DXやスマートツーリズム等、観光の生産性を高めることをやっていきたいです。そして自分のやりたいことに旗を立て、発信をしていく。

清水:
僕なら仲間集めを始めにしていきたいなと思っているのですが、村山さんならどんなアクションをはじめに起こしますか?

村山さん:
今の会社は1人で立てて大変だったから、僕も最初は仲間集めですかね。役割分担をしてビジネスとしてもレバレッジをかけられる仕組みをつくっていきたいです。

Q.どうしたらサステナブルの意味を広げられるか。

村山さん需要と供給の両方を刺激していくのが大事ですね。特にインバウンドをターゲットとして捉えたときに、サステナブルへの意識が高い人を受け入れる。その際に受け入れ側も変わっていかないと衰退していくという危機感をどう演出していくかが重要になってきます。

つまり消費者と供給者の両方がサステイナブルな意識を持つことが重要。

また、地域の方に観光の価値を改めて伝えることも重要になってきます。地域住民の方に観光の価値を伝えるとき、数を集めるわけじゃなく、お金を落としてくれる筋の良い方を集めるということ紐解いて伝え、具体的にアクションしていかないといけません。

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村山さん:
コロナ禍で思う、大事なことは「何か変える」こと。新しい学び、業界、チャレンジ。そういった意味ではPOOLO NEXTはとってもいいのではないでしょうか?自己投資は一生の財産になると思います!

講義の感想

日本を旅している現在、地域の方や町おこし協力隊の方と関わる中で様々な課題を聞きます。

その中でもスーパーコーディネーターの存在、観光を通して地域の産業に「よこぐし」を通していく重要性を強く感じていたので、今回の講義はとても勉強になりました。

そしてそんな存在はその地域にルーツがあって、想いがある若者のUターンなのではないかとお話を聞きながら気づくことができました。

参加者様の意識もとても高く、双方向のコミュニケーションが垣間見える素敵な講義でした。本当にありがとうございました。 



取材・文:ひらいゆーき
  冒険家+写真も撮る駆け出しルポライター。2021年5月12日~2年間歩いて   #令和の日本一周に挑戦中。
編集:五月女菜穂

旅で世界を、もっと素敵に!
「旅で世界を、もっと素敵に」をビジョンに掲げる、株式会社TABIPPO公式noteです。   現在、2030年の観光業界を担う次世代リーダー養成スクール「POOLO NEXT」の申し込み受付中! https://poolo.tabippo.net/next/1st/