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「人」が始点の”自立分散型”コミュニティづくり運営とは|コミュニティデザイナー黒田悠介【TABIPPOコミュマネゼミvol.3】

全5回の講座でコミュニティーマネージャー(通称コミュマネ)について学ぶ
TABIPPOコミュマネゼミ。

7月下旬に行われた第1回目の講座ではPeatix共同創業者/CMOの藤田祐司さん、第2回の講座ではブランドエディターの井手桂司さんからそれぞれのテーマでお話しを伺いました。

第3回目のテーマは「自立分散型のコミュニティデザイン」。問いでつながるコミュニティ「議論メシ」を主宰する黒田悠介さんが今回の講師です。

▼過去の記事はこちらから
観光業界の新たな誘致戦略に。これからの時代のコミュニティの価値【TABIPPOコミュマネゼミ vol.1】

コミュニティの情報発信は共感できる”理念”が重要|ブランド・エディター井手桂司【TABIPPOコミュマネゼミ vol.2】

人を「始点」にするコミュニティ運営が自走するコツ

講師:黒田悠介さんプロフィール

「議論で新結合を生み出す」という活動ビジョンを掲げて、新しい職業とコミュニティを生み出しています。ハンチング帽とメガネがトレードマーク。
東京大学文学部心理学→ベンチャー社員×2→起業(売却)→キャリアカウンセラー→フリーランス研究家→ディスカッションパートナー→コミュニティデザイナーという紆余曲折なジャングルジム型のキャリア。

今回の講師である黒田さんは、ベンチャー企業での勤務、WEBマーケティング会社の起業と売却を経験。その後キャリアコンサルタントを経て、フリーランスのディスカッションパートナー、コミュニティデザイナーとして活躍されています。


運営されているコミュニティは「議論メシ」のほか、5000名以上のフリーランスの方が所属するコミュニティ「FreelanceNow」など。

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▲議論メシ 問いでつながるコミュニティ

※参加者について
・属性:16~60歳まで、経営者、フリー、会社員など(3割ずつ)
・参加人数:200名所属
・コンセプト:ジブンゴトの問いでつながるコミュニティ
・ビジョン:「ひとりのしたいこと」を「みんなでできること」に


様々なバックグラウンドを持ったメンバーが集まっている「議論メシ」ですが、1ヶ月の平均イベント回数はなんと20回以上。しかも毎回メンバー主導で開催されているそう。かなり熱量の高いメンバーが集まっていることが窺えます...。

ここまでの数のイベントが開催されている理由として、黒田さんは「誰でもイベントを自分で開催できるよう、権限を渡してあるから」だと話します。

また、ジブンゴト(自分自身の身近な問い)をイベント化できることも理由のひとつ。一人ひとりに眠っている問いを掘り起こしてテーマにするため、メンバーの数だけイベントが発生される仕組みになっています。

その際、10分以上のプレゼンは一方通行の演説のようになってしまうため、10分以内のプレゼンしか許可されていません。また、外部からゲストを連れてくると、ゲストが中心の中央集権型になってしまうのでやらないそう。

沸点ギリギリのふつふつしている中で、遠慮している人に声をかけて「それやりましょうよ!」と背中を押してあげることが黒田さんの役割。コミュニティを生き物として例えると、しっかり全身に血液が循環するように促すことで「冷え性」にならないようにしているとお話しされていました。

また、黒田さんは中央集権型コミュニティと自律分散型コミュニティの違いについても言及。

中央集権型の場合はインフルエンサーを中心にメンバー(フォロワー)が集まるため、インフルエンサーとフォロワーの間にフラットな関係は築かれにくくなるそう。

一方、自律分散型の場合、メンバーが能動的に動くため、アクションを起こす”doer”と彼らに対して知見を提供する”giver”が集まりやすくなります。

また、属人性が高い中央集権型の場合はコミュニティとしての寿命が短く、自律分散型の場合はそれぞれの役割分担や強固な繋がりがあるため寿命が長くなる傾向があるとか。

そのほかにも社会学視点による違いについての説明もあり、多角的視点からコミュニティについて知ることで、目指すコミュニティ像に応じてどんな構造を設計すべきなのか理解できたように感じます。

その後の質疑応答では、講義のテーマである「自律分散型」というキーワードにもとづき
・参加者が自走する設計について
・自立分散型コミュニティのデメリット
などが挙がっていたほか、「冷え性のメンバーを焚きつける施策とは?」という質問も挙がりました。

この質問については「ある程度の温度が高まるまで、いろんな熱に触れてもらう。大事なのは、冷え性の人がいても良しとされるカルチャーを作ることが大事。公園のように、各々が好きな過ごし方・居場所を見つけられることがベスト」というアンサーが。

あえて焚きつけなくても良いのだ、という言葉を聞いて、メンバーからは安心したという声が多く挙がっていました。

以上で、黒田さんによる講義は終了。黒田さんご自身のコミュニティでも”プレゼンは10分以内”と設定されているからか質疑応答の時間を長く用意していたり、随時メンバーからのチャットに反応してくれたりと受講者との対話と大事にされている印象でした。

コミュニティの良さってどう測る?適切なKPI設計について

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ゲスト講師の登壇が終わった後は、イベントメンバーによる「コミュニティにおけるKPI設計」をテーマにしたワーキングタイム。

うらたくさんがTABIPPOが主催するイベントコミュニティのslackの数値分析や満足度評価アンケートなどの事例をもとに、コミュニティにとっての「良い状態」をはかる適切な指標とは何か?について学びました。

講義は残り2回となったTABIPPOコミュマネゼミ。次回はコミュニティフリーランスの長田涼さんより「心理的安全性をつくるコミュニティマネジメント」に関する講座、最終回は「コミュニティマネージャーとしてあなたができること」をテーマにメンバーからの卒業プレゼンを予定しています。


▼TABIPPOのコミュマネゼミ生マガジン