高所恐怖症
最近、高いところから街を眺めるのが億劫になった。
なんというか、ぎゅうぎゅうに建物が立ち並び、そこに人々の暮らしがあると思うと、暮らしに付随したさまざまな感情を想像し、気持ち悪さを覚えてしまうのだ。
例えば、私が「今日もしんどかった。もう無理」と思った日があったとしよう。その感情は私だけのものだが、街全体を俯瞰することでそういう思いをしている人が他にもたくさんいるんだろうなと思えてきて、その重みに勝手にダメージを受けてしまう。そんな感じだ。
頭ではそんなことを想像する必要はないし、「今日は楽しかった」というようなポジティブな感情も溢れているはずだとわかっているが、そういう連想をしてしまうのだ。
さらに、感情云々以前に、ぎゅうぎゅうに建物が並んでいる様子に、窮屈さや息苦しさも感じるようになった。なんだか、街自体が一つの生命体みたいで、「私」がその構成員に過ぎず、私は所詮互換可能な存在で生きていることになんの意味もないような気がしてくるのだ。
以前は高いところから街を眺めると街全体の様子がわかりワクワクしていたのに、不思議なものだ。
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