[アンタに会えて]

語るに及ばない
これまでを一言 あつめるならば
あんたに会えてよかった
あんたに会えてよかった

なにかが終わるのを
目にしたこともなかった
水溜りの最後のしずくの
行方すら知らなかった

同じ音の轟を
波紋を聞いている人よ
同じ言葉の連なりを
愛でていた人よ

たった夜半よわのひとかけら
僕らが息絶えている間
まぶたの中の曇り空を
この手に掴めど逃げてくよ
だから お別れのハンカチを
見えない月へと振りかえすよ
心から 振りかえすよ

愛はすくない
探して見つかるものじゃない

案ずることないよ
一縷いちるの望みを 叶えてきたから
あんたと会ってよかった
あんたと会ってよかった

あらたに詫びるのも
おかしなことだろうな
便りが無いのがいい便り
言い聞かせた夜もあった

八百万やおよろずにたった一人と
ただの言葉遊びだろうか
田舎生まれのあんたは
笑ってくれるだろうか

愛は短い
つなぎ合わせてみるといい

たった夜半のひとかけら
僕らが息絶えている間
藍色らんじきの扉は開かれて
零グラムに ほら誘われて
だから なけなしのハンカチを
それでも無いよりマシだろう
どうか たぐり寄せてよ

愛はかなしい
つなぎ合わせど届かない
なけなしのハンカチは届かない

だから恋の実る実らないと
憂いたあの夜を越えたから
決してひとつになれないこと
あんたと分かち合って さあ
かえろう

同じ音の轟とどろきを
波紋が聞こえてるよ
同じ言葉の連なりを
いまでも覚えているよ

たった夜半のひとかけら
それは息絶えてゆく瞬間
藍色の扉は開かれて
零グラムに ほら誘われて
だから ぼろきれのハンカチを
見えてるあかしに振りかえすよ
心から 振りかえすよ

語るに及ばない
これまでを一言 あつめるならば
あんたに会えてよかった
あんたに会えてよかった
あんたに会えてよかった