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[ともしび]

やめとくよ 体を痛めて
タイムスリップの代償は
坂ゆけば 朝を彩る
はじめの色が恋しいね
ナナカマド辿る頃
僕らの靴は履き潰れ
不思議 幼い拘りとは
五つ眠れば ガス山の向こう

あと何度 ともえの出船を
丘の上 数えてゆくのだろう?

あなたのいた景色には
海風ふいて それすらも微かに
見えるような 朧気な記憶を
最期まで携えるのだろう

もういいさ 心を掠って
夢見模様の 柏の葉
気まぐれな 砂の流れが
あなたの指に名残り置く
灰色の街と空
僕らを包む人の世は
不思議 幼い気持ち全て
許してくれた 背の低い誇り

あと何度 あなたの鼓動を
胸に抱かれて聴こえるだろう?

有限の永遠を見た 浜辺の二筋は
どれほどにつかず離れず
なんて独り言…伝えてみたいな
いつか

あなたといる景色は
凪の香りが 俄に錆びついて
きめ細かな確かな記憶の
なぜだか 寂しげな笑顔

あと何度 錆びゆく香りを
躊躇わず 帰る場所と呼べるだろう?

あなたのいた景色には
海風ふいて それすらも微かに
見えるような 朧気な記憶を
攫うような 夕陽の色

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