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西国三十三所展レポート【歴史の扉#1】

歴史の扉へようこそ!こんにちは、旅人です。

先日、京都国立博物館で開催中の西国三十三所展へ行ってきました!せっかくなので、「西国三十三所とは何か」といったそもそも論と、西国三十三所展のレポートを書いていこうと思います!

とても充実した展覧会で、見ごたえ抜群でした。実際に三十三所を巡るとなるとかなり大変ですが、この展覧会に行くだけで、三十三所分のご利益が得られそうな展示でした。今から見に行こうかなと考えている方がより楽しめるように記事を書いたので、良ければご一読ください!

1.西国三十三所とは

西国三十三所を理解するための前提知識として、次の2点を理解しておけば十分かなと思います。

①西国三十三所の成立 ②なぜ「三十三」なのか

①西国三十三所の成立

西国三十三所を語る上で欠かせない人物が徳道上人花山法皇です。

上記ツイートで簡単にまとめましたが、もう少し詳しく書きます。

・養老二年(718)、徳道上人は冥府で閻魔大王から三十三の観音霊場の功徳を世に広めるよう託宣を受け、授かった宝印記文をもとに人々に三十三所の巡礼を勧めたが、衰退する。

・花山法皇が仏眼上人と出会い、永観二年(984)落飾。仏眼に布施を与えようとした際、徳道と西国三十三所の話を知る。

・仏眼から霊場巡礼の再興を勧められ、書写山性空からも奏上を受けた花山院は、これを決意する。中山寺弁光の上進により同寺に納められていた徳道所縁の宝印記文を叡覧した花山院は、仏眼を導師とし、性空・弁光らを伴として三十三所の巡礼を行った。

このように、徳道上人が創始し、花山法皇が自ら巡礼することで中興して現在我々が知る西国三十三所が成立した、というわけです。

②なぜ「三十三」なのか

なぜ「三十三」所なのか、その答えは今回の展示で出品されていた『法華経』普門品(ふもんぼん)に無尽意菩薩(むじんに)(以下、「無」)と仏陀(以下、「仏」)との対話形式で書かれています。

無「なぜ、観世音菩薩は観世音というの?」

仏「この世の人々が苦しい時、観世音菩薩の名を聞き、一心にその名を唱えたら、直ちに音声を聞きつけ、一人残らず救うからだ」

無「どのように説法するの?」

仏「それぞれの器量や願いに応じて様々に変身して説法するよ」

といって具体例を三十三個示しました。これが由来だったんですね🧐

2.西国三十三所展レポート

さて、いよいよ三十三所展のレポートへ入ります。特に印象に残ったものだけをピックアップしたつもりですが、結構長くなってしまったので、あまり興味のない方は「②お土産」までスクロールしていただいて結構です(笑)

①展示内容

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(公式HPより引用)

〇仏像

・1.観音菩薩立像(兵庫・一乗寺)

首がめっちゃ太く、目や口が線状で、コミカルな表情。飛鳥時代後期のものらしく、とにかく顔が印象的な仏様です。

・92.如意輪観音坐像(兵庫・圓教寺)

「①展示内容」冒頭の公式画像の右から3体目の仏像です。像がまとう衣類の模様がとても繊細で、とにかく美しい。サクラの一材から彫出した30センチほどの像。

・95.如意輪観音坐像(京都・頂法寺)

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(公式HPより引用)

とても柔和な表情が素敵な仏像。92ともども素地に切金を施した像は、聖徳太子信仰にかかわりがあるとのこと。

・97.馬頭観音坐像(京都・松尾寺)

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(公式HPより引用)

観音像にしては珍しくめっちゃ怒ってます(笑)表情が険しすぎて「馬頭明王」とも。海難救済のご利益があり、丹後から若狭の海沿いのエリアに多いようです。

〇経典

・10.繡字法華経 観世音菩薩普門品

この法華経はなんと刺繍でできてます!書くだけでも大変なのに、どれだけ作業が大変だったことか(^^;)

ちなみに経文のほとんどが藍色の糸で、「佛」の字だけ金色の糸で縫われています。

〇絵

・22.病草紙(京都国立博物館)

「痔瘻の男」と「口臭の女」が特徴的。前者は下痢が止まらず苦しむ男性。後者は口臭がすごい女性の絵。人情味あふれて笑えてしまいますが、苦しさが確かに伝わってきます。今も昔も変わりませんね。

・24.十王図(京都・六波羅蜜寺)

冥府の十王を描いた絵で、地獄に落ちたらどうなるかわかりやすく示されています。グロすぎ注意。R15作品かと疑うレベル(苦笑)。

・36.【国宝】粉河寺縁起絵巻(和歌山・粉河寺)

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(公式HPより引用)

これが一番見たかった!火災にあった跡が、巻物のため、規則的に残るものの、絵は十分残っており、当時の風俗が存分に伝わってくる良品でした。他のお寺の縁起絵巻もカラフルで見ごたえ抜群です。

・64.施福寺参詣曼荼羅図(大阪・施福寺)

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(公式HPより引用)

施福寺に限らず、複数のお寺の参詣曼荼羅を見ることができるのですが、これらの図画は最盛期の姿を描いたもの。織田信長や豊臣秀吉により諸寺が焼かれる中、修繕費を民衆から集めるため、「うちの寺はこんなにすごかったんやで」という在りし日の姿を示すための図。参詣客がとても楽しそうに描かれている反面、背景を知ると複雑な気分になります。

・169.刀八毘沙門天像(京都・今熊野観音寺)

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(公式HPより引用)

もとは兜跋毘沙門天(とばつ)のことだが、「刀八」の漢字が当てられ、刀を八本持った三面の毘沙門天が獅子の上に乗ってます。戦国期に戦勝祈願のため作られた本邦オリジナルの仏とのことで、鬼気迫るものがあります!

〇その他

・126.納経帳・朱印(大阪・総持寺)

江戸時代の御朱印帳が展示されています。昔も今と変わらず御朱印収集していたんですね~。

・136.銅板法華説相図(奈良・長谷寺)


長谷寺に伝わる銅板で、僧・道明が天武天皇(もしくは持統天皇)のために敬造。現地でレプリカを見たのですが、まさか本物を見ることができるとは。長谷寺創建時に遡る飛鳥時代後期~奈良時代の銅板です。

・138.大刀 無銘(兵庫・播州清水寺)

日本初の征夷大将軍、坂上田村麻呂の伝説の刀です。平安時代の刀で、後世の我々が見慣れた日本刀とは形がかなり異なり、まっすぐな印象です。刀が大好きな男子諸君はワクワクするはず!

②お土産

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展示内容でかなり紙幅を割いてしまいましたが、今回の展示はお土産もすごい!

〇図録

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(写真は御朱印帳と比較した際の分厚さ)

約300ページに及ぶ圧倒的ボリュームに満足すること請け合い!なにを隠そう今回のnoteの記事もほとんどこの図録を参照して書きました。歴史・お寺好きなら買って損はしないはず。

〇御朱印帳

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なんと御朱印帳も売っています!

表紙は閻魔大王から西国三十三所を広めるように言われた徳道上人のイラストが描かれています。

そして、各札所ごとに簡単な情報とイラストが!

【※注意】この御朱印帳は最後の第三十三番華厳寺の押印スペースが2か所しかありませんが、華厳寺の御朱印は3体1セットです!一応、売店で説明は受けましたが、私はその時あまり気にせず購入してしまいました。もしかしたら、別の西国三十三所用の御朱印帳を購入するかもです😭

【追記】

後日、Amazonで千刺繍院さんの西陣織御朱印帳と法徳堂さんの御朱印帳袋を購入しました!

御朱印帳は手触りが気持ちよくて、重厚感があり、買ってよかったです。

御朱印帳袋も西国三十三所用御朱印帳を2冊入れても申し分ない大きさで、使い勝手も良いです。

この3点セットで、三十三所の満願を目指します!

3.まとめ+α

今回の展示を巡って、西国三十三所の信仰を深く知ることができました。そして、知ることで、実際に巡礼したくなってきました。

というわけで、令和4年(2022)3月31日までに三十三所巡礼します!

なぜ令和4年3月31日までかというと、西国三十三所草創1300年記念事業がこの日までで、御朱印に特別印を押していただけるのもこの日までだからですね。


かなり長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。このnote記事を読んでいただき、西国三十三所展へ行きたいと思う方が一人でも増えれば幸いです。

あなたも、西国三十三所巡りの旅に出てみませんか?

【概要】

・開催期間:令和2年(2020)7月23日~9月13日

・場所:京都国立博物館

【参考文献】

・「西国三十三所 草創一三〇〇年記念 特別展 聖地をたずねて -西国三十三所の信仰と至宝」(公式図録)

・公式HP


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