![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88914625/rectangle_large_type_2_333298e5af4ed635f1eb03fb43e4728f.jpeg?width=1200)
【裏タケノコ王】第4話 今年出会って一番よかった人は?〜年末座談会2018【後編】
2018年は、風岡さんが全国テレビ「3年目」を迎えた年でした。今年は、いったいどんな出会いと別れがあったのでしょうか。テレビの裏番組よろしく“裏タケノコ王”に出演していただきましょう。では裏タケノコ王、お願いします!!
聞き手:森山健太
![](https://assets.st-note.com/img/1674213483892-uCK5puVhzr.jpg?width=1200)
前編からの続き
◆今年出会って一番よかった人
逆に、今年出会って一番よかった人は誰ですか?
んー、この人かな。
この方は、“業務用焼きそば達人”の宇津江(うつえ)さんじゃないですか!
![](https://assets.st-note.com/img/1665655889890-HjMREWKr9h.jpg?width=1200)
これは、風岡さんのファンイベントで富士宮焼きそば20人前を作ってくれたシーンですね。
宇津江さんは、山梨の給食メーカーの工場長さ。食のプロである人が、オレのタケノコを買いに来てくれたんだ。「今まで使ってたタケノコよりぜんぜん美味しい」ということで、給食で使い始めてくれたさ。
嬉しいですね!
さらに嬉しかったのは、うちと同じ産地*のタケノコを使ってたのに、うちのタケノコに切りかえてくれたこと。同じ産地だから条件は同じ。だけど、うちは竹林管理に300日以上かけて、それを17年続けているさ。「放っておいて出てくるタケノコ」と「300日かけたタケノコ」は別物さ。「風岡さんのタケノコは甘くて柔らかい」とプロに認めてもらって、農家としてすごく自信になったよ。
◆フルーツ魚の理論
遠いところから何度も通ってくれてさ。親しく話すうちに、竹林だって見せたことあるさ。オレはめったに竹林に人を入れないさ。でも生産者がこうやってるってのを宇津江さんには見てほしかったさ。
ところで森山くん、「みかんブリ」って知ってる?
なんですか、それ?
エサにみかんを混ぜて育てたブリのことさ。愛媛県で開発されて売れてるよ。他にも、レモンぶり、ゆずカンパチ、これらを総称して「フルーツ魚」っていうのね。
![](https://assets.st-note.com/img/1665655981634-YTwL1MD2M9.jpg?width=1200)
静岡県は、誰もが知るみかん産地。このフルーツ魚の考え方をタケノコに応用したら、ご当地タケノコができるんじゃないかって思ったんだよね。
![](https://assets.st-note.com/img/1665655993647-3gCIsYYDZ8.jpg?width=1200)
うちでは毎年、手作り堆肥を作っているさ。牛ふんを中心に、米ぬか、海藻、豚骨粉など……
![](https://assets.st-note.com/img/1665656015112-2M8gXVSWFu.jpg?width=1200)
その中に、今年の工夫としてみかんを混ぜた。
![](https://assets.st-note.com/img/1665656024267-gTrQ7IIPJf.jpg?width=1200)
高級な果物を作る果樹農家は、肥料に相当投資してるさ。たとえばある高級いちご農家は、適度な塩や海藻を肥料に混ぜることで糖度を上げている。
普通のタケノコ農家はわざわざ山に土なんて入れないし、有名な産地でも市販されている肥料をまくぐらい。だけど、うちは遥か先の「日本一の味」を目指しているから、他のタケノコ農家は参考にならない。漁業や果樹、畑違いの優れた実践を参考に、オリジナル堆肥を研究して「日本一の土作り」に励むさ。
◆思いがけぬ申し出
2週間すれば、発酵が進んで完成!
これを山に手で運び込むさ。今年1年間で、堆肥は軽トラ30台分(15トン)まいたよね。
![](https://assets.st-note.com/img/1665656056994-e3jJQmX2en.jpg?width=1200)
そんな話の中で、宇津江さんにポロっと「蟹がらも良いらしい。来年試してみたい」と言ったさ。するとしばらくして、宇津江さんから電話がきた。
宇津江 「風岡さん、こないだ蟹がらの話をしましたね、もし良かったら会社で出させてもらいたいんですが」
「出す?給食の残りの蟹がらをですか?」
宇津江 「いえ、現金をお出しします。蟹がらを買うのに使ってください」
さすがに驚いた。でも宇津江さんは本気だったさ。
「どうやってお返ししたら良いですか」
宇津江 「何もいりません。今以上の進化が期待されるなら、その先を見たくなりまして」
![](https://assets.st-note.com/img/1665656209313-pn3MoOToeJ.jpg?width=1200)
感動したよね。農家としての自分に、「応援」以上に「支援」してくれる仲間ができたんだ。これは今年一番嬉しかったことさ。
◆究極の食育
さらに宇津江さんは「来年の春、山梨県内の中学生5000人分の給食に使わせてほしい」と言ってくれたさ。そして「これまで給食で生産者の名前を1回も出したことはないけど、来年は“タケノコ王”の名前を出したい」と提案してくれたんだ。
まさに究極の食育だよね。中学生たちにとっては、今まで食べてきたタケノコとどう味が違うのか。オレにとっては味のジャッジになる。ますます手を抜けなくなるよね。
![](https://assets.st-note.com/img/1665656231178-2FHZV1qxy8.jpg?width=1200)
17年間愚直にタケノコをやってきた結果、土作りでは正直、もうこれ以上何をやっていいのか思いつかないぐらいに達しつつある。「究極のレシピ」に近づいてきてると思うさ。では、その先に何があるのだろう?
宇津江さんは、「究極のレシピ」を社会の役に立てる方法を教えてくれた。「支援」してくれる仲間が生まれたことで、また新しい道が開けそうなんだ。
2019年は、どんな出会いがあるのか。そして春、どんなタケノコの味ができあがるのか。自分自身、すごく楽しみにしているよ。
![](https://assets.st-note.com/img/1665656244018-SPoAPTAAW5.jpg?width=1200)
* 風岡さんは静岡県以外に、静岡との県境の山梨県富沢にも竹林を持っている。「富沢のタケノコ」は、かつて武田信玄に献上されたこともある名産地。宇津江さんの会社ではこれまで富沢のタケノコを使っていたが、同じ富沢でも「風岡さんのタケノコの方が味がいい」ということで切りかえることに決めた。
前編はこちらから
※この記事は2018年に作成されたものです。
裏タケノコ王シリーズ
第1弾 プロアスリート農家
第2弾 ファイトマネー
第3弾 呼吸するフェラーリ(前編)
第3弾 呼吸するフェラーリ(後編)
記事まとめやイベント情報はSNSへ!
フォロー&いいねで応援お願いします♪