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ラクスル・ハコベルに続く第三の事業は「ノバセル」。事業に込めた想いを語る5,382文字の初note。

ラクスルでCMOをしております、田部です。2019年9月、twitterを始めたのは、GOさんとの提携リリース日でした。ずっと温めてきた新規事業の新しい門出を記録しておくためにnoteを始めたいと思います。

↓記念すべき初ツイート

ラクスル・ハコベル・「ノバセル」

2020年4月23日、ラクスルから「ノバセル」という新規事業をリリースしました。ラクスル・ハコベルに続く3兄弟の末っ子となります。

↓今日の日経新聞に取り上げていただきました。

実は、2018年1月からラクスルのテレビCMサービスとしてはスタートして2年が経つのですが、「クラウド型 テレビCM効果測定ツール」のリリースに伴い新たなビジネスモデルで勝負していく想いを込めて、このタイミングでの改名を決めました。
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そして、2018年のサービス提供開始時より継続して売上・利益ともに好調に推移しています。ラクスル兄貴とハコベル兄貴よりも実は、立ち上げスピードが速い事業なのです。新規事業はとにかく売上・利益を出してなんぼ、そういう気持ちでここまで来ました。

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仕組みを変えれば、世界をもっと良くなる。

ラクスルの代表である松本が、2009年会社設立初日、真っ先にしたことが「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンを掲げたことでした。設立当初から唯一変わらないもの、それがラクスルにとってのビジョンです。インターネットを既存産業に持ち込み、新たな商習慣を作り出すことで、世の中はもっと便利になり、生産性はもっと向上する。という想いが込められています。私もこのビジョンに強く共感し、2014年入社をしています。

テレビCM事業の話に戻ります。前述の通り、売上は絶好調・利益も出ている。普通の会社では、優良な新規事業だと思います。このままでも良い。少なくとも方向転換の必要はないはず。

しかし、ラクスルはビジョナリーな会社です。どこかに違和感がありました。この事業は「仕組みを変えて、世界を良くしているのか?」と。もっと言うと「世の中に無い新しい価値を提供できているのか」と。営業しながら、分析しながら、目の前の顧客の成功に向き合いながらも、いつも考えていました。

私のとっての、この事業にとっての変えないといけない仕組みはなんだろうか。つまり、この事業にとってのビジョンは何だろうか、と考えるようになりました。

↓いかにも仕組みを変えそうな弊社代表

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マーケティングの民主化という旗を掲げる。

私はもともと、新卒からラクスルに入社するまでの10年間、アパレル業界やウェディング業界のBtoCマーケティングを担当していました。働いていたのは比較的大きな会社だったので、予算をかけて様々な施策に取り組めました。しかし取り組むうち、そういったマーケティングの技術は、一部の企業にしか使えないものだと気が付いたんです。

一方で、私の周囲にはスモールビジネスをしている人が多く、マーケティングの知識がなく予算もかけられない中で、価格を決めたり、集客の方法を考えたりしていました。そんな中小企業の人たちが、大企業がやっている技術や手法を使える状況になればいいと思ったんです。「マーケティングの民主化」が自分のテーマだと考えるようになりました。印刷の発注をリアルからネットに切り替えて誰もが使いやすくすることで、印刷の民主化をしてきた会社です。これで事業のビジョンが決まりました。今見返すと、この頃に私がインタビューさせていただいた記事には「マーケティングの民主化」というワードが多用されています。

マーケティングとは経営である。

私は自分自身をマーケターではなく経営者だと思っています。何ならマーケターと呼ばれたくないくらいです。これは私のイメージですが、マーケターって、マーケティング投資=自分のお金って思ってないイメージがある。自分の財布や、家計だと思えば当然なのに、なぜか会社になるとこの視点を持てない人が多い。自分のお金、あるいは現場が稼いできた貴重なお金だと考えられないマーケターや、それを助長する人が少なくないし、実際、数多くそういう人を見てきました。

前職のウエディング企業で大幅な赤字を出し、時価総額が大幅に急落し、社内が騒然とした時期がありました。当時、会社の2大コストはマーケティング費と人件費の2種類でしたが、そんな状況だとマーケティングに費用を割くのは切実です。若いウェディングプランナーが現場で必死に稼いできたお金を使って、企業価値を向上させるのはマーケティング責任者の宿命ですし、改善できないなら使わないほうがいい。誰のお金を使っているのかを常に考えることは、商売の原点であり経営の基本です。

↓写真はアレですが中身はまともなはず・・・

そんな原体験から、私が民主化したい仕組みとは「マーケティングの投資回収」であると設定しました。平たく言うと「効果の可視化」です。そして、自分が経験した中で最も効果が可視化しにくいものを可視化しようと決めました。

ラクスルを成長させてきたもの、それはテレビCM。

ラクスルは5年で7億→170億と約25倍の売上成長をしてきました。この成長を支えたのはブランド検索数が右肩上がりに積み上げてきたことです。

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我々のようなスタートアップは新しい概念を創るサービスを展開しています。既に認知されているようなカテゴリが存在しません。比較されるのを待つのではなく、自分たちが何者か、サービスの独自性が何なのかを伝えていかないと、生き残っていけません。つまり検索を前提とするWEBマーケティングだけでは勝ち抜くことはできず、必ずマスマーケティングを成功させる必要がありました。結果としてマーケティング費用を年々増やしながらもCPAを下げていくという成功を収めることができましたが、その成功の要因はテレビCMをデジタルマーケティングのように運用型でPDCAを回したことです。効果を可視化し、事実の比率を増やし、解釈の比率を下げ、再現性を高めることができた。テレビCMとWEBの良いとこ取りをした。これに尽きます。

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テレビCMへのイメージ

一方で、テレビCMへのイメージは実施している企業に聞いても良くないことが分かります。ラクスルでやってきたことは実は世の中にとって大きな価値があるものなのではないかと感じるようになったきっかけです。

1、テレビCMを使わない理由は「費用高い」「効果が視えない・合わない」「分からない」に集約される。

2、テレビCMを実施した上での不満も「費用高い」「効果が視えない・合わない」「分からない」に集約される。

<テレビCMに関する意識調査>
調査対象:年間売上規模50億円以上の広告決裁者300名、調査期間:2020年2月26日~28日、調査方法:Web上のアンケートフォームで回収。

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テレビCMの効果を可視化する。しかも一瞬で。

BtoBのプロダクト開発における私の哲学は「圧倒的に高い事業解像度で、分解。まずはヒトが属人的にやってみる。それをテクノロジーによって数百倍以上の効率と精度にする」です。ラクスルで学んだこと。

ラクスルの成長の要因は、5年で50億以上をかけたテレビCMの効果を可視化し、デジタルマーケのように運用してきた仕組みを構築できたことです。我々はテレビCMの効果をほぼ可視化できていました。但し、EXCELやタブローを駆使し、数十時間をかけて・・・。これ一瞬でできたら民主化じゃないですか、と。100MBのExcelをグリグリ回す自分にとって、そこからブレイクスルーがはじまります。営業組織に、PM、エンジニア、デザイナーを1人ずつ巻き込んでいって・・・

そこから数か月・・・私が営業ばかりしている間に、気がついたら魔法使い達によって完成していました。

「たった3分の設定で、誰でもすぐにテレビCMの効果分析ができるようになります。どの番組でどれだけ効果が出たのか、放映中リアルタイムで状況把握できるので、PDCAの精度が上がります。折角なんで特許も出願中です。」

おや・・・?3分?こちらExcelの起動で3分以上はかかってましてね・・・新たな仕組みが誕生した瞬間でした。

↓それがこのノバセルアナリティクス

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このシステムは、これ単体でお金をいただけるビジネスとなりました。当然です。これまでラクスルが50億かけて創り上げ数十時間かけていたノウハウがが3分で、できちゃうのですから。実はテストリリースして3ヶ月で今、約20社以上の月額課金が行われています。今時ちょっと恥ずかしいんですが、これはSaaSではないかと・・・!ビジネスモデルが変わる音がしました。


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ノバセルの誕生。

ビジネスモデルが変わったのだから、もう、ラクスルという名前ではなく独立して認知していくべきだと考えました。ラクスルと名乗ることのメリットよりも新しいブランドで勝負すべきと考えたのです。"元"マーケターなのでネーミングにはこだわりがあります。4つのルールを決めました。

1、カタカナ4文字であること。(覚えやすい)

2、何をしてくれる会社がイメージできる。(イメージしやすい)

3、オリジナリティがある(検索で上位表示されやすい)

4、ゼロからではなく、ラクスルの知名度は活用したい。(認知しやすい)

5、意味があり、意思が込もっていること。(営業・マーケしやすい)

↓名前を考えていた時のtwitter


「マーケティングの民主化」を通じて、自分達がやりたいのは投資対効果を可視化することで企業を、事業を伸ばすことである。逆に言うと、中長期的にでも数値にインパクトを与えられないなら、その取り組みは失敗であると断定しています。それは経営としては当然のこと。

効果が視えれば、企業の業績はノバセル。のだと。

それが私たちの意思であり、プランドプロミスです。

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運用型テレビCMという市場を創る。

ノバセルが切り開くのはデジタルマーケティング×マスマーケティングの市場。高額で効果が視えないと思われているテレビCMの常識を変えるサービス。「運用型テレビCMならノバセル」と覚えてください。分析ツールがあるから高速にPDCAが回せます。例えば・・・

1、クリエイティブを5本作り、2週間で効果検証。その2週間後一番効果が高いクリエイティブを放映している。

2、効果が高い番組を見切ったので、毎月30本だけターゲティング配信しテレビCMのCPAがWEBマーケティングよりも効率が良い。

などの事例が既にいくつもあります。

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この状況でテレビCMはどうなのか。

コロナウイルス感染拡大による外出自粛要請の強まりとともに現在、テレビの視聴時間は上昇しているようです。特にこれまでテレビを見る時間が少なかった20代の伸び率が最も大きいとのこと。

また、実際我々のテレビCMサービスへの問合せも2月以降急増しています。昨年末と比較するとほぼ倍です。

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視聴率の増加と、不確実な状況下におけるコストカット、コスト効率化の促進。2008年辺りの不況時、いちばん初めにカットされたのは、PLインパクトを生み出していない施策や、明確に投資回収を説明できない仕事とそれをリードする人達でした。

ノバセルのブランドプロミスは、「マーケティングの民主化」を通じて、自分達がやりたいのは投資対効果を可視化することで企業を、事業を伸ばすこと。これからの企業経営に必要不可欠なサービスになれると思っています。

↓新サイトです。興味あれば是非お問合せください。今でも私が直接オンライン等で打合せをさせていただいております。(月50アポほど)


長文をお読みいただき有難うございました。最後にノバセルに込めた想いをしたためたステートメントと動画で締めたいと思います。

↓この最高なステートメントは林慎一さんに書いていただきました。

The Beginning of Growth
成果につながる仕組みに変えよう。

ノバセルは、マーケティングを民主化する。
マーケティングの民主化は、効果の可視化から始まる。

「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」
ラクスルはテクノロジーを駆使し、ネットとリアルの融合によって
印刷や物流という伝統的産業を、構造ごと変えてきた。
次に挑むのは、日本企業最大の課題、マーケティング。

「良いものを作れば売れる」という幻想は消え去った。
企業経営において、マーケティングが重要であることを疑う人はいない。
しかし、果たして様々な施策の効果は、正しく把握されているだろうか。
開発も、生産も、営業も、財務も、正しい数値が求められる企業経営の中で、
マーケティングの効果は可視化されないままだ。

TVの普及率はスマートフォンよりも高く、
メディアとして遥かに大きな力を持っている。
けれど、WEB広告の効果は簡単に数値化されるにも関わらず、
TVCMの潜在能力は、未だに解明されないまま置き去りにされてきた。

ノバセルは、TVCMの効果を可視化する。
寡占や過剰やアナログが生み出してきた非効率を解消し、
テクノロジーによってTVCMの力を解き放つ。
これまで誰も解明できなかったマーケティングの難題に、答えを出す。

ノバセルは、マーケティングを民主化する。
意志と知恵とテクノロジーで、マーケティングの原点へと向かう。

そんな会社にノバセル。

↓ノバセルのCMも放映開始しています。(テレビCMのCM)

こちらは北尾昌大さんに創っていただきました。


怖い顔のCMOと愉快で優秀な仲間たち。

採用募集中 https://novasell.com/recruit

ノバセルの旗の元に内外問わず優秀な方々がご協力いただいています。

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