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音楽用語の調べ方

私がまだ音高生の頃、楽譜に書いてある音楽用語(楽語)を調べる時は音楽用語辞典をよく使っていた。周りもそうしていたと思う。音楽を志す者であれば常に1冊手元に置いていて当然というものだ。

ただ不満もあった。簡単な楽語については、学校の教科書などと載っている内容が同じことがある。専門的に深く掘り下げたくてもなかなか出来なかった時もあった。


時は流れ大学に上がり、2年次の声楽レッスン。トスティの曲をやっている中、話題はフェルマータについて。今でも忘れられないレッスンだ。

「フェルマータは伸ばすのではない、止まるのだ。イタリアではバス停=フェルマータ、つまりフェルマータの前は必ずリタルダンドが掛かるのだ。バスは急に止まれないだろう?」

「楽語を詳しく調べたいのならば、イタリア語辞典で調べなさい。楽語のほとんどはイタリア語なのだから。」


納得しただけでなく、感動すら覚えた。これまでのモヤモヤ感が一気に晴れた。

以降、楽語を調べる時はその言葉の辞書を使って調べるようにした。今ではインターネット上でも簡単に調べられるだろう。

学校の教科書でp(ピアノ)は「弱く」、f(フォルテ)は「強く」と習うが、これだけでは間違っている。p(ピアノ)は「小さく」、f(フォルテ)は「大きく」なのだ。

むしろ、p(ピアノ)の方がf(フォルテ)よりもエネルギーはとても強い。これも同じ恩師から教わった。


音楽は言葉を持たないが、作曲家からの演奏指示は言葉も使われる。しかし、言葉の解釈が間違っていては曲が持つ本来の音楽ではなくなってしまう。楽語はどの国においてもイタリア語が基本で、人それぞれ(作曲家も含めて)基準が異なるのだから、解釈がとても曖昧で難しい。しかし、だからこそ演奏者に委ねられる部分も多く、多彩な音楽で私たちが楽しめるのもまた確かである。


【今回の動画】

J.S.バッハ/インベンション第1番

https://www.youtube.com/watch?v=rcjjGZ027Uc

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田畑 仁愛(指揮者、ピアニスト)
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