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臨床でよくみられる足部痛とその捉え方
こんにちは、だいじろう(@idoco_daijiro)です!
これまで足部機能の評価や徒手的介入、簡易的インソールについてご紹介してきました。
これらを臨床に活かしていくためには足部の病態の理解が必要となります。
今回は臨床でよく見られる足部痛についてざっくりと解説していきます。
それぞれの疾患の病態や評価・アプローチに関しては今後解説していきますので、楽しみにお待ち下さいね!
これが完成すれば、『足部痛の教科書』として活用できるんじゃないかと私も楽しみですw
さて、足部痛を引き起こす疾患の代表的なものとして以下のものが挙げられます。
今回はこれらの疾患の捉え方についてまとめていきたいと思います。
【後足部痛】
![スライド03](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680100/picture_pc_de87f4b99db19f0e12cdcea6bde78d33.jpg?width=800)
▼アキレス腱炎
![スライド04](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680108/picture_pc_95df88ab12f5003b1254201afcedbee5.jpg?width=800)
・アキレス腱の局所に過度な伸張ストレスが繰り返し加わることで生じる
・運動時痛とアキレス腱部分の圧痛がみられる
・明らかな腫脹や熱感があると重度と判断できる
・重度の場合、アキレス腱が脆弱となっており、アキレス腱断裂を発症するリスクが高まるとも報告されている
・下腿三頭筋の柔軟性の低下や後足部のマルアライメント/動的不安定性が直接的な要因となる
・下腿三頭筋のストレッチや後足部の安定性向上を目的とした介入が効果的である
▼シーバー病
![スライド05](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680126/picture_pc_9290610f0ec24756440a0b48cc125e0e.jpg?width=800)
・成長期の段階で踵部分にアキレス腱からの牽引ストレスや床との衝突といったメカニカルストレスの繰り返しが原因で生じる
・運動時痛と踵骨後部の圧痛がみられる
・重度になると荷重困難となる場合もある
・下腿三頭筋の柔軟性の低下や後足部のマルアライメント/動的不安定性が直接的な要因となる
・下腿三頭筋のストレッチや後足部の安定性向上を目的とした介入が効果的である
・インソールによって症状軽快するケースも多いが、長期的な使用については留意する必要がある
▼踵骨棘
![スライド06](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680135/picture_pc_8a7d5940b99a0fcb0b773e1f888e6176.jpg?width=800)
・足底腱膜からの伸張ストレスの繰り返しによって足底腱膜の踵骨付着部に骨棘が形成される
・荷重時痛と患部の炎症所見がみられる
・重度の場合は骨棘切除を選択するケースもある
・下腿三頭筋の柔軟性の低下、足部アーチの低下に伴う患部への伸張ストレスが主な要因となる
・下腿三頭筋のストレッチや足部アーチの機能向上を目的とした介入が効果的である
▼足底腱膜炎
![スライド07](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680139/picture_pc_fa897fb73e5016ba67546c0d98419029.jpg?width=800)
・疼痛発生メカニズムは踵骨棘と同様
・足底腱膜炎の内側縁に圧痛がみられる
・足部アーチをはじめとする足部機能の低下に伴う患部への伸張ストレスが主な要因となる
・足部アーチを始めとする足部機能向上のための介入が効果的である
▼三角骨障害
![スライド08](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680146/picture_pc_fd1dc420a9b866ec106b2c2bfa6c824b.jpg?width=800)
・足関節後部で生じる副骨由来の障害
・足関節底屈時痛と足関節後面の圧痛がみられる
・保存療法で改善が見られない場合は手術療法にて摘出術が行われる
・足関節捻挫や足関節底屈強制などが機転となることが多い
・機能的な底屈可動性の獲得を目的とした介入が効果的である
▼足根洞症候群
![スライド09](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680165/picture_pc_4feb0804f83767cbe99a8d8d60dd2a03.jpg?width=800)
・距踵靭帯損傷にともなう足根洞部分の炎症性疾患
・荷重時痛と後足部外側部の圧痛がみられる
・保存療法や関節注射などが選択される
・捻挫などの足部・足関節の外傷が機転となることが多い
・後足部の安定性の向上を目的とした介入が効果的である
▼二分靭帯損傷
![スライド10](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680201/picture_pc_db0a4490a31b10a14bca11efb1af65c0.jpg?width=800)
・二分靱帯損傷に伴う疼痛と関節不安定性
・動作時痛と二分靱帯部分の炎症所見がみられる
・足部・足関節の捻挫が機転となることが多い
・受傷当時は無症候性で、後々、後遺症として症状を訴えるケースも多い
・外側縦アーチ機能の向上を目的とした介入が効果的である
・場合によってはテーピングやサポーターも有効である
▼踵骨前方突起骨折
![スライド10](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680204/picture_pc_1e89296775779390602f84947aee7ccd.jpg?width=800)
・外側縦アーチのトップである踵骨前方突起部分の骨折
・後足部外側部の荷重時痛や同部位の炎症所見や叩打痛がみられる
・捻挫などを機転とする外傷と、外側縦アーチ低下/オーバーユースなどに起因する障害とがある
・骨癒合を優先するためにある程度の固定期間を要する
・外側縦アーチ機能の向上を目的とした介入が効果的である
【中足部痛】
![スライド11](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680210/picture_pc_35a96d6b4e555839e7e26aa0ee836f23.jpg?width=800)
▼ジョーンズ骨折
![スライド12](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680212/picture_pc_4af0f3dfb122e79219712ce399a19eac.jpg?width=800)
・第5中足骨底の疲労骨折
・荷重時の足部外側部痛、第5中足骨底部の叩打痛がみられる
・状態によって保存療法や手術療法が選択される
・足部外側の安定性の低下や適合性の悪い靴の選択、オーバーユースが要因となる
・骨癒合を優先するためにある程度の固定期間を要する
・足部外側の安定性向上を目的とした介入や履物の指導/調整などが効果的である
▼ケーラー病
![スライド13](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680219/picture_pc_43c69d5052d5a1e59a00963991714c10.jpg?width=800)
・舟状骨の骨端症/無腐性壊死
・舟状骨部分や足背部の荷重時痛や圧痛がみられる
・成長期の段階での繰り返しの圧縮ストレスが要因と考えられている
・足部アーチをはじめとする足部機能の向上を目的とした介入が効果的である
▼舟状骨疲労骨折
![スライド14](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680229/picture_pc_85bcc6491a351c793c59cb4e1aced3f8.jpg?width=800)
・舟状骨部分や足背部の荷重時痛や叩打痛がみられる
・保存療法が選択されるが、予後不良例では手術療法が選択される場合もある
・足部アーチの低下にともなう舟状骨部分への圧縮ストレスの繰り返し、オーバーユーズが主な要因である
・骨癒合を優先するためにある程度の固定期間を要する
・足部アーチをはじめとする足部機能の向上を目的とした介入が効果的である
▼外脛骨障害
![スライド15](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680232/picture_pc_0bceed66fde60e0f4ef11a59360d22bd.jpg?width=800)
・舟状骨部分にある副骨「外脛骨」の障害
・捻挫や打撲などの外傷が機転となることもある
・保存療法が選択されるが、予後不良例では手術療法が選択される場合もある
・内側縦アーチ低下と後脛骨筋による牽引ストレスの増大が主な要因である
・内側縦アーチ向上を目的とした介入が効果的である
▼足趾伸筋炎
![スライド16](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680238/picture_pc_b7d1634938ca50fa152e067435e80a33.jpg?width=800)
・長母指伸筋/長趾伸筋部分の炎症性疾患
・足背部の運動時痛や圧痛が見られる
・ショパール関節・リスフラン関節部分での不安定性に伴う腱への剪断ストレスが主な要因である
・足部機能向上を目的とした介入が効果的である
▼中足骨疲労骨折
![スライド17](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680252/picture_pc_5507fea4366a3d0f889ff85b75114705.jpg?width=800)
・第2〜3中足骨骨幹部に発生した疲労骨折
・運動時痛と足背部中央の炎症所見がみられる
・横アーチをはじめとした足部機能低下とオーバーユースが主な要因となる
・横アーチをはじめとした足部機能向上を目的とした介入が効果的である
【前足部痛】
![スライド18](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680258/picture_pc_cfca3b05fee129a31a07a92c20c65583.jpg?width=800)
▼外反母趾
![スライド19](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680265/picture_pc_b013b3ee26c44093620be8794c120b67.jpg?width=800)
・母趾外反角の増大に伴う母趾MP関節内側部の疼痛
・基本的には保存療法が選択されるが、重症の場合は手術適応となるケースもある
・内側列のショパール関節/リスフラン関節の機能低下、適合性の悪い履物の使用が主な要因である
・足部機能向上を目的とした介入や履物の指導が効果的である
▼母趾種子骨障害
![スライド20](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680278/picture_pc_52b827b1a57b2df60010dab5feb5cd8f.jpg?width=800)
・第1中足骨頭底側部にある種子骨の障害
・重症なケースでは種子骨が骨折する場合もある
・内側縦アーチの機能低下に伴う母趾球周囲へのメカニカルストレスの増大が主な要因である
・急性期ではインソールやパッドを活用した除圧が効果的である
・内側縦アーチの機能向上を目的とした介入が効果的である
▼フライバーグ病
![スライド21](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680282/picture_pc_76ba9c22d5a1bb9e943d2434ac2fbbc6.jpg?width=800)
・第2中足骨頭の骨端症/無腐性壊死
・第2中足骨頭部分の運動時痛がみられる
・横アーチをはじめとする足部機能の低下に伴う第2中足骨頭へのメカニカルストレスの増大が主な要因である
・急性期では第2中足骨頭部の免荷が必要なケースもある
・横アーチをはじめとする足部機能向上を目的とした介入が効果的である
▼モートン病
![スライド22](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680292/picture_pc_8c387778c3931a12a360ca6d86b41d4f.jpg?width=800)
・第2・3中足骨頭間、第3・4中足骨頭間で足底趾神経が絞扼されることで生じる障害
・絞扼部分の疼痛や痺れ、灼熱感などが生じる
・神経腫が要因となったり、横アーチの低下が要因となるケースがある
・保存療法が選択されるが、予後不良例では手術療法も選択される
・除痛のためには患部の除圧が効果的である
・横アーチの向上を目的とした介入が効果的である
▼内反小趾
![スライド23](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29680305/picture_pc_8e1b1fc610e47a0402dd1d25a4b0ab9c.jpg?width=800)
・小趾内反角の増大に伴う小趾MP関節外側部の疼痛
・基本的には保存療法が選択される
・外側列のショパール関節/リスフラン関節の機能低下、適合性の悪い履物の使用が主な要因である
・足部機能向上を目的とした介入や履物の指導が効果的である
▼陥入爪・巻き爪
▶ まとめ
臨床でよくみられる足部痛とその捉え方についてまとめていきました。
基本的な病態を理解し、組織の治癒過程と機能改善の過程を踏まえて介入していくことが非常に重要になります。
今後は、それぞれについて細かく解説していきたいと思います。
お楽しみに!
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以上が「臨床でよくみられる足部痛とその捉え方」についての内容になります。
内容についての疑問・質問・指摘・要望などがありましたら、気兼ねなく私のTwitter(@idoco_daijiro)までDMをお願いいたします。
これからも機能解剖学・運動学に基づいた臨床感をお届けしていきたいと思いますので、よろしくお願いします!
▶ 執筆者
だいじろう(@idoco_daijiro)
![画像23](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/49189631/picture_pc_b08197b288f0c3d1dade95799c37e7c0.png?width=800)
[出身]佐賀県佐賀市
[居住地]鹿児島県鹿児島市
[職業]理学療法士
[専門分野]整形外科領域、スポーツ領域、ピラティス
[保有資格]
・理学療法士
・日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
・日本ピラティス協会公認マットピラティスコーチ
・FTEX institute(FTA4級/FOI4級)
[トレーナー活動]
・佐賀工業高校男子バレーボール部:2007~2009
・佐賀エレクトロニクス9人制女子バレーボール部:2008~2012
・鹿児島オールブラックス:2015~2017
・鹿児島実業高校ラグビー部:2016~2020
・鹿児島山岳・スポーツクライミング連盟 強化指定選手:2015~
・れいめい高校男子バスケットボール部:2022〜
・各種大会救護サポート
[WEBページ]
・医療・ヘルスケア・スポーツに関わる専門家のための総合プラットフォーム『XPERT』
コラムやセミナーなどを通じて、専門職の方々に役立つ情報をお届けしています。
・医療従事者向けオンラインコミュニティ『KIZUKI』~イマに気づき、ミライを築く~
知識・技術を臨床に活かすためのクリニカルリーズニングについて学ぶオンラインコミュニティです。セラピストの学びの場の地域格差・職場格差をなくすために活動していきます!
[一言]整形外科やスポーツ現場で経験を積み、現在はフリーランスとして整形外科のアドバイザーやトレーナー活動を中心におこなっています。セラピストやトレーナーの方々がもっとワクワクして活動していけるような社会を実現したいと思い、活動しております。CLINICIANSでは、整形外科やスポーツ現場での経験で培ってきた知見をお伝えしていきます!
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今回は以上で終わります。
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今すぐにご質問がない方におかれましても、他の方のご質問やマガジン執筆者の回答がかなり有益な学びになると思いますのでぜひグループ参加だけでもしていただければ幸いです。
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実践!ゼロから学べる足の臨床
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セラピストの学び場『KIZUKI』(停止中)
プラットフォーム移行に伴い、入会を停止しています。11月中旬から別のプラットフォームで募集しますので、しばしお待ち下さい!
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