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市川 太一 / Taichi Ichikawa
2022年5月25日 18:53
「…………ヤパン!」 ロシア語か、スヴァン語か。しゃがれた声が遠くに聞こえる。「…………ヤパン!ヤパン!フード!フード!」 二度目の呼び声で目が覚めた。時計の針は6時を指していた。「今いくよ」 僕は独り言を言いがら伸びをした。ゲストハウスLikaの朝は早い。急かされるように2階の寝室からダイニングへと下る。「人に起こしてもらうだなんて、久しぶりだな。」 ここウシュグリ村は標高2200