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連載「差押えコラム。未払金を取り返せ!④」 ー トラブルは話し合いで9割解決する。じゃあ残り1割は? ー

※当記事は連載「差押えコラム」の第4回です。第1回から読む方はこちらです。

こんにちは!筆者の渡邉です。このコラムは、私がある会社から、未払いとなった業務委託料を回収するまでの軌跡を記録したものです。初noteでいきなり生々しい体験談ですが、記憶が新しいうちに共有できたらと思い、筆を取らせていただきました。
私のように「会社から給料が払われない」「クライアントがギャラを振り込まない」といった被害にあわれている方にとって、少しでも問題解決の手助けになればという思いで執筆します。
現在は無事に未払金を回収し、元同僚と新たに「合同会社Mauve(モーヴ)」という会社を立ち上げ、アプリケーションやWEBサイトの受託開発を行っています。
※Mauveでもnoteにてコラムを掲載しておりますので、よろしければご覧ください。
https://note.com/mauve_0210/

登場人物の紹介

私は2020年末から、アプリケーション等の制作会社(以下、A社)で、バックオフィスの仕事を業務委託というかたちで請け負っていました。
契約上はオフィス勤務を求められていたため、業務は原則オフィスで行っていました。この勤務形態が後々、解決策の道標になるため前述します。

登場人物

2021年2月4日 ― 退職にはそれ相応の理由があるもの ―

 この日から私と栗田は新会社設立に向け、本格的に準備を始めました。A社の社長から電話が来たのはそんなときです。

 「この間頼んだ山本と野原の説得のことだけど、どうかな?2人とも会社に戻ってくれそう?」

 そう、私は前回の話し合いの後、すでに退職の意思を表明している山本と野原を引き留めるよう社長に頼まれていたのです。

「A社で継続して働いてくれないか伝えましたけど、その後彼らがどうするのかは聞いてません」

 実は私はすでに2人ともA社で働く気がないことを知っていましたが、本人たちの意思を許可なく伝えるわけにもいきませんので、なんとなくお茶を濁すようにこう返しました。

 とはいえ社長のほうは、悠長に構えている余裕はないようでした。私や栗田、山本、野原など、会社の状況を知ったメンバーが次々と退職を表明しているのですから、自業自得とはいえ社長が焦るのは仕方のない話です。
 
 社長は前日同様、山本と野原が急に辞めていったのは私が風評被害を広めたからだ、と私を責め立てます。もちろん私は風評被害など広めていないし、そもそも風評被害とは事実ではないことが広まって被害を受けたときに使う言葉です。会社の正確な経営状況を知って人が次々辞めていく今の状況はただの自業自得です。

 もとはといえば、支払うべき業務委託料が支払えなくなったことを社長がいつまでも隠していたせいで事態が悪化しているのに、これはあんまりな言い草です。

 あまりにも話にならないため、「そんなに私に責任を取らせたいなら弁護士でも雇って訴えてこい!」というような趣旨(ほとんどそのままの言葉だった気もしますが)を伝え、ひとまずこの日は話を終わらせました。

 社長がこのように、さも現状は私に非があるように訴えるのは、2月末に支払予定である1月稼働分の賃金を支払いたくない意思の現れだと予想していました。
 そしてこの予想は、最悪なことに現実のものとなるのです...。

 一方でこの日は栗田の個別面談の日でもありました。私と社長の関係性を踏まえて、面談は私の前でZoomで行うことになりました。
 社長は栗田に、なんとか会社に戻ってきてくれないかと懇願していました。栗田はA社の営業を一手に担っていましたから、いま退職されたらダメージは計り知れません。
 
 しかし栗田は、社長とは会社の経営やお金に対する考えが合わない、と復職を拒否し、契約解除を決めました。なお、栗田の賃金の支払いについては昨日(2/3)無事に完了していることは確認済みです。

2021年2月25日 ― タチの悪い相手とは ―

私たちの新しい会社「Mauve(モーヴ)」が稼働し始め、約2週間が過ぎました。

 私は1月稼働分の賃金の支払日(2月26日)を前に、約束通り支払われるのかを社長にLINEで確認しました。すると案の定、「山本と野原が会社に戻らないなら支払えない」という返信が来たのです。

 私はそもそも業務委託料の支払いと、山本と野原の退職の件は債権違い(別案件)であり、それを理由に損害賠償として業務委託料を担保にすることは無効だと主張しました。それでも社長は支払わないの一点張りです。

 そこまできて私はようやく「支払わない場合、法的手段を取る。今後は弁護士を通して連絡する」と社長に伝えたのです。

 問題が解決した今でも、当時を思い返すと腹ただしい思いでいっぱいです。

 今回の一件に限らず、これまでも数々の労働問題を自分で解決してきた私はその経験上、話し合いができない、話の通じない相手ほどタチが悪いものはないと思っています。

 債権、債務に関わらず、何かトラブルが起きた場合、まず相手と話し合うことで9割は解決すると私は思っています。それを相手から叱責されるのが嫌だからと話し合いを拒絶したり、いつまでも責任逃れをしては、その場はよくても将来的には自分の社会的評価や信頼性まで損なうことにつながります。そうなれば金額以上のしっぺ返しを食らうことになるのは、あらためて言うまでもないことでしょう。

 その後、私はこの一件を知人の弁護士に相談することにしました。話し合いで解決できなくなった今、事態はいよいよ法的な手続きへと進まざるを得ない段階になっていったのです。

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