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ANY COLORの企業分析トレーニング

こんにちは。
前回に引き続き企業分析をしていきたいと思います。

前回noteはこちら。

目的

対象企業

前回UUUMを対象にしたので、今回はVtuberを主軸にしたビジネスを手掛けるANY COLORを題材にしてみたいと思います。

分析の手順

いつものやつです(まだ2回目ですが…)

①とりあえずの結論をだす
今回も、ANY COLORの
・「売上総利益率」
・「営業利益率」
を予測することとしました(前回のUUUMと同様です)。

有価証券報告書の事業系統図をヒントとして利用しています。
あとは事前情報と先入観で、自分なりに理屈付けして結論を出してみます。

②答え合わせ
有価証券報告書や決算説明資料を見て、結論との答え合わせをします。

③裏付けの調査
結論と答えとの違いがあればなぜかを自分なりに調べます。
合っていたとしても、偶然かもしれないので、答えの根拠と自分の予測した理屈付けとが整合していたかを調べます。

④わかったこと
やってみて「わかったこと」、「わかったつもりだったこと」を洗い出してみます。
「意外と○○だった」的な発見が一つでもあれば優勝です!

それでは早速事業系統図から見ていきましょう。

ANY COLORの事業系統図(出典:有価証券届出書)

①とりあえずの結論を出す


以下のような仮説をもとに、PL数値についての結論(予想)を出してみました。
・UUUMの事業系統図と似ているため、利益率はほとんど同じ結果になるのではないか?
・アドセンスやタイアップ等で生じる手数料収入が事業の柱になるのではないか?
・動画配信をするのが、生身の人間か、Vtuberかで何か違いが生じるのだろうか?

ポイントは仮説や疑問に思ったことは言語化しておくことです。
答え合わせのときにどこで間違えていたかを検証しやすくなります。

②答え合わせ

ANY COLORの損益計算書(出典:2022/4決算短信)

想定に比して高い数値となりました。
UUUMと類似のビジネスをしている前提とするとかなり乖離しており、違和感があります。

(参考)UUUMの2021/5期の数値
粗利率:27%
営業利益率:3%

③裏付けの調査

予想と実際のずれがなぜ生じたかを調べます。

まずは売上高の内訳を見てみましょう。

(出典:2022年4月期 通期決算説明資料)


売上の情報を見ると以下のようなことがわかります。
・売上に占める比率が最も高いのはコマース事業
・ライブストリーミング⇒売上がほぼ横ばい
・コマース、プロモーション⇒売上が増加

ライブストリーミング事業は意外と小さいんですね…(主軸だと思ってました)。

次に、利益率の推移を確認してみます。

(出典:2022年4月期 通期決算説明資料)

セールスミックスの変化により粗利率が変わるとの記載があります。

売上の情報と合わせてみると利益率の変動はコマース、プロモーションの売上増加が寄与していそうです。

(出典:2022年4月期 通期決算説明資料)

営業利益に関しては、2021/4月期のQ4にオフィス移転関連の費用や決算賞与が生じたことから落ち込んでいます(下図参照)。

(出典:2022年4月期 通期決算説明資料)

ここで、UUUMの決算説明資料から売上の比率を見てみます。

(出典:2022年5月期 第3四半期決算説明資料)

一番比率が高いのはアドセンス(You Tubeからの収益)になっています。

2社の売上高推移資料を見てわかることは、
You Tubeからの収益が売上に占める割合(UUUMではアドセンス、ANY COLORではライブストリーミング)が異なるということ。

UUUM:アドセンスが売上高の柱
ANY COLOR:ライブストリーミングの比率は小さく、コマースが柱

以上から、利益率の乖離が生じる要因は、
手数料ビジネス(You Tubeからの収益等)の売上高に占める割合が異なることにありそうです。

それにしても、"生身の人間"ではなく、"Vtuber"による動画配信の方がコマースへ流入するユーザーが多いように見えます(事業のリソース投下の差にもよると思いますが…)。

ちょっとした違和感を覚えます。。

なぜ、Vtuberの方がコマースへの流入が多いのでしょうか。

これは、いわゆる「推し活」消費が背景にあると考えます。

アニメ要素があるのはもちろん、にじさんじIDを持つユーザーの大半が若い世代(Z世代)であることも関係がありそうです(下図参照)。

(出典:2022年4月期 通期決算説明資料)


最後にまとめです。

④わかったこと

・UUUMとのコスト構造の違いも調べると面白いと思いました。
・IPをうまく活用することでさらにコマース事業に売上が流れていきそうです。
・「推し活」色が強いゲーム業界、アニメ業界等との比較をしてみるのも楽しそうです。

・企業分析は「違和感を覚える」ところがポイントだなと今回改めて感じました。

大手町のランダムウォーカーさんの書籍がとても参考になったことは言うまでもありません(笑)

続編も!

最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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