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タレントプールの「作り方」と「使い方」

「タレントプール 」

タレントプールは将来的に採用の可能性がある優秀な人材(=Talent)と関係を保持していくためのデータベース(=Pool)と定義されている。
※Wikipediaより引用

HR業界に関係のある方なら1度は耳にしたことがある採用手法ですが、日本ではまだ市民権を得られておらず、多くの企業が「活用」の方法を探している状態です。

ということで、

・国内で活用している企業様の事例
・タレントプールを活用している海外企業の事例

をリサーチした結果、「タレントプールはどうすれば活用できるのか?」について、一つの答えを出してみました。

1. タレントプールの全体像

細かい話をする前に、全体像をお伝えします。(すごーく単純です)
以下の4つのステップを行えばOKです!

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海外と国内の事例を調べ、まとめてみたところ、全体の流れはどの企業も大きな変化はなく、日本と海外の差分は「作り方」と「使い方」だけでした。
では次に、タレントプールのリストは?タレントプール にはどんな人を入れればいいの?カジュアル面談から入れるの?最終面接まで行った人だけ?など「どう作ればいいのか?」お伝えしていきます。

▼タレントプール 活用の4step
 ① タレントプール リストを作る
 ② タレントプール リストを増やす
 ③ 情報収集をする
 ④ アプローチ

2. タレントプールの「作り方」

「①リストを作る」についてですが、こちらのスクショの項目を参考にして作ってみてください。(小さくてすみません🙇‍♂️)

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候補者、タレントプール に追加する際の必須情報は以下の7つ

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連絡を取った際の情報をまとめるために、以下のように記載

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これで、情報を入れる「箱」(タレントプール の入力リスト)はできたと思います。次は何をするかというと「箱」に入れる情報はどんなものがあるかを先に認識いただければと思います。

ではここで、そもそもタレントプール ってどんな人をリスト化していくのかについてお話しします。違う表現をすると、
「誰に」「いつ」「誰が」「どのような」で考えた場合の
「誰に」               を決めましょう。
ということです。

まず、ここで国内と海外で1つ目の差分が生まれています。
海外で認知されている「タレントプール」を図解してみると以下のよう構成になります。

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私も「潜在層?コミュニティ?」と思わされたのですが、それぞれを理解して、「使い方」のことを想定すると納得のいく構成になっていることに気づかされました。
(勘の良い方は既にお気づきかもしれないのですが)

国内で認識されているタレントプール、海外で認識されているタレントプールではまず構成から異なっていること。構成が異なるからこそアプローチ方法が明確に差別化できるため、まずは構成項目を理解してから「リストへ追加する」というアクションをとっていただければと思います。

少し長くなりますがタレントプールの
・各構成項目の説明
・「作る」際に抑えるべきポイントの説明
をお伝えできればと思います。

 2-1.タレントプールの「作り方」 ~過去の候補者~

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まずは過去の候補者についてです。
「ああ、それなら大丈夫」と思われた方は落とし穴にハマる可能性が高いのでご注意ください。
過去の候補者で
・採用ターゲットとマッチする方を追加すればいい
・採用したかったけど、辞退になった人だけ追加すればいい
など様々な基準で運用されているかと思いますが、下記の基準でタレントプール に追加した方が良いです。

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↑の基準で追加する最大の理由は、タレントプールは媒体スカウトなどの短期的な採用施策ではなく、中長期的な採用施策であるためです。
もし、「すごく採用したい!」と思った方が他社の就業を選択したとしてもその方のお人柄やスキルが2年以内に採用ターゲットでは無くなってしまう可能性は低いです。逆にもし、「今はまだスキルが足りない」と思った方であれば、2年以内にスキルアップをして採用ターゲットになる可能性は十分にあるよね。という考え方です。

▼つまり…
・辞退になったが採用したい人
 
  → 「未来でも」採用ターゲットの可能性が高い
・スキル/経験要因でお見送りとした人 
  → 「未来では」採用ターゲットになる可能性

尚、候補者をタレントプールに追加する際に絶対に必要なアクションがあります。

「自社への惹きつけ」です。
(惹きつけ:候補者が自社に対して強く興味を持ってもらうための行為)

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採用可能性が低い状態にしてしまうのではなく、「未来の候補者」の採用可能性を出来るだけ高くするために、自社に興味を持ってもらうことが非常に重要になります。

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採用ブランディング採用マーケティングをどれだけ頑張っても面談や面接、連絡で雑なやり取りを行ってしまっては「企業のブランド」も傷ついてしまうため、普段から丁寧なコミュニケーションを心がけることをオススメします。
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本項までで、「①リストを作る」はできているかと思います。次は「②リストを増やす」のstepに移ります。

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▼タレントプール 活用の4step
 ① タレントプール リストを作る
 ② タレントプール リストを増やす
 ③ 情報収集をする
 ④ アプローチ


 2-2.タレントプールの「作り方」 ~潜在層~

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「潜在層ってなに?」と思われるかもしれないのですが、少し思い返して頂ければすぐに分かります。
転職活動中に以下のようなことを考えたことはありませんか?

応募まではいかないないけど、この企業が気になる」
応募できそうなポジションは募集してないけど、募集再開したら応募してみたい」
企業に興味はあるけど、募集ポジションに興味はない」
今すぐ転職する気はないけど、タイミングが合えば応募してもいいかな」

「潜在層」とは、今は応募に満たないのですが、ある項目(前述した内容)が満たせば応募をする候補者を指します。
こういった状態になった候補者のことを取りこぼさないために、タレントプールに追加して「関係性」を継続・向上させ、「タイミング」を逃さないためにアプローチをしたほうが絶対に良いですよね。

具体的アクションとしては、ライトなフォームを作っておくと良いかと思います。例えばユーザベース様は「つながる・スカウトを待つ」ための「Uzabase Connect」という施策を実施されています。
本当に簡素ですが、Googleフォームで「ライトなフォーム」を作ってみましたので公開しておきます。(弊社にご興味をお持ちの方は是非回答ください!)


 2-3.タレントプールの「作り方」 ~コミュニティ~

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「作り方」の最後はコミュニティですが、今回はポイントだけまとめておきます。(できればベストなのですが、「可能であれば実施したほうがいいよね」という温度感になりそうだと感じています)
具体的な事例をみたい方は「タレントプール  海外事例」で検索するとLUSH様、ミシュラン様、Dell様、ゼネラルモーターズ様の記事がヒットするので、そちらをご覧ください。

コミュニティの事例を1つご紹介しておきます。
デル(Dell Inc. ※パソコンのDell) の場合、
「Job Alerts」の形式を取っており、希望する募集があれば通知が届くようにしています。将来の候補者として希望するポジションを選択・登録できるだけでなく、
・Facebookメッセンジャーで友達に募集を紹介する
・自身が紹介者としての登録もできる
のです。Twitter、LinkedInと連携した機能も搭載しています。そこで、定期的に自社の情報を提供できるようにしているなど、タレントプールとリファラルリクルーティング、ソーシャルリクルーティングといった機能が融合されている点が、大きな特徴です。

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コミュニティのタレントプールについては、以下の特徴があります。

1. 大前提として「ブランディング」が必要
2. リストには追加する方はこちらから選定する
3. ファンリクルーティングに近しい要素がある

LUSH様、スターバックス様の事例が典型的ですが、商品ファンや企業ファンの作りの代表企業です。なぜコミュニティ形成ができているか?についてはこの「ブランド力」つまり「ブランディング」が必要不可欠であるということです。

コミュニティ運用で必要なブランディングに関しては、「採用ブランディング」ではなく、「企業ブランディング」が必要になっています。
※Ubei株式会社様の「#Ubie 狂気の認知施策と選考設計」が分かりやすいかと思います。

このコミュニティへの発信を行われる場合、コミュニティには以下のグループがあることに留意して発信する内容を決めるようにするとうまく活用できるようです。

▼コミュニティにいるグループ
A: ただ商品やサービス情報が見たい人
B: 応募情報が見たい人
C: 企業やサービスのファンである人

さて、ここまでで「②リストを増やす」が完了しました。
本当にやる必要があるのか?と思われた方もいらっしゃるかと思います。ですが、未来の候補者、未来の潜在層へアプローチできる方法だと考え方を変えてみた場合、いかがでしょうか?

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また、この考え方はとある理論と類似しています。

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マーケティングファネルのAIDMAです。
マーケティングを行った企業、行わなかった企業の差は歴史が証明していますので、少しずつでも始めるべきだと個人的には考えています。


3. タレントプールの「使い方」

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次はタレントプールを「使い方」をお伝えします。
※多くの企業様が「使い方」が顕在的課題として認知されているかと思います

ここからは
「誰に」「いつ」「誰が」「どのような」で考えた場合の
    「いつ」「誰が」「どのような」を明確にします。

先に海外事例もふまえた結論からお伝えすると、
以下の3つのサイクルを回す」が答えになります。

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タレントプール活用が一般的な海外では、CRM(顧客関係管理)やタレントプール用のツールを使い、候補者の感情変化やアプローチタイミングを定量的に把握できるシステムを使った情報管理が行われています。(イメージはLAPRAS SCOUTが一番近いかもしれません)
そのため、海外においては「③情報収集」の時間が圧倒的に短く、「④アプローチ」の内容も簡単に決められるという特徴があるようです。

ですが、日本のスタートアップ/ベンチャーで「タレントプール活用のためにシステム導入コストをかけられるか?」と聞かれた時、恐らく「否」となる企業様もいらっしゃるのではと思われます。

ですので、「③情報収集」を人力で行うためには何をすべきかをまとめました。

 3-1. タレントプールの「使い方」~情報収集~

そもそもなぜ情報収集が必要かというと、どのようなアプローチをすべきかを決めるためになります。
例えば、3ヶ月前に面談/面接を実施した方に連絡しようとした時、以下のアプローチ方法の中から適切な方法を選んでくれと言われた場合、どうなるか想像してください。

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「毎月連絡をとっていた方」なら、ある程度絞れるかもしれません。
「全く連絡をしていない場合」は、もはや勘やギャンブルの類です。笑

では、システムの代わりに人力で連絡内容を決める情報収集を行うには、どうすればいいのかというと以下の3つが必要です。

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つまり、候補者に接する順に整理すると以下フローをずっと繰り返すしかありません。

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▼タレントプールの人力運用フロー
1. 価値観や判断基準の把握 ... カジュアル面談、面接時に実施
2. 心情変化の把握    ... 候補者のSNSを随時チェック
3. 周辺状況の把握    ... 候補者毎の業界ニュースを随時チェック
4. 連絡内容の決定    ... 1~3の情報を統合してどんな連絡するか決める
※タレントプール リストにいる候補者、全員分実施する

ここまでで
「誰に」「いつ」「誰が」「どのような」
で考えた場合の
「誰に」「いつ」    「どのような」が決まりました。



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「1ヶ月に数十人会っていて、どんどん増えていくタレントプール リストの候補者全員に対して実施できるわけがない」です。(少なくとも私はそう考えました)
採用活動に苦労していて、ただでさえ時間をかけているのに、これ以上時間をかける選択は物理的に無理ですよね。

そのため、どうすればいいか考えました!

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定期的に連絡をして情報収集も関係性づくりも兼ねてしまおう。というものです。このサイクルを1ヶ月毎に回していきます。
これまで説明いたしました内容で、
「誰に」「いつ」「誰が」「どのような」で考えた場合の
「誰に」「いつ」           が決まりました。

次は、「誰が」「どのような」を決める方法についてです。

 3-2. タレントプールの「使い方」~アプローチ方法~


「どんな連絡をすればいいの?毎月メール送るのってしつこくない?」と思われるかと思いますが、その方の情報は既にタレントプール リストに揃っている状態だと思います。
※もしリストの情報が不十分な場合は、面談や面接内容の見直しから開始することをお勧めします。

タレントプールリストで、候補者様の採用可能性を把握できているかが効いてきます。

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候補者の状態を把握することで採用可能性が分かれる特徴を活用し、候補者の状態によって、どのようなアプローチ方法が選択します。
以下の2つの図を参照ください。

状態とアプローチ方法の基準

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ここまでで
「誰に」「いつ」「誰が」「どのような」
で考えた場合の
「誰に」「いつ」「誰が」「どのような」が決まりました。
注:コミュニティへの発信は全く別物ですので、ご注意ください

その後は連絡を続け、Level.4以上のアクションが取れるようになれば、積極的にアプローチをかけに行ってみてください。

4. 最後に

タレントプール 活用のポイントをまとめると以下のA〜Dになります。

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A.活用には4つのステップが必要

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B.タレントプール は3種類で構成される

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C.定期的に連絡する

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D.連絡内容は状態別で判断する

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いかがでしたでしょうか?タレントプール運用についての支援もしております。ご興味をお持ちの方はお気軽にご連絡をいただければ幸いです。採用状況を鑑み、無料でカウンセリング・商談も実施しておりますので、よろしくお願い致します。





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