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経営戦略としての人的資本開示を読んで

人的資本のウェビナー実施に向けての情報収集として読んだ。

人的資本については人材版伊藤レポートが令和2年9月に、また人材版伊藤レポート2.0が今年5月に発表されており、読むことで概要は理解することができる。

ただ、実際にどのように人事担当者は考えればいいか?という視点では具体的な情報が不足しており、本書ではドイツ銀行や楽天グループの事例が掲載されているため、具体的な知識を補うことができる。

人的資本がなぜ注目されているのか?

2008年リーマンショックで金融資本主義が崩壊し、人的資本、人が資本だというパラダイムが起きた。

その後、2018年12月にはISO30414が発行、2020年11月にSECが人的資本開示を義務化、日本ではその後人材版伊藤レポートが発行、
2021年6月に成長戦略会が閣議決定、人的資本情報の見える化推進が明記される。

そしてこの夏にも具体的なルールが公表される。


今後企業に求められる対応として、
①やっつけ開示
②戦略的開示

どちらで行うのか?

②と①では企業競争力に差が生まれていく。

人的資本の公表における考え方を分かりやすく記載すると
以下となる。

①インプット
何にいくらコストと時間をかけるのか?
例えば研修費、福利厚生費

②アクション
どのような活動を行っているか?
組織一体化のためのミーティング、1on1など

③アウトカムとして
何を目指すのか?エンゲージメントスコアの向上 等

これらを経営戦略から落とし込み、KPIとKGIを立ててデータドリブンに施策を実施していく。

その数値を投資家、労働者、労働市場が評価する。

年功序列・終身雇用の日本型雇用システムではヒトが定量化されておらず、なんとなく社歴が長い=スキルが高い=えらい だったが、
ヒトを見える化することで、社内の人材流動性、リテンション、結果的に生産性の向上、持続的な企業成長に繋がっていくということ。

人的資本経営は企業活動の根幹となる幹の部分。水(投資)を与え、太く成長させていく。結果、多くの枝から果実(利益)がなる。成長を見える化することで育っている木か否か評価することができる。
幹が育つには教育、健康、プライベート、組織、コミュニケーション、様々な要素が必要。そのためにHRツール(肥料)でデータドリブンに成長を記録しないといけない。

日本から多くの木を育てていく。これが人的資本経営なのだと理解した。

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