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読書感想文: プロダクト機能リリース優先の罠

ここ数年、日本でも結構”プロダクトマネージメント”の仕事やロールが注目を浴びる領域として、Webサービス系が真っ先に上がるんじゃないかと思ってる。本を書いている人、このNoteにプロダクトマネージャーとはなんだと書いている人、また採用でデータサイエンティストと並ぶようなキラキラした職種の一つに見えるプロダクトマネージメントという仕事・ロール。なんでこんなに改めて、もてはやされてるのか理解できないけど、利用されたプロダクト・サービスを作った人たち・会社がやっている方法でモダンなものを集めた商品企画職を横文字にしただけという感じが正直しています。

でも、学ぶことをせずに、古いスキームや定義の再拡張によって物事を解釈するだけだと、自分としても成長がないかなと思って、ここ最近、プロダクトマネージメントに関連する本を色々読んでます。今日はお勧めとされている本の中から、一つ紹介したいと思います。

今回同僚に勧められて読んだ本は上記の "Escaping the Build Trap"という本。よみ終えてから、日本語版もあったので、一応リンクを。英語版は2018年で、日本語版は2020/10で、つまり話題になってから、日本語版が出たんですね。

内容を簡単に要約すると、「機能リリース数・スピード」ばかり重視しているプロダクトマネージメントの組織会社はプロダクト開発の本質を見失う罠にハマっている。その機能開発が何を解決できるか、そしてどういう価値を認めても売上やユーザーが増えるのかをベースに考えるべきだが、それができていない会社・チームが多いよねっていう話でした。

オンライントレーニングのコンテンツを先生たちが作って提供できるようにするMarquetlyという会社(ネットで検索したけど実在サービスが見つからず・・・)で、プロダクトドリブンな会社・組織を作ってきたという具体例をベースに、組織・ロール・プロダクトビジョンから機能開発への落とし方、また組織・チームの評価方法など色々な軸から取り組み方を失敗例を交えながら紹介してくれています。

例えば、Webサービス系のプランニング・開発業務をしていると、ABテストや事前のUXリサーチをするみたいなのは結構当たり前に行われている認識なので、そんなに斬新な内容でもないのですが、もしそういう環境で仕事をしたことがない方には、この本のExperimental approche について書かれている章は結構参考になるかもしれません。ただ、もちろん、ユーザーストーリーを考えるとか、機能開発前のリサーチ調査方法について、そういった専門の本も多々出ているので、より進んだ学びが欲しい場合は他の本を参考にした方が良さそうです。(昨年、SingaporeのNLBで借りて読んでいた本があったのですが書名をすっかり忘れてしまったので、また思い出したら紹介したいと思います。)

この本の極端な悪い例・Build Trapにハマっている組織・チームは正直多くないと思うのですが、KPIを誤っている、ゴール設定がずれているが故に伸び悩んでいるケースは多々あるのかもしれませんので、色々参考にできること、取り組めてないことを見つけ出して、やってみるというのには良さそうです。逆に本当に極端な例にはまっている環境(機能リリース数が全ての価値評価基準の環境)の場合、役員レベルのひとも組織の根底から価値観や方法論を少しずつでも変えるつもりがあるか、または現場からの意見を取り入れて変えていける文化がある会社でないと、この本通りにProduct Led Orgを確立するには相当時間がかかる気がします。

*ちなみに、この英語版の本も、非常に読みやすい文章・単語レベルで書かれているので、英語の本で読んでみたいけど、まだ抵抗があるみたいな人たちにも、学びながら、英語の本になれるという意味でおすすめかもしれません。

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