マーケティングとは「ビジネスをコントロールすること」。数多の業界を知る敏腕マーケターが語る真実(後編)
前編に続き、幅広い業界の企業を支援するマーケター・長瀬次英氏から、マーケティングについて学んでいくインタビューをお送りします。後編では、「もし今からブランドを始めるならどうやって伸ばす?」という問いから、新たに事業やサービスを立ち上げたい人、また個人のSNSなどをどのようにブランディングすべきかを考えている人向けに、より具体的な内容についてお応えいただきました。
聞き手:木本考紀 写真:きるけ。 構成:小野祐紀
本当のマーケターなら、親が始めた名もなき店を繁盛させられるのか?
── 長瀬さんはマーケターとして、ユニリーバのブランドマネージャー、Instagram日本事業の初代代表、日本ロレアルのチーフデジタルオフィサーなど、輝かしいキャリアを持っています。望んだとしてもそう真似できる経歴ではないですが、いわゆる“普通の人”がこれからブランドを立ち上げる場合どうしたらいいでしょうか? たとえば仮に母が地元で小料理屋をやりたいと言ったとき、予算などリソースが限られている中で、長瀬さんならどんなHowを実践するのか聞きたいです。
まずはマーケターとして、ビジネスのサイズというか、マーケットがどこなのか把握することから始めます。店から半径1キロ以内なのか、月100万円規模なのかなど、ビジネスのサイズから考えますね。本当に必要なマーケットサイズをふまえて、何人が何回食べに来てくれたら続けられるのか、損益分岐点やP/Lを確認するのが一番大事です。
── なるほど。経営的な視点が1番大事だということですね。
たとえば店の賃料や仕入れなどのコストをまかなえるラインが300万円だとすると、30日営業するなら1日の売上10万円が損益分岐点ですよね。売上目標ということだと、少し余裕を見て月350万円だとします。そこから客単価のイメージやメニューを考えて、粗利の高いメニューやアルコールとかをどのくらい出せばいいのかとか、メニュー開発や価格設定をしていきます。
その土台があった上で、誰を呼ぶかを考えます。ここで何組くらいのお客さんがいるといいかが見えてきます。仮に目標を1日5組だとしても、1週間に1回来る人なのか月に1回来る人なのかで、お客さんにすべき人数が代わりますよね。
── その考え方をすると、目標客数ではなく「ファンを何人つくるか」という発想になります。
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