雨の受けとめ方
「あ、雨!」
ぶらんこに乗っていた五歳息子が真っ先に反応した。
「ついてないな、せっかく」
広げようとしたシートを畳み、屋根のある場所へ。
ぼやく私とは反対に「雨の匂いがいい」と明るい妻。
「写真で面白そうな滑り台があった」
妻の直感に従い訪れた公園。
しばらく待てど霧雨は濃くなるばかり。
お弁当を食べ終える頃には多くの家族が引き上げた。
「せっかくだから遊んでいこっか」
妻が息子に声を掛ける。
子どもにとって雨は遊びのエッセンス。
嬉々として飛び出していった。
ドロドロになって一緒に滑り台を滑るママ。
「パンツまでぐしょぐしょー!」
人いないからいいけど、それ叫ぶ?
――帰り道。
息子は着替えがあったが、妻のはない。
空席だらけの電車で一人立っている妻に、使わなかったレジャーシートを座席に引いてあげた。
「シート持ってきて良かったね!」
息子が得意満面に言い、
「今日はいいことづくめ」と妻。
たくましい家族がいると自分まで幸せになる。
顔面に雨煙りけり半仙戯
(がんめんにあめけぶりけりはんせんぎ)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?