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人の思いは、鮮度が命。

平日は籠りがちな私。
折に触れ、五歳息子が拾ってくる自然――
石やどんぐり、抜け殻、草花……が楽しみの一つ。
果たして今日は――

締め切りに追われ、18時に作業が終わらなかった。
帰宅の息子が何か言ってたが適当にあしらってしまう。
三十分して我に返ると、「二人のお庭」(※タイトル写真、ミニチュア)に葉っぱが一枚追加されていた。

すぐに息子の所へ。――これどうしたの?
不貞腐れてたのかマイクラに夢中なのか、息子は見向きもしない。
妻が代わりに「明日病院でしょ。お守りだって」

Googleレンズで調べると、柿の葉。
特に「柿若葉」は、新緑のみずみずしさを一番感じられるものらしい。
鼻を近づけると、甘い香りがする。
仕事の疲れは一気に吹き飛んだ。

夜、明後日行く旅行の荷づくり。
ワクワクの息子の機嫌は最高潮。
あらためて「お守り、ありがとね」と伝える。
息子はきょとん。
「葉っぱ」と言って持ってくると「違うよ、これ旅行の切符だよ」

内容が変わってしまっていた。


旅の荷に添えるお守り柿若葉

(たびのににそえるおまもりかきわかば)

季語(初夏): 柿若葉


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