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ガープの世界


ポップコーンは買わない。vol.128

太田光、TaiTan、「大衆とは」

本作を知るきっかけになったのは爆笑問題の太田光氏だ。
彼らのレギュラーラジオ番組である「爆笑問題カーボーイ」を聴いていた時に、同局の同じくレギュラー番組である「日曜サンデー」での出来事を話していた。

日曜サンデーのゲストコーナーで、Dos monosのラッパーで、脳盗のパーソナリティでもあるTaiTan氏が登場し、トークを繰り広げていた。
その中で、 TaiTan氏が太田氏に投げかけた質問の一つに

「太田さんにとって、大衆とはなんであるか」

という問いかけがあった。確かオンエア内で聞くことができなかった質問のうちの一つとして奇奇怪怪でTaiTan氏が挙げていた気がするだが。まぁいいや。

その回答としてカーボーイで太田氏が話始めたのが、この「ガープの世界」についてなのだ。

とにかく太田氏があらすじを見事なまでに語っていくのだが、それがなぜだか異様に面白い。

そして完全なるネタバレ案件なのだが、これが肝で、ネタバレしたとておもしろさなんて微塵も減らないし、むしろ増幅しているとさえ感じた。

これだけのエピソードと紐付けされている作品の一つになったため、むしろ印象に残る一本として私の中にはカウントされた。

これは私だけではなく、カーボーイ、日曜サンデー、脳盗、奇奇怪怪を聴いているリスナー共通の出来事だと勝手に思っている。w


この放送の後に観たもんだから展開を全て知っているのだが、あらすじを知っている分、細かな表情、動作、背景の機微に目を向けることができた。2回目を観ているかのような感覚。それだけ太田氏の再現度が凄かった。そういった余裕が、初めて観るにもかかわらず、あったのは新鮮だった。


もちろん本作単体だけでも十分に面白いし、アカデミーでもいくつかノミネートされていたはずなので、素晴らしい作品には間違いないのだが、こうした作品とは別のレイヤーで展開されるエピソードで作品の面白さと印象が増幅される経験というのは最高なんだな。

何かしらの方法で、ラジオと込みで本作を楽しんでもらたらと思う。


ドキュメント72時間とガープの世界


他人とは非日常な存在である。
大衆という言葉で括られるほど人間ひとりひとりは画一的なものではない。

本作を観ると、人はそれぞれの人生、ドキュメント72時間観てたってそうじゃない。

同じ場所で定点観測してたって、そこに訪れる人たちの人生は様々で、それを深堀しないまでもどんな人がどういう思いで訪れているのかを想像するだけで、ひとりひとりの人生の時間軸の奥深さを感じて涙を流してしまう。

ガープの世界は主人公を軸にしていろんな人物が登場する中で、主人公がある種軸になりすぎていない部分に72時間との共通点を感じる。

観測する場所を軸にしていろんな人の話を聴いていく、ガープを軸にしていろんな人の人生を垣間見る。


最後に

大衆の一人として、他と違うことに関して思い悩んだりすることがある。

違うことが当たり前なんだから、自分は奇妙なんだと思い、ミュータントとして生きていくことに疑いを持たない方がいいと思う。

でもそこから出発して、他者との共通項を擦り合わせて肩を寄せ合う、それこそが愛なのかもしれない。

ポスターにも「愛、さりげなく」という文言。

「さりげなく」がいい味だしてるなぁ!

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