ポップコーンは買わない派です。vol.45
音楽
絵が下手だから価値がないというのは幻想
予告編
あらすじ
大橋裕之によるロック奇譚漫画『音楽と漫画』を長編アニメ化。楽器を触ったこともないのに、思いつきでバンドを組むことになった不良学生たちの姿を描く。岩井澤健治監督が約8年にも及ぶ個人制作期間を費やし、4万枚超の作画をすべて手描きで作成。さらに実写の動きをトレースするロトスコープの技法を採用し、異例尽くしのアニメを完成させた。
はじめに
音楽というタイトルのシンプルさといい、絵のタッチのシンプルさといい無駄なものを一切削ぎ取って作られた作品で、それでいて「衝動」という表現しがたいものを見事に再現している。
鑑賞当時、洋楽ロックにハマりかけている時でまさに登場してくるモチーフは洋楽のロックンロールスターの作品、メタファーばかりだった。
というのは後になってからいろいろわかって、初めは所々でしか理解ができなかった。
例えばこのシーンで見れば、ジョンレノンのmind games、レッドツェッペリンのmather ship、ザフーのwho's next、ピンクフロイドの原子心母、多分ビートルズのサージェントペパーズのジャケットの中にいるやつ。
などなど弩級の名盤から抜粋されている小ネタがいっぱい詰まっているのだ。
これなんかはアビーロードだろうし。
これなんかはザクラッシュのLondon callingのジャケットだろうし。
他にもたくさんあった。後から思えばw
美術館で絵画をみるって難しいですよね。それをもっとわかりやすくした感じの原作です。
同名マンガが原作で、ぜひ読んでみるとわかるのだが独特な絵のタッチと、もったいないくらいの余白が特徴的。最低限のセリフで無言のページも少なくない。一見すると誰にでもかけそうな感じがすが、その余白に深みがある気がしていて、無言を読むということを体験できた気がする。
無言を読むって訳わからないこと言ってると思われるかもしれないけれど、その絵を率直に感じて想像して自らの気持ちをはめ込んで考えることができる。
絵画を鑑賞するときに似ているのかな。わからないけどw
その絵画のレベルをいい意味で下げて身近なことととして考えることができると思う。
見てのとおり全く難しいタッチではないので、是非ご覧いただきたいと思う。
坂本慎太郎さん
坂本慎太郎さんをご存知でしょうか。
音楽好きな方はピンときたのではないでしょうか。そうです。元ゆらゆら帝国というバンドのフロントマンのあの坂本さんです。
その坂本さんが主人公、研二の声優に挑戦されています。
この作品とゆらゆら帝国の音楽のテーマ性ともリンクする部分があると思うのでゆらゆら帝国を聴きながらマンガを読んでみてもいいかも。
さらにいうと!ドレスコーズが担当している主題歌「ピーターアイヴァース」は坂本さんが崇拝してやまないアーティストということ。明らかにそれを意識して作られてますよね。ロックンロールをテーマにしてどこまで枝分かれさせて重層的に構成されているんだと驚きました。
衝動をテーマにした作品
この作品のテーマは衝動
衝動ってどういうものか
説明できる人っていますか??
衝動ってこういうことかって伝わってくると思います。
最後に
この作品から表現の余白、引き算を勉強できた気がする。最低限の情報、余白から想像させる。そうするにはたくさんの情報が必要。削ぎ落とすために。そんな表現を身に付けられたら幅が広がっていいのかなと思います。
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