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ポップコーンは買わない派です。vol.32

ジョーカー
(アカデミー賞 主演男優賞 作曲賞 受賞!)

映画っていうのは擬似体験からいろいろ学べることに価値があると思う。
だからこそジョーカーという人物は社会を考える上で重要な人物であることは間違いない。

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予告編

あらすじ

「どんな時でも笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸に、大都会で大道芸人として生きるアーサー。しかし、コメディアンとして世界に笑顔を届けようとしていたはずのひとりの男は、やがて狂気あふれる悪へと変貌していく。

予告からワクワクする展開に約1年前から期待に胸を膨らませていた。やっぱり凄かった。
ジョーカーというのはいわゆるアメコミであるバットマンのヴィランとして強い存在感を示している。そんなジョーカーの誕生の物語がここまで深刻な格差の問題を取り扱っていたとは…。

今頃ジョーカーやるとか時代に乗り遅れてる感半端ないけどw、記録なので許してくださいw。

ジョーカーになる過程を納得せざるをえない状況。でも…。

これはすなわち、これまでの作品で登場しているジョーカーというのは究極の悪としての象徴だったわけだが、本当に悪いのはジョーカーを作り出した社会なんじゃないかって思わされるわけだな。

まあ設定や話の内容はフィクションなので他の作品と比べたりするのはナンセンスなのだが、作品の構造としてはこれまでの見方とは違う見方を観せているのは画期的であると思われる。

どうだろうか、テレビの犯罪者はもちろん悪いという風に映すし、もちろん悪いことをしているから当然なのだが、でもでも、一歩立ち止まって考えてみたときにそんな容疑者を生み出してしまったのは何故なのかということを考えることの方が適切なのではないだろうか。

もちろん全てにそんなことをしていたら時間がないし、裁けるものも裁けないということになってくる。しかし、考え方の幅が広がって行動に起こせば、何か議論になったりとか、体制が変わるチャンスがやってくるのではないだろうか。

初めから悪い人なんてこの世には存在しないのだから。悪が悪になり得る要因は突き詰めていくと、きっと些細なことなんだろうなと思う。例えば、自分の支配(コントロール)の下に置けなくなった状況が成り立ったとき。

この作品では主人公の精神疾患によるアーサー自体の妄想癖というものが初めの場面ではわかりやすく表現されているのだが、だんだんと物語が進んでいくにつれて、妄想なのか現実なのかという境界が分からなくなってきてしまう。だからラストシーンから振り返ってみると、全てが妄想だったんじゃないかということが浮き彫りになってきて、作品まとめてジョークだったとしたら……なおのことすげえ作品だなと思い知らされる…。


クローズアップしたら悲劇、遠くで見てたら喜劇

モダンタイムスという作品をご存知だろうか。

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喜劇王チャップリンが、貧困層の労働を描いており最低賃金で働くためにギリギリの生活を強いられ、徐々に精神が壊れていく、という話の流れ。チャップリンはこの悲しい物語を喜劇として演じたのだ。

どういうことなのか。

これは構造として、近くで見たら悲しい物語なのだけど遠くで見たら他人の失敗、苦しみというのはコメディになるというのだ。これを知ったときは見せられて笑っている方が哀れだなと劇場をさらに俯瞰して見たときにそう感じた。
ジョーカーではこれを逆に悲劇として描いている。ジョーカーのメイクをしている時のアーサーの目には涙が溢れている。

ジョーカー(アーサー)を演じた
ホアキンフェニックスという俳優について

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ホアキンフェニックスという俳優は社会問題に対して関心が高く、気候変動に関するデモに参加して逮捕されたというニュースが飛び込んできたのは記憶に新しい。逮捕されたからといって日本のように99%有罪というわけではないのですぐに釈放されたらしい。
アカデミー表彰式でのスピーチも印象的だった。

そういった地球規模で演技に向き合ってる感じが表現者として魅力を感じる。ジョーカーの演技はもちろんのこと、表現者としてのホアキンがジョーカーに乗っかっていたのが主演男優賞につながったのではないのかとも考えさせられる。
どんな職種であろうとも表現することは重要なことなんじゃないかと思うわけで、地球規模で考えたことを自分の仕事なり、作品として表現することはしていく必要があると思うのだ。

歴代ジョーカーについて軽く。

歴代でジョーカーは6名によって演じられている。
初代:シーザー・ロメロ

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2代目:ジャック・ニコルソン

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3代目:ヒース・レジャー

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4代目:ジャレッド・レト

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5代目:キャメロン・モナハン

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6代目:ホアキン・フェニックス

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これまでジョーカーは6人の俳優によって演じられてきた。5代目はドラマだけども。初代のジョーカーは1966年の作品で登場する。この頃からのビジュアルは基本形として完成していたのだ。

時を経て登場したホアキンジョーカーは善であったはずの青年から悪に落ちていくということを描いている。

実際に、「タクシードライバー」という映画の主人公を参考にしているらしい。監督はマーティン・スコセッシ。演じたのはコメディショーの司会役で出演していたロバート・デ・ニーロ。

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また、アーサーが憧れていたスタンドアップコメディアンという題材についてはこれまたマーティン・スコセッシ監督の作品である、「キングオブコメディ」だ。これも主演で演じたのはロバート・デ・ニーロ。いろいろ因縁を感じるw。

今作だけでなく、ジョーカーというキャラクターは悪とはなんなのかということを考えさせられる。ダークナイトを観るとよくわかるように、善と悪というものが表裏一体として描かれているのだ。だからこそ、悪というものが表面的に観たときに黒のはずなのに深ぼってみるとグレーなんじゃないか、むしろ考え方としてはその一個人がそのように悪になってしまったのは仕方のなかったことなんじゃないかって思わされるのだ。だからこそ、ニュースをみるときには本質を見極める必要がある。メディアリテラシーというものだろうか。より良い社会にはまず一人一人が意識していく必要がある。


コロナも流行ってるしね!

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