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ポップコーンは買わないvol.108

東京物語

帰省とは逆の概念
〜親が上京してくるパターンのやつ〜

自分が関東に進学して一人暮らしをしているときに、親が上京してくることがあった。母と妹×2がやってきた。

その当時は大学2年生で、大学生活に慣れてきて正直帰省も面倒くさくなってきたりましてや田舎から親が来るなんてことはさらに面倒くさいと感じてしまうことの一つだった。

それが来るというのだから、部屋の片付けやら掃除やら見られてはいけないものを隠したりやらで、大変な惨事だったわけで…。

そんで親たちがやってきて、こちらの観光地やらご飯やらに付き合って、宿泊もアパートにしてもらってなど、色々と大変であった。

これを読んでいる方の中にももしかしたら、そういう経験のある人もいるのではないかと思う。

上京して間もない時はホームシックにもなったし、大学に通うのが憂鬱な時期も少しあった。けれども時が徐々に経っていくにしたがってそんな気持ちも薄れていき、一人で暮らす術も備えてきた頃になってくると自分があたかも自立して生活しているかのように感じられる。

でも実際は、親からの援助があって生活できていることが事実。

感謝しなくてはいけない事項である、それに親の身になってみれば子供が進学して向こうでの暮らしのことが心配になるのも無理はない。

ましてや電話もろくにしてないのだから。笑
↑電話不精についてはまた別の機会に論を立てたいと思っている。

とまぁそんなこんなで、つらつらと書き連ねてきましたが、今回取り上げる東京物語では広島に住む親が子供兄弟とその家族が生活している東京に訪ねてくる。

そんな帰省の逆の概念での家族の再会から、家族という共同体が徐々にズレていく様子を丁寧に描いている。

小津安二郎監督の作品は観ておいた方がいいでしょうということで

小津安二郎監督は、親子関係や家族の解体をテーマとする作品を撮り続けたことで知られ、黒澤明や溝口健二と並んで国際的に高く評価されている。

東京物語は小津安二郎監督の代表作の一つであり、
『晩春』(1949年)、『麦秋』(1951年)、『東京物語』(1953年)の「紀子三部作」の一つである。

小津監督は通っておかなくてはいけないと以前から思っていたので、やっと見れたのだ〜。

小津監督といえば、ローアングルで、固定させたカメラでの撮影が特徴的で、他にも180°ルール破りや、相似形の構図などさまざまなアプローチが挙げられる。

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やはり画面を見ていると非常に巧妙な画面作りに驚いてしまう。

カメラは固定しているので、役者の動きが全て計算し尽くされている。
カメラを振ることがないので、奥行きの使い方もすごく巧妙。
人物同士が被ることなく、それぞれが自然な挙動として見せてるのが逆に不自然だったりもするのだが。笑

上記にもあるように東京物語の他にも、「晩春」や「麦秋」など作品は多数あるので、今後ともウォッチし続けていきたいと思う。

本当に大切なものは東京にありますか?

親が元気な時、あなたは自分の親が死ぬことについて考えることができますか?

ちなみに私は考えたことがない。

親に対しては元気だと寄り添えないことって誰しもあると思う。何かしら弱っていたり、頼られた時に初めて奉仕の心が芽生えてくる感覚はあるとは思が。

「近親への忠誠心」

というワードは僕が最近推しているDos Monosの曲の歌詞に出てくるのだが、その象徴として挙げられるのが原節子演じる、紀子なのだ。

彼女は戦争で旦那を亡くしている。いわば未亡人だ。未亡人なのだから再婚やら恋愛やらは自由なはずだが、彼女の考えなのか周りの世間体を気にしてなのか、一人で暮らしている。

身近な人間を亡くすという経験をしているからこそなのか、紀子は義理の親に対して心底丁寧に接している様子が印象的だ。

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戦争で死んでしまった人のことを誇り高く思え、というのは戦時中の教えの一つであったと思うが、実際問題そういうわけにはいかないだろう。

まだ若いのにそんな経験をしたものだから紀子はせめてもの気持ちをということで、義母や義父に対してあのような態度でいられたのではないかと考えるのだ。

話を戻すと、人間というのは経験として大切な人やペットを亡くした経験がないとなかなか今を大切に生きていくことは難しいのかなと思ってしまう。もちろん頭ではわかっていても、態度や行動として示せるかどうかというのは、厳しいものがあると思う。

私自身はさまざまな事情を加味して、実家の仕事に就職することになった。その形自体が孝行に値していると感じているし、表彰されてもいいと思っている。

だって世の中には自由に自分のやりたいことで仕事をしている人間もたくさんいる中で、身分の理由からそんなことを夢見ることもできていないのだから、と辛くなってしまうこともしばしば。

だから、SNS等で拝見する田舎から上京して頑張ってる人をみると羨ましいと思う反面、妬みや僻みみたいなことも思ったりする。⇦SNSやめれw

最後に

東京物語をはじめとした小津監督の作品は家族をテーマにして描かれてい流ため、誰しもが何かしらを感じるはずだし、当事者意識として観ることができる作品であると思っている。

また、人によっても感じ方はそれぞれなのでどんな感想を持ったのか議論するのも有意義だと思う。



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