築地本願寺公式

東京・築地にある築地本願寺(浄土真宗本願寺派)の発行する「築地本願寺新報」の公式not…

築地本願寺公式

東京・築地にある築地本願寺(浄土真宗本願寺派)の発行する「築地本願寺新報」の公式noteです。築地本願寺新報の掲載記事や取材の裏話、築地や仏教、宗教にまつわるコラムやインタビューなどを掲載していきます。

マガジン

  • 多田修の落語寺

    本願寺派僧侶であり、大の落語好きとして知られる多田修が、落語と仏教をテーマにしたコラムを執筆します。

  • 悩みを抱えている方へ

    人には相談しづらい悩みを抱えている方や、最近ちょっと元気がないと感じている方へ。僧侶が答える悩み相談や僧侶が仏教の視点から問うコラムを集めました。

  • 酒井順子連載「あっち、こっち、どっち?」

    築地本願寺新報に掲載中のエッセイストの酒井順子さんの連載です。気になるふたつの言葉を取り上げて、紹介していきます。

  • ご旧跡、歩いて記た

    2024年4月に築地本願寺で勤められる「親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要」を記念して、宗祖・親鸞聖人(1173-1263)が関東の地に残された由緒を伝える「ご旧跡」を、令和の時代に昭和の香りを残すおじさん僧侶2人が巡ってみました。

  • 築地の寺婚

    2020年7月から築地本願寺ではじまったのが、結婚相談サービス「築地の寺婚」です。昔から地域交流の場として利用されていた「お寺」という場を通じて、より多くの人のご縁を取り持つべく、スタートしました。ご縁を求めるすべての方に向け、記事を発信します。

記事一覧

社内恋愛はもはや大罪? 変わりつつある「自然な出会い」の定義

 マッチングアプリで出会って交際や結婚をする人が、急激に増えています。数年前までは、アプリで出会って結婚することに対して、「えっ」という顔をする人もいましたが、…

人の話を聞く上で、知っておきたい大切なこと【仏教で答える悩み相談35】

人の数だけ、悩みは尽きぬもの。 皆さまから寄せられた悩みに、お坊さんや仏教関係者たちが答えます。 今月のお悩み Q いつも家族をはじめ、周囲の人から「あなたは人の…

犬の供養に鐘をついた男【多田修の落語寺・天王寺詣り】

 ある男が、お彼岸に四天王寺(通称は天王寺)で亡き人の供養をすると功徳があり「天王寺の鐘をつくと十万億土(無数の世界)に響く」と話します。それを聞いた男は「うち…

「満」や「密」な状況がもたらす、濃厚な時間もある

 このゴールデンウィークに、浅草に行く機会がありました。久しぶりに行動制限の無い大型連休ということで、混んでいるであろうことは間違いない。覚悟をして行ったら、や…

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親鸞聖人の『歎異抄』を英語で読んでみた

●『歎異抄』序【英文】 A Record in Lame Lament of Divergences, Preface As I humbly reflect on the past [when the late Master was alive] and the present in my fo…

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人は理解できないものを恐れ、遠ざける。僧侶が読み解く『こちらあみ子』

「仏教と関わりがある映画」や「深読みすれば仏教的な映画」などを〝仏教シネマ〟と称して取り上げていくコラムです。気軽にお読みください。 第97回「こちらあみ子」森井…

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築地本願寺で50年に1度行われる“大きなお祭り”、知ってますか?―築地本願寺鼎談―

4月26日(金)から、4日間に渡って築地本願寺で開催される親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要。そこで今回、築地本願寺総代・中村弘奉讃会会長、圓正寺住職の倉澤…

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「あげる」行為は楽しいが、時に暴力的でもある。

 近所のおばあさんの家に行くと、いつも必ず、持っていった物以上の何かを持たせてくれようとするのでした。「これをあげる」「あれも持ってく?」と、お菓子やら自分が作…

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未来が見えなくても、大丈夫【眠れない夜に効く、仏さまの話】

わからぬ方向に進むのが、私たちの本当の姿  年が改まって、早三ヶ月が経ちました。新年を迎えるにあたり、誰もが良い年でありますようにと願って新年を迎えたことでしょ…

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この“ヤバい日本”で、私たちはどう生きたらいい?【仏教で答える悩み相談34】

人の数だけ、悩みは尽きぬもの。皆さまから寄せられた悩みに、お坊さんや仏教関係者たちが答えます。 今月のお悩み Q 最近「日本がヤバい」というニュースばかりで、自…

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親鸞聖人手彫りの聖徳太子像が伝わる【第24回】瀧江御堂龍江山 蓮舟寺 (静岡県掛川市)〜最終回〜

ご旧跡紹介  親鸞聖人が常陸国稲田草庵(現在の茨城県笠間市)を拠点として念仏のみ教えを教化されていた頃、常陸国瀧江城の城主だった豪族・安藤九郎為信は、親鸞聖人の…

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年下と年上、どっちと話すのが好き?

子どもの頃、私はいわゆる「おばあちゃんっ子」でした。父方の祖母と同居していたのですが、家族の中で祖母と一番仲良しだったのは、私だったのです。  私のおばあちゃ…

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50年に1度の浄土真宗のお祝い事・慶讃法要を知ろう! 4月26~29日開催

今年4月26日(金)から29日(月・祝)まで築地本願寺で行われるのが、浄土真宗本願寺派で大切な法要である慶讃法要です。50年に一度の法要について、Q&Aで紹介していきます…

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結婚相手の見極めポイントとは? 婚活カウンセラーが回答

Q どんな人にも短所があるものだと思いますが、パートナーの短所が気になって、結婚まで踏み切れません。どうしたら、「結婚するならこの人」と決められるのでしょうか。…

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大事な仕事で大失敗。やる気がなくなり、辛い【仏教で答える悩み相談33】

今月のお悩み Q 本気で取り組んでいたプロジェクトでミスをして、担当から外されてしまいました。原因は自分にあるとわかっているものの、仕事へのやる気がなくなり、辛…

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「自分は中身が薄い人間だ」と感じても、落ち込まなくていい

 かつて、会社員の友人と悩みを話し合ったことがあります。 「何だか自分が、ペラッペラな人間である気がして仕方がない。知識でも何でも、すべてが浅くて……」 「わか…

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社内恋愛はもはや大罪? 変わりつつある「自然な出会い」の定義

 マッチングアプリで出会って交際や結婚をする人が、急激に増えています。数年前までは、アプリで出会って結婚することに対して、「えっ」という顔をする人もいましたが、もうそのような反応は少ないのではないか。    お見合いや結婚相談所を利用したのではなく、学校や職場等で知り合うことを、「自然な出会い」とする言い方があります。その考え方でいくと、マッチングアプリで知り合ったカップルは「不自然な出会い」ということになる。  しかし最近、世の恋愛事情は激変しました。会社員の友人の話を聞

人の話を聞く上で、知っておきたい大切なこと【仏教で答える悩み相談35】

人の数だけ、悩みは尽きぬもの。 皆さまから寄せられた悩みに、お坊さんや仏教関係者たちが答えます。 今月のお悩み Q いつも家族をはじめ、周囲の人から「あなたは人の話を聞いていない」と言われます。お坊さんは人の悩みを聞く機会が多いと思いますが、聞く力を高める方法はありますか? (30代・男性) A1 「聞く」ではなく「聴く」 「きく」という言葉については、「聞く」と「聴く」があります。仏さまのお話を聞かせていただく際にはこの「きく」の言葉を二つつなげて「聴聞(ちょう

犬の供養に鐘をついた男【多田修の落語寺・天王寺詣り】

 ある男が、お彼岸に四天王寺(通称は天王寺)で亡き人の供養をすると功徳があり「天王寺の鐘をつくと十万億土(無数の世界)に響く」と話します。それを聞いた男は「うちは近くなのに聞こえない」と返します。とにかく、聞いた男の飼っていた犬の供養、ついでに父親の供養もするために、2人で四天王寺へ出かけます。寺で鐘の音を聞くと、それが愛犬のうなり声に聞こえてきました。僧侶は、犬の供養と聞いて不審に思いながら、受け付けます。男が供養の鐘をついた時に思ったことは?  四天王寺は聖徳太子が開い

「満」や「密」な状況がもたらす、濃厚な時間もある

 このゴールデンウィークに、浅草に行く機会がありました。久しぶりに行動制限の無い大型連休ということで、混んでいるであろうことは間違いない。覚悟をして行ったら、やはり浅草は人また人で、食べ物屋さんなども大繁盛です。    様々なお店の前に行列ができていたり、「ただいま満席です」という札がかかっていたり。コインパーキングにも軒並み、「満」のサインが出ています。    そんな浅草の街を歩きながら、私は「満という字を、久しぶりに見た気がする……」と思っていたのでした。東京に住む人とい

親鸞聖人の『歎異抄』を英語で読んでみた

●『歎異抄』序【英文】 A Record in Lame Lament of Divergences, Preface As I humbly reflect on the past [when the late Master was alive] and the present in my foolish mind, I cannot but lament the divergences from the true shinjin that he conveyed by s

人は理解できないものを恐れ、遠ざける。僧侶が読み解く『こちらあみ子』

「仏教と関わりがある映画」や「深読みすれば仏教的な映画」などを〝仏教シネマ〟と称して取り上げていくコラムです。気軽にお読みください。 第97回「こちらあみ子」森井勇佑監督 2022年日本作品  この映画の公式サイトにあるあらすじにはこうあります。「あみ子はちょっと風変わりな女の子。優しいお父さん、いっしょに遊んでくれるお兄ちゃん、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいるお母さん、憧れの同級生のり君、たくさんの人に見守られながら元気いっぱいに過ごしていた。だが……」  

築地本願寺で50年に1度行われる“大きなお祭り”、知ってますか?―築地本願寺鼎談―

4月26日(金)から、4日間に渡って築地本願寺で開催される親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要。そこで今回、築地本願寺総代・中村弘奉讃会会長、圓正寺住職の倉澤豊明慶讃法要委員会委員長、築地本願寺の中尾史峰宗務長の3人による鼎談を実施。本法要にかける想いを伺いました。 50年に1度の慶讃法要。その魅力とは? ――4月26日から築地本願寺では親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要が行われます。まずは、みなさんが考える同法要の魅力について教えてください。

「あげる」行為は楽しいが、時に暴力的でもある。

 近所のおばあさんの家に行くと、いつも必ず、持っていった物以上の何かを持たせてくれようとするのでした。「これをあげる」「あれも持ってく?」と、お菓子やら自分が作ったお惣菜やらを、絞り出すかのようにこちらに渡してくれるのです。    私はそれを有難くいただき、また「何かお返しを」ということになって……と贈&答の無限ループが続くのですが、まぁご近所づきあいというのは、そういうものなのでしょう。  物をいただくのは、嬉しいものです。センスの良い人からの、センスの良いプレゼント。地

未来が見えなくても、大丈夫【眠れない夜に効く、仏さまの話】

わからぬ方向に進むのが、私たちの本当の姿  年が改まって、早三ヶ月が経ちました。新年を迎えるにあたり、誰もが良い年でありますようにと願って新年を迎えたことでしょう。しかし、元日に能登半島地震が起こり、そして翌日には、羽田空港で航空機衝突事故が起こり、何が起こるかわからないことを実感しました。  昨年暮れ頃から考えていることがありました。ある方からこんな話を聞きました。「前後」「サキ・アト」という言葉の意味についてです。  前(サキ)はどっちと言われれば目の前を指します。後

この“ヤバい日本”で、私たちはどう生きたらいい?【仏教で答える悩み相談34】

人の数だけ、悩みは尽きぬもの。皆さまから寄せられた悩みに、お坊さんや仏教関係者たちが答えます。 今月のお悩み Q 最近「日本がヤバい」というニュースばかりで、自分が大人になった頃の日本の未来が不安です。希望のない時代にどうやって生きていけばよいか教えてください。 (10代・男性) A1  そもそも希望などない  確かに「日本がヤバい」ですね。日本に限らず世界中でも戦争や貧困など悲しいニュースばかりです。「世界がヤバい」。  さて、仏教では煩悩を抱えた私たちが生きる世

親鸞聖人手彫りの聖徳太子像が伝わる【第24回】瀧江御堂龍江山 蓮舟寺 (静岡県掛川市)〜最終回〜

ご旧跡紹介  親鸞聖人が常陸国稲田草庵(現在の茨城県笠間市)を拠点として念仏のみ教えを教化されていた頃、常陸国瀧江城の城主だった豪族・安藤九郎為信は、親鸞聖人の門に入り、蓮信という法名を賜る。 蓮信は家督を嫡男に譲り、城の横に草庵を結んだ。蓮信は稲田草庵に参り、また自身の草庵にも聖人を迎え、草庵は「瀧江御堂」と呼ばれるに至った。聖人からは比叡山でご修行されていた頃に彫られたという聖徳太子木像(※)などを賜った。  その後、源氏の戦で城を焼かれ、武田氏を頼って信濃国に寺基

年下と年上、どっちと話すのが好き?

子どもの頃、私はいわゆる「おばあちゃんっ子」でした。父方の祖母と同居していたのですが、家族の中で祖母と一番仲良しだったのは、私だったのです。  私のおばあちゃんっ子ぶりは、実の祖母以外にも発揮されていました。近所に一人暮らしをしていたMさんという高齢のご婦人にも私は懐いており、Mさん宅にしばしば遊びに行って、おしゃべりをしたりおやつを食べたりしていたのです。  元タカラジェンヌのMさんは、大柄の洋風美人で、いつも華やか。同居の祖母は、いつも着物姿の純和風スタイルだった

50年に1度の浄土真宗のお祝い事・慶讃法要を知ろう! 4月26~29日開催

今年4月26日(金)から29日(月・祝)まで築地本願寺で行われるのが、浄土真宗本願寺派で大切な法要である慶讃法要です。50年に一度の法要について、Q&Aで紹介していきます。 Q 慶讃法要とはどんな行事ですか? A 親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要とは、浄土真宗の宗祖である親鸞聖人の御誕生及び浄土真宗の立教開宗を慶ぶ法要です。2023(令和5)年に親鸞聖人が御誕生されて850年となり、2024(令和6)年には浄土真宗が開かれてから800年という慶びの法要をお

結婚相手の見極めポイントとは? 婚活カウンセラーが回答

Q どんな人にも短所があるものだと思いますが、パートナーの短所が気になって、結婚まで踏み切れません。どうしたら、「結婚するならこの人」と決められるのでしょうか。見極めポイントを教えてください。 回答 相談者の方は、「交際していくうちに短所が気になる」とのことでしたが、どんな人でも、長く一緒にいるうちに、気になる部分は必ず見えてくるもの。  どうしても直してほしいところがあれば、厳しめに指摘するのではなく、「こうすると相手はもっとあなたを信頼するよ」とか「気持ちよく過ごせる

大事な仕事で大失敗。やる気がなくなり、辛い【仏教で答える悩み相談33】

今月のお悩み Q 本気で取り組んでいたプロジェクトでミスをして、担当から外されてしまいました。原因は自分にあるとわかっているものの、仕事へのやる気がなくなり、辛いです。どうしたら、やる気を取り戻せるでしょうか。 (30代・男性) A1 挫折経験は、人に厚みを与える  職場では上に立つ者としての意見です。  プロジェクトチームのメンバー、特にリーダーにあたる人は、プロジェクトから外されたその後のあなたの姿勢を見ていると思います。やる気を失くしていたら、「一回のミスで仕事

「自分は中身が薄い人間だ」と感じても、落ち込まなくていい

 かつて、会社員の友人と悩みを話し合ったことがあります。 「何だか自分が、ペラッペラな人間である気がして仕方がない。知識でも何でも、すべてが浅くて……」 「わかる!  私もそう!」  などと。  それはおそらく、中年期に人が抱きがちな悩みなのでしょう。ずっと仕事を続けてきたものの、ふと立ち止まってみると、日々の業務をこなすのに手一杯。自分自身に厚みをつけることを忘れていたのではないか、という不安に、我々は襲われたのです。  悩みを共に語り合った友人はその後、一念発起して