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1日で終わらない労働とは

先週の日曜日、夏を感じる暑い日。
サウナに行った帰りに友人とラーメン屋でチャーシューを食べながらビールを流し込んでいた。
コスパが良くて最近はもっぱら居酒屋よりもラーメン屋や町中華で飲むことが増えた。

友人と他愛のない話をして夕方ごろに解散したが、そこで印象的な発言があった。

明日も仕事だから早く帰らないと。
なんでこんな楽しい時間を続けることができないんだろうな。
明日が休みならまだ楽しめたのになぁ。
休みたいけど明日の会議に穴あけられないし、資料作成もあるから仮病使うわけにはいかない。。。てか、仕事が1日で完結しないのって変じゃない?誰のために仕事やってるんだろ。

by 高校来の友達

という発言。
その場では特に何か言わなかったが、思えば確かになぜだろう。

原始的な社会では、労働は狩猟や採集、農耕などの生存活動に必要な範囲で行われていたはずで
これらの労働は1日の区切りの中で完結していたように思う。

労働が1日で終わらないようになり、時間に追われるようになったのは
農業の発展と都市化の進展によると言われているが農業の発展に伴い、作物の栽培や収穫、家畜の飼育などより多くの時間と労力を必要とする作業が増えたことが影響していて
さらに、都市化が進み商業や手工業の発展によって、労働時間の拡大や労働の専門化が進んだことも原因だ。

さらに産業革命の時代に入ると、機械化された工場における労働が一層拡大し、資本主義と相まって労働時間の延長や労働者の過労が現代まで続く問題になっているということがわかった。

機械によって作業が効率化された一方で、労働者は機械に合わせて働かなければならず、労働時間や作業のリズムが制約されるようになってしまった。

連綿と続いてきた発展の恩恵を受けているとはいえ、他律的に無限に働き続けなければいけない社会とはいかがなものか。

マルクスがいう「労働者は2つの意味で自由になる」という言葉。
職業は表向き自分で自由選択できるようになり、農業の労働から解放(自由)されたが、
その代わりに生産手段を失った我々は生きていくために他律的かつ分業化されすぎた世界でやりがいや自立を奪われ、それらの価値は金銭に変換されてしまった。

代案なき批判になってしまうが、やはり労働観を含めた資本主義のあり方についてもっと考えるべきだと思う。
特に日本社会では「Karoshi」というパワーワードが世界で誕生したように労働者に意思は与えられず、経営者や資本家に従わなければいけない傾向が特に強い。

昨今、ジェンダーや平等について声高々に叫ばれる時代ではあるが、資本主義のあり方については社会で議論されることが少ないように思う。
少なくとも自分の周りでは資本主義そのものを理解していない人が多いように見受けられる。

特に社会的な閉塞感の高まりと【うつ病】患者の比率が年々高まっていることには相関がありそうだ。
急速なグローバル化、社会の複雑性、個人の尊重など様々に要因はあるものの、根本的には資本主義が機能不全を起こした結果であると思うのは自然でだろう。

特に以下の記事のように、世界別で見てアジア・太平洋地域だけで48%を占めているというのは民族的・宗教的な構造が背景にあることも容易に考えられる。
詰まるところ西欧からもたらされた資本主義ないし、今の社会状況は「我々」の肌に合っていないのだ。
無理やり合わせていたツケが来ている。

うつ病の人は世界で3億2千万人 WHOが推計
2017.02.28

 うつ病の人は世界で推計3億2,200万人に上るとする報告書を世界保健機関(WHO)がこのほど公表した。報告書は、うつに苦しむ人が全世界人口の4%を超えながら、その多くは正しい診断や適切な治療を受けられていないと指摘し、早急な対策の必要性を訴えている。

 報告書によると、うつ病の人は2015年時点の世界総数推計で3億2,200万人に達し、05年比で18%以上増加した。地域別分布比ではアジア・太平洋地域で世界全体の約48%を占め、アメリカ地域は約15%、欧州地域は約12%だった。年齢別では55〜74歳の発症率が高かった。女性はどの世代でも男性よりも発症率が高く、特に60〜64歳の女性は全人口比で8%近くがうつに悩まされている。

https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20170228_01/index.html
Science
 Portal


少し前に斎藤幸平さんによる「人新世の資本論」が50万部を超えたニュースを見た。
このことは、多くの人が現代の主義に対して何かしら違和感を持っているとも捉えられる。
この盛り上がりが一過性に終わらず、しっかり議論するキッカケになれば良いのだが。


この記事を書き上げると同時に、缶ビールを開けてしまった。
いつでも手軽に酒が飲めることは嬉しいが、記事を書いた手前なんとも言えない気持ちである。

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