エンタメとマーケティング2 女性歌手市場のポジショニング
先日、武藤彩未という一人のアイドルがアイドルをやめた。
正確には、アイドルだけではなく、アーティストとしても通じるアイドルになるという事らしい。
名前を知らない方も多いだろうが、彼女はソロで渋谷公会堂コンサートを成功させていた。
アイドル戦国時代と言われ始めはや数年、グループアイドルブームでありながらソロになり、「勝ち抜いた」と言ってもいい程の実績だろう。
彼女自身「アイドル」が好きだったらしい。
しかし「アーティストとして戻ってきます」として、芸能活動をしばらく休止すると発表した。
では、アーティストとしてどの市場に進出するのがいいのかである。
現在、女性歌手市場は大変小さな市場である。供給がアイドルばかりになり女性歌手という市場は小さくなっているのだ。
これは一種のチャンスである。供給が少ないから市場が小さいということは、潜在的な需要、隠れた需要はある事だろうと考えられる。
パワフルな歌声ならsuperfly、キュートならmiwa、圧倒的な女性支持は西野カナ、この3人が若い女性ソロ歌手市場の中心に挙げられるだろう。
まずは彼女達にかぶらないことは最低条件だ。この3人がいる市場は王道だが、3人ともその市場である程度確立しているので、同じ市場に参入するとなるとニッチを狙うか、「似ている歌手」のくくりになってしまう。
superflyのいるパワフル系はそれぞれ系統が違うのでファン層はかぶっていないが、絢香やYUIも挙げられる。
西野カナは言わずもがな。彼女の凄いところは自分の恋愛観だけではなく、周りの友人達に市場調査して他の人の恋愛体験等も参考に歌詞を書いているところだ。他の恋愛観でという参入が難しい状況だ。
そしてmiwaのような元気で明るくキュートな曲をギターで弾く、ここは市場が飽和状態が見えている。miwa以外にも大原櫻子、chayが去年目立った活躍をしている。しかも3人が3人とも可愛らしい女の子らしいキャラクターに大きなギターを抱えている。3人とも好きだが、私がマーケティングするなら絶対にここには参入しないだろう。しかも、miwaは仕事としてのトラックメイカーとしての実力も申し分ない。アーティストというより仕事人としての顔もある。
はっきり言って簡単に土俵に上がる事すら難しい。
他にどんな市場があるか。
ピアノの弾き語りはアンジェラ・アキの活動休止で狙い目だと思っている。
しかしピアノの弾き語りは、元アイドルとしての彼女の、動けるというポテンシャルを最大限引き出せないと考えている。
恋愛ソングは西野カナという存在の大きさもあるが、現在のアイドル武藤彩未のファン層とかけ離れている。
フォークソングなんか面白いかもしれないと思ったが、NMBの山本彩の存在や、私もこの記事を書くにあたり知ったのだがアミューズに「藤原さくら」という大型新人がいるそうだ。
そこで思うのがROCKの市場である。
私が圧倒的にROCK大好き人間なので勧めているんだろ!と私のことを知っている人には言われそうだが、この市場はアイドル市場とも相性がいいのだ。
ROCKというジャンルはアイドルのように、崇拝にもにた感情をファンが抱くジャンルである。このようなジャンルでは曲の良さももちろんだがファンを魅了するパフォーマンスも重要な武器になる。
アイドルロックバンドの前例を挙げておこう。
世界で一番成功したガールズロックバンドとも言われているプリンセスプリンセスだ。彼女達は当時アイドル的な存在感がいなかった事もあり、プレゼントにぬいぐるみを貰ったり、アイドルのような扱いを受けていた。彼女達は本格派ロックバンドであり、ロックンローラーだったのでその当時はその扱いに不満を感じていた事もあったそうだが、ファンにとっては憧れの存在としてアイドルでありロックンローラーだったのだろう。
他にもソロのロック歌手では中村あゆみは、ロックローラーでありながら当時はアイドル的な存在であった。
アイドルというのは武藤彩未の武器だ。それを生かさない手はない。
他にもROCK市場を勧める理由はある。
今、女性のロックというジャンルは人が少ないからだ。SCANDALが出てきて以来、新しく出てきてもいない。ましてやソロの女性ロック歌手は皆無といってもいい。
ハッキリ言ってパッとしていない。時代の流れ、流行、マーケティングの失敗等色々あるが、確実に手薄なジャンルである。
マーケティングも前例が少なく、かなり難しいジャンルに見えるが、アイドルというポテンシャルは存分に活かせるだろう。
その上、なんと彼女は昨年6月9日に「ロックの日」と銘打ってロックに特化したライブもやっている。
ずっと彼女を応援していたファンは、疑問に思うことも多々あるだろう。「同じさくら学院出身のベビーメタルとライバルにならないのか」など。ベビーメタルはアイドル要素が強すぎる。既存の顧客はかぶっていただろうが、新規顧客開拓ではまったく違う層になる。
なので、ガールズロックというジャンルを是非彼女に開拓して欲しい。彼女には十二分なポテンシャルがあるのだから。
半年後、一年後、遠くはない未来に帰ってくるであろう武藤彩未の今後の活躍と展開を、マーケターという立場として、大変楽しみにしている。
Special thanks T.N.
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