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カミングアウトコンビニ|毎週ショートショートnote

「今日は転校生を紹介します」

先生の横に、小学校を卒業したばかりの僕たちより、少しばかり大きな体つきの少年が立っていた。学生服がバッチリ似合っている。

「カミングアウト・コンビニ君です」

今の時代、どこの学校も生徒の3分の1が留学生なので、名前を聞いても驚かない。

「カリオストロ公国から来ました」

流ちょうな日本語で出身国が明かされた瞬間、クラス内はどよめいた。

――カリオストロ公国。

人口3,500人の、世界で最も小さな国連加盟国であり、40年以上前に世界を震撼させた偽札製造事件、通称「ゴート札事件」の首謀国である。
この事件の全容を暴いたのは、当時警視庁からインターポールに出向していた銭形警部。意外にもこれが縁となり、国の復興再生を日本が援助したほか、日本語教育も盛んに行われている。

「皆さん、よろしくお願いします」

カミングアウト君は綺麗なお辞儀をした。

「カリオストロ語では、友達のことを『シネヨ』と言います」

――みんな、シネヨ。

彼はあっという間にクラスの(特に男子の)スターになった。

【了】(441字)


たらはかにさんの「毎週ショートショートnote」参加用です。
今週のお題は「カミングアウトコンビニ」。

「コンビニ」が入っているので、どうしてもコンビニのネタしか思い付かず、どうにか別路線の話を作れないかなぁと思っていたところ……ふとAmazon Prime Videoの「おすすめ」に出てきた「ルパン三世 カリオストロの城」の文字を見て、ぶっ込んでみました。

でも、「カミングアウトコンビニ」じゃなくても成立してしまうので、これはダメですね……。

ちなみに、この前に書いたのは、

「人はね、火を見ると語りたくなるんだよ」

と、店員がアーノルド・シュワルツェネッガーよろしく、火炎放射器でコンビニを焼き払う、という意味不明なもので、「これを公開したら、後悔するな」と、ひとりボケツッコミで完結してしまい、あえなく「没」となりました。

ありがとうございます!(・∀・) 大切に使わせて頂きます!