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小説&ショートショート

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小説は主に短編です。フリー台本として、ご自由にお読みください。 (全部ではありませんが、「聴くっしょ!」にも投稿しています)
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#フリー台本

転がる石ころたち|短編小説

「あー、この曲、CMで聞いたことあるな。言うなよ? 当てるから」  カーオーディオから流れ…

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夏雲|掌編小説(#シロクマ文芸部)

 夏の雲がふよふよと漂っている。群れからはぐれて、地上まで降りて来てしまったんだろう。ふ…

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ブルーハワイ|掌編小説(#シロクマ文芸部)

 かき氷を食べるカップルとすれ違う。さっき屋台の前を通ったら、「300円」となっていた。 …

トガシテツヤ
2週間前
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Into the Blue|掌編小説(文披31題 3日目)

 ――誰だ?  いつも学校帰りに寄り道する場所に、知らない人がいた。ぼーっと立って、海を…

トガシテツヤ
1か月前
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海砂糖|掌編小説(#シロクマ文芸部)

「海砂糖を1つください」  僕がそう言うと、店主は眉をひそめた。 「あなた、海砂糖を一体…

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梅の実|掌編小説(#シロクマ文芸部)

 梅の花を見ると、亡くなった祖母を思い出す。  名前が「梅」だったんだが、それだけではな…

トガシテツヤ
5か月前
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ラブレターFrom...(文披31題 7日目)

文披31題、7日目のお題が「ラブレター」とのことなので、過去作を貼っておきます。

嘘|掌編小説(文披31題 6日目)

 息をするように嘘をついている。  兄がいるのに一人っ子だと言い、ペットはいないのに「白…

トガシテツヤ
1か月前
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琥珀糖|掌編小説(文披31題 5日目)

 取引先の人からお土産をもらった。  琥珀糖なんて懐かしい。多分、最後に食べたのは小学生…

トガシテツヤ
1か月前
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プラネタリウムへ行こう|掌編小説(文披31題 4日目)

 顎が外れるんじゃないかと思うほどの大あくびをした。デートにプラネタリウムを選んで正解だ…

トガシテツヤ
1か月前
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運命共同体|掌編小説(文披31題 2日目)

「ゲッ! 1時間40分後かよ!」  時刻表を見て、思わず叫んだ。さすが田舎のローカル線。レ…

トガシテツヤ
1か月前
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遠い花火|掌編小説(文披31題 1日目)

 ――ん?  エアコンから生暖かい風が流れてきた。間違って暖房のボタンを押してしまったの…

トガシテツヤ
1か月前
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赤い眼|掌編小説

 ――その眼は、赤輝血の如し。  子供の頃、ほおずきの実が、須佐之男命が退治した八俣遠呂…

トガシテツヤ
1か月前
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黒い紫陽花|掌編小説(#シロクマ文芸部)

「紫陽花を見に行こうよ。週末、晴れるみたいだし」  彼氏からのメールに、すぐに返信する気になれなかった。  ――なんで紫陽花なの?  心の中で呟く。見るものなんて、他にいくらでもあるのに。  田舎から東京に引っ越してきて一番良かったのは、紫陽花を見なくて済むことだった。あの日以来、紫陽花は見ていない。いや、見ないようにしている。  中学2年の時、学校から帰ると、家の前には近所の人達がたくさんいて、その中心にお母さんがいた。変だと思いながらも、平静を装って「こんにちは