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僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#15】

#15 洞窟の奥に

 洞窟内には光が無かった。
 開いている扉から少しの光が差しているだけで、先は全くと言っていいほど見えない。

 急いで周囲に何か灯りになるものはないか、と探してみた。
 しかし、使いさしの蝋燭くらいしかなかった。

「あ、そういえば、、、」

 ずっと手に付けっ放しだった端末に、ライトの機能があったはずだ。それを思い出し点けてみると、完全とまでは言わないがある程度先までを見通すに足りる灯りになる事がわかった。

「よし、行こう。レイニー…居たら…無事でいてくれ…」

 まさにミステリーの真骨頂とも言うべき、洞窟探検が突然始まってしまった。

 ミステリーツアーってこういう事じゃないのに。

―――――――――

ー おはよう、、、 ー

 聴き慣れない声が聴こえてくる。

ー おはよう。レイニー。 ー

 声は次第にハッキリと聴こえて来た。
 私はどうやら眠っていたらしい。いつの間に寝てたんだろう…。

 重い瞼を無理やり持ち上げる。
 ぼやけていた世界が徐々にハッキリと見えて来る。
 ここはどこだろう。

 確か宇宙船の後ろに隠れて、しばらくマークの様子を見ていた。
 マークは兵士みたいな人達に連れて行かれて、それを追おうとした所までは覚えているんだけど…。

 周りを見渡すと薄暗いが、それほど大きくない部屋にいるのがわかった。
 部屋の中に灯りはないが、目の前にある扉の向こうから光が漏れ入って来る。

ー ガシャン ー

「何これ...。」

 立ち上がろうとすると、左足が何かで繋がれてるのに気づいた。
 私誰かに捕まってのかな…。このどこかわからない場所に自分で来た覚えはないし、わざわざ足枷を付けたりはしない。

「落ち着きなさい。それはあなたには取れないのよ。」

 少し低くて、どこか冷たい女性の声が私の耳に飛び込んで来た。

「あなた、誰...?」
「そのうち解る。名乗ってどうこうなるわけじゃない。」
「何なの...?どうするつもり?マークはどこ?ここはどこなの!」

 質問をしているうちに、ついヒートアップしてしまった。

「ここはあなたにはわからない場所よ。言ったってわかりっこない。でもね、あなたをここに呼んだのは私。それにあなたにはやってもらう事があるの。」

 冷たい声の女性は、そんなヒートアップした質問にも冷静に答えを返してくる。
 やってもらう事?何をやらせる気なんだ…。

「こっから出してよ。マークに会わせてよ。」
「大丈夫。会わせてあげるわ。もうすぐ。感動の再会ね。」

 ここに来てどれだけの時間が経っているんだ?
 レイニーにとっては、マークが目の前で連れて行かれるのを見て、それを追いかけようとした事までしか覚えていない。気が付いたらここにいた。

「ふふふ...。まぁ、寝てなさい。」

 すると、レイニーは気を失ったかのように再び眠りについた。

―――――――――

 洞窟は足場が悪く歩きにくい。
 スマホライトの光は、足元と洞窟の奥を交互に照らし、確実に前に進んでいく。
 たまに振り向いていたが、もう開け放した扉は見えなくなった。

 作られた廊下のように真っ直ぐに洞窟は伸びていた。

「本当にこんなとこにいるのかな…」

 レイニーがここにいると思っていたのに、確信を持てなくなってきている。きっと、暗闇を進んでいるせいだ。

 どうもこの先もずっと暗闇な気がしてくる。
 だんだん不安が大きくなって来て、進む足が重い。そう感じ始めた時だった。

「...ん?なに?」

ー ごごごご… ー

 遠くにかすかに音がなっている。

ー ごごごご… ー

 その音は、徐々に近づいている。

「え、、、まさか。」

ー ごごごご… ー

 地面が震え始めた。支える為に岩壁に手をつくが、壁も震えていた。

「地震!??うそだろ!!?」

 地面の揺れは本物だった。岩の擦れる音が轟音となって、洞窟中に響き渡り、両足だけでは立っていられなくなってしまった。

「うわああああああ!!!!!!」

つづく

T-Akagi

【 つづきはこちら(note内ページです) 】


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