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「学習の原則」⑦ 心理的安全性の原則

ハイパフォーマンス・コンサルタントの髙澤健(たかざわたけし)です。

お一人ひとりが「最高の自分」に向って成長し続けることに役立ちたいと願って書いています。

「成長し続ける」=「学び続ける」 です。

学習の原則」についてシリーズで考えることで「成長し続ける」ヒントを得ようと考えています。

学びに関心をよせる以下のような方にお役に立てるよう努めますのでよろしくお願いいたします。

  • 自分自身の成長のために学び続けたいと願っている方

  • 部下を育成する立場や人を教える立場で他者の学習を支援している方

  • 人材育成コンサルタントや教務主任のように学習を促進する学習環境や学習システムを設計している方

(質問・疑問・要望・ご意見などコメント欄にお願いいたします。)

第7回は、「心理的安全性の原則」です。

心理的安全性の効果

近年「心理的安全性」が注目されるようになりました。

心理的安全性とは、自分の考えや気持ちを、組織の中の誰に対しても気兼ねすることなく、安心して発言できる雰囲気や環境のことを言います。

ハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・エドモンソン教授が、著書や「心理的安全性の高い職場をつくる」というTEDでの講演などで「心理的安全性」についての発言がきっかけになっているようです。

邦訳されている著書はこちら↑

英語にアラビア語の字幕ですがTEDの講演はこちら↑

エドモンソン教授によれば、「心理的安全性」の高い環境では、個々のパフォーマンスが発揮され、生産性が向上します。

「心理的安全性」の効果は、Google社の数百の社内チームにおける実態調査でも明らかになりました。

調査結果によると「心理的安全性」の高いチームは、以下のような効果があったようです。

  • 離職率が低い

  • メンバーが発案したアイディアをうまく利用する

  • 収益性が高い

  • マネジャーから高く評価される可能性が2倍ある

学習における「心理的安全性」

「心理的安全性」はチームのパフォーマンスを上げて生産性を高めるだけではありません。

学習環境において「心理的安全性」が担保されていることが、学習効果を高めることにもなるのです。

エドモンソン教授の「心理的安全性」を低下させる4つの不安をみてみましょう。

  1. 無知だと思われる不安(Ignorant)

  2. 無能だと思われる不安(Incompetent)

  3. 邪魔をしていると思われる不安(Intrusive)

  4. ネガティブと思われる不安(Negative)

このような不安の中では、学習効果があがらないことが分かります。

米国の大学院であるコースを取ったのですが、このコースは修士過程と博士過程のどちらにも必須で履修する授業でした。

最初の授業に出席すると私以外の9名全員が博士課程の学生で、修士課程の学生は私だけでした。

その上、英語を母国語としない学生は私一人。

難しい英語の言葉が飛び交うだけではなく、ラテン語の言葉を教授も学生も使いながらディスカッションが進み、私は最初の授業では一回も発言することができませんでした。

上記の4つの不安すべてが私を襲いました。

  1. こんな言葉も知らないのか(無知)

  2. ディスカッションにもついて来れないのか(無能)

  3. 質問して授業の流れを妨げるな(邪魔)

  4. そんなお前は授業に来なくてよい(ネガティブ)

誰もそんなことを私に言いませんでしたが、そんな不安に満たされてしまいました。

最初の授業では、不安に心暗くなって、何も学ぶ事ができませんでした。

私にとっては「心理的安全性」が全くない状態でした。

逆に「心理的安全性」が高まった状態では、学習効果が高まることが容易に想像できると思います。

「心理的安全性」を高める

それでは、どのようにして「心理的安全性」を高めることができるでしょうか。

私の大学院での経験からヒントをご紹介しましょう。

4つの不安に満たされて始まったクラスでも、最終的に良い成績で終えることができました。

ふり返って見るといくつかの出来事によって「心理的安全性」が高まったように思います。

  • 授業の終わった後に教授に話しかけて関係を築くよう努めた。

  • 自分の不安を家族に打ち明けた。

  • 同じクラスを取っている博士課程の学生に、どんなことを授業から学びとっているかを聞いた。

  • 思い切って発言したら、教授が肯定的に取り上げてくれた。

この体験から以下の学習環境における「心理的安全性」を高めるヒントを得ることができます。

  1. 学習に携わるメンバーの信頼関係を築くようにする

  2. 特に教える立場にある人間は、自分の不安や失敗について開示する

  3. 全員が発言できるようにする

  4. どのような発言も肯定的に扱う

  5. 何が求められているのかを明確にする

日本人は「恥の文化」ですから、「恥」をかかないような雰囲気が大切でしょう。特に「失敗をしても」「間違えても」良い雰囲気をつくることを心がける必要があるのではないかと思います。

「心理的安全性」を高めてより良い学びを目指したいですね。


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