火曜日しばらく雑記帳・2023 CW44
先週、ちょいと書いたが、10月に入ってから今年の洋書4冊目、Dan Brown の "Origin" を読んでいる。「ダヴィンチ・コード」が大ヒットしたので知っている人も多いだろう、 Robert Langdon シリーズの5作目となる。私自身はDan Brown は初めて読んでいる。
とても面白く読ませるし、Kindleを開けばグイグイ引き込まれてページを繰る。10ページくらいごとの章ごとに視点となる登場人物がいれ変わり、それに応じて場面が切り替わりながら物語が進行する。テンポが良く、飽きが来ない。各人の回想を交えることで、時間軸の線だけでなく空間の拡がりも含めて物語を成立させつつ進行させるところも上手い。一人称のモノローグを適度に交えて読みやすいのがニクい構成だ。
また、未来を感じさせつつ今でもどこかにありそうなわくわくする道具立て、現代すでに手元にある生成 AI やスマートフォンなどのちょっと発展形の道具立てもなかなか面白い。2017年に出版されたことを思うと、ダン・ブラウンの慧眼にはまことに感心させられる。
しかし、科学上の重要な発見というものが一人の天才によって為されて、それが他の科学者たちによるレビューや検証を経ることなく、遊園地のショーや娯楽番組のように、サプライズで発表・配信される、という設定の根本的な部分で、最初からすでに白けてしまい、また、全体のストーリーも都合よく組立られすぎているように読めてしまうので、肝心なところを隠しながら引っ張っているだけでしょ、と思ってしまい、安物の薄っぺらい映画を見ているような気分で、やっぱり白けてしまう。理解できないものに出会う驚きもないし、気の利いたセリフがあるわけでもなく、私が惚れるキャラも今のところ出てこない。
たいていの場合は、最初の章を読んだくらいで放り出すところだが、そんな私でも、開けばしっかりと読んでしまうので、ちょっと距離を置いた感じで、しかし引き込まれながら一章ごとちょっとづつ面白く読み進んでいる、ちょっと不思議な読書体験だ。
英語の原書で読んでいるのがいいのかもしれない。あるいは、実は、今の白けた感じはダン・ブラウンの巧妙な仕掛けにひっかかっているだけかもしれない。ひょっとすると驚きの結末で読後感はまったく異なることになるかもしれない。そんな楽しみで読み続けることができるのかもしれない。読書が進まない年にはちょうどいい読み物になっている。
■人参葉の胡麻和えは美味しい。そろそろ季節的に最後だろう、一把の量が多くなり価格もお買い得、大きめの人参がついていてこれもまた美味しい。
朝からきりきり舞いの月曜日は、揚げ物で元気出す、夕食は、一口トンカツとアジフライ、レタスとピクルスに胡麻和えの人参葉と人参。
シイタケや舞茸、シメジやエリンギあるいはマッシュルームといった定番のキノコは一年を通じて安定して入手できるが、やはり秋になるとキノコを食べたくなる。
先週は、キノコをたっぷり入れてオリーブオイルでご飯を炒めてピラフを作った。
締め切り間近な仕事をいくつか抱えていて、しかも、どれもアウトプットの質がイマイチになってしまいそうな予感でいっぱい、ちょっと気が急いていてオフィスやラボに顔を出さず、新横浜の事務所に籠っていた。
なので弁当の写真は今週はなし。
■先週ひかっかった音楽を少し
1.パトリシア・バストスの新しいアルバム Voz da Tabaからタイトルソングのシングル。
パトリシア・バストスはアマゾンの河口の北側にある Amapá州 (アマパー州)のシンガーで、以前に記事にしたことがある。
この新しいアルバム "Voz da Taba" は、2013年のアルバム "Zulusa" 2016年の "Batom bacaba" とともに3部作となるとのことで、作曲家でギタリストの Dante Ozzettiのプロデュースによるということだ。
オープニングの "Jeito Tucuju"はカエターノ・ヴェラーゾが参加していて、ゆったりとした美しい曲だ。
YouTubeで検索してみると、曲そのものは何年も前から演奏されているようだ。パーカッションのリズムも印象的な佳曲だと思う。
アマゾンからのメッセージ、母から受け継がれた歌と、 土着のリズムに乗りながら、アフリカや広くラテンの要素あるいはジャズの要素も感じる音作り、素晴らしいアルバムだ。
2.ロニ・カスピ "Roni Kaspi" の新しいシングルがリリースされた。聴くべし。
3.メキシコのシンガーソングライター、Silvana Estrada シルバナ・エストラーダの "Qué Problema" 少ししゃがれたところもときおり見せる落ち着いた歌声が、内省的な楽曲で風のようなメロディに乗っていて好感触だ。
2017年にCharlie Hunter との共作アルバム "Lo Sagrado"をリリースしていて、2022年に2枚目でソロデビューアルバム "Marchita" をリリースしたばかりだ。
ムジカテーハに記事が出ていたので、貼っておく。
4.ガテマラ生まれ、フランスの歌手で女優、カルメン・マリア・ヴェガ (Carmen Maria Vega) 、"Fais-moi mal, Johnny" が耳にとまった。
ハープギターの一種だろうか、3本の共鳴弦を張った珍しい形のギターが目を引く。
どこかで聴いたことがあるようなテンポのよい洒落たメロディと、レトロな感触のほっとする音作り、調べてみると、1955年のフランスのヒット曲で、ボリス・ヴィアン作詞、アラン・ゴラゲール作曲とのことだ。
最新アルバム "Fais-moi mal, Boris Vian!"のいわばタイトルソングだ。アルバムも聴いてみたら、これがまた素晴らしい。高音まで伸びる明るい力のある歌声でファルセットもよく、どの曲も楽しめる。
Chat GPTで訊いてみた。
また、アラン・ゴラゲールは、作曲家でピアニスト、ボリス・ヴィアンやセルジュ・ゲンスブールのサイドマンであり、作曲やアレンジをしていた大御所ということだ。映画音楽の作曲でも知られているとのことだ。
カルメン・マリア・ヴェガは1984年生まれというから 39歳。2009年にデビューアルバムをリリースした後、2017年と2023年に2枚のアルバムをリリースしている。
Wikipedia にはフランス語のエントリーしかないようなので、あまり知られていないのだろうか。
惚れた。
■27日金曜日の早朝に京都に帰った。妻は嫌がるが、私の効率が一番いいのは、やはり朝いちばんの新幹線で移動だ。朝4時半起きになるのが玉に瑕だが、移動中にチャットやメール、催促やら質問やらコメント求むが入って来ることはない。新横浜から京都の1時間50分ほどの間、寝てもよし、読書してもよし、仕事をしていてもよし。京都駅からの電車の連絡がよく、むやみと待たされることがない。
金曜日の朝8時45分に帰宅したら、前日に家に来ていた娘と孫娘がすでに起きて待っていた。
土曜日の午前中、京都で 10.2km 走ってきた。17℃くらいでちょっと涼しい。曇っていて山のほうは雨がぱらついていたのではないかと思う。後半、雲がきれて晴れてきた。楽に走れる。
洋書の読書については、今年の着地はあと1冊読んで計5冊の見込みとなった。毎年の目標は12冊、これまで少なくとも10冊はキープしていたが、今年は目標の半分にも満たない年になりそうだ。
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