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門前仲町「たにたや」さんと、季節のお弁当を考える。(その13 大暑)

大きく暑いと書いて、大暑(たいしょ)という節気があります。

大暑は、二十四節気において12番目の節気にあたります。つまり、24ある節気の12番目ですから、大暑が過ぎると1年の半分が終わります。あっという間に、春夏秋冬の半分!つまり、春夏が終わるということです。だから大暑は、夏の季節で最後の節気になります。

「暑気(しょき)いたり つまりたる時節なればな里(り)」

「夏の暑さが極まる季節だから(大暑)である」。つまり、1年の内で一番暑い季節をして、大暑と呼んだということになります。本格的な夏の到来を示す大暑の日は、毎年7月23日頃に訪れます。ちょうどオリンピックの開会式も7月23日でしたね。

この季節は、日本各地で夏祭りが開催される時期になります。夏祭り!と言えば、やっぱり東北の夏祭りは有名です。

私の地元青森では「ねぶた祭り」、実家のある弘前は「ねぷた祭り」、秋田「竿灯祭り」、仙台「七夕祭り」、岩手「盛岡さんさ踊り」、山形「花笠まつり」、福島「福島わらじまつり」など、まだまだあります。

過ぎゆく短い夏を惜しむかのように、東北の夏祭りは熱く盛り上がります。

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ちなみに、今年の「ねぷた祭り」は、あいにくコロナ禍の影響により、2年連続中止と相成りました。とても残念です。もともとネプタ祭りは、町内会などでまとまって、毎年ねぷたを作り上げるのが通例。しかし、今年のねぷたは出航することもなく、小屋で寂しく佇むのみ、、

そこで、僕が経営している弘前れんが倉庫美術館に付帯するカフェ、ショップがある吉野町緑地公園に、近隣の町内会が今年作り上げたネプタを持ち込み、期間限定で、展示することになりました。ちょうど私も、設置模様から、実際に音頭をとり「お囃子(はやし)」を町内会の皆さんがするさまを拝見することができました。

ドーンドン、と太鼓の音が、夕刻の夏空に鳴り響き、弘前ならではの風物詩を感じることができました。私にとっては、お盆よりも、ネプタが「夏の風物詩」という印象がとても強いです。

「土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)」

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七十二候には、1つの節気を、初候・次候・末候の3つに分けており、それぞれに季節を表す解り易い文言が付されています。

たとえば、大暑 次候 土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)は、土が湿り気を帯びて、蒸し暑い季節を表しています。ちなみに『溽暑』「じょくしょ」と読んで、湿気が多く蒸し暑いことを言い、は、水気をふくむという意味になります。大暑は、カラッとした暑さとは逆で、どこかジメッとして重苦しい暑さを想像していただくと、ピッタリだと思います。

さて、今回のお弁当はその「重苦しい暑さ」に対抗(?)すべくボリュームや食材にはない「軽さ」と、その暑さに負けないように、うまく「油」「火」を活用したメニューラインナップになっています。

「とうもろこしのフリット」「冬瓜の鴨肉そぼろ」「パプリカと金時草のマリネ」「枝豆のピリ辛味噌ミント風味」は、太陽を浴びた夏野菜が、油や衣を身に纏い、水分を逃さず、みずみずしくも、福よかな味わいをもたらしています。

一方その暑さを避け、涼しげな水の流れでグングン生きる穴子が、これまた水分たっぷりのきゅうりと共に、爽快感を感じさせました。今回のお弁当の中身では、穴子煮がとてもおいしかったです。「軽さ」を感じさせる、元気の良い品揃えです。

そして「海老のマーガオソテー」「とろなす蒸し鶏のゴマとパッションフルーツ和え」が、たにたや得意技「香り」、そして「辛味」「甘味」の演出がぴったりで、勢いよく食べられるラインナップになったと思います。


季節は、僕らの状況とは別に、時には厳しく、時には優しく、表情を見せることがあります。7月後半、オリンピックをスタートに、4連休から、依然としてコロナ禍はさらに拍車がかかり、ワクチン接種が進んでいる一方で、8月から「緊急事態宣言」が東京をはじめ数都市で発令が為されました。

「いつ終わる?」「いつまで続く?」

いよいよ、8月、9月にかけて、勝負の夏が訪れる。

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