「紙」は死んだ~職場のペーパレス達成と重要な3要素~
僕は私立高校で英語の教員をしています。かなり楽しい教員生活でありがたいな、と思っています。
英語の教員と同時に学校のICT担当もやっています。今日はICT化の中でも大きな問題点でもある学校のペーパレス化についての文章を書きたいと思います。
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まずは個人的なペーパレス体験
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「あれ?あのプリントどこにあったっけ?」という経験を教員は良くしているのではないでしょうか?
僕は昔から整理整頓が苦手で机の上がいつもプリントやノートでいっぱいでした。
自己啓発本とかを読むと、「机の上の状態はあなたの頭の中の状態を表しています」などと書かれています。
たしかに仕事が出来る先生の机の上を見ると整理されています。当時は「仕事が出来るようになりたい」と向上心にあふれていたので(今も向上心はあります笑)『机の上の整理整頓大作戦』を一人で勝手に始めました。
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全ての資料を電子化して紙を減らす
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せっかくやるなら職員室で一番キレイな机を目指したいものです。絶対に負けられない清掃活動の火ぶたが切って落とされました。
まずは敵(?)である『机キレイ教員』の机の状況を確認するところから始めてみました。
そうしたら圧倒的にモノが少なかったんです。
「よし持っているモノを圧倒的に減らそう」と思い全ての資料を電子化することを決めました。
「ペーパレス、ペーパレス、紙は死んだ、紙は死んだ!」と憑りつかれたように繰り返していた気がします。
21世紀のニーチェの復活です笑
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あれ?ペーパレスって意外と大変じゃない?
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ペーパレスを始めてから、全ての資料の電子化ってかなり面倒くさいということに気が付きました。
当時、職場でペーパレスを目指していた教員はほとんどいなかったので、会議資料は紙で配布されていました。
配布された資料を写真にとって格納していたのですが、写真撮影に時間がかかって仕方ありません。
撮影している間に会議は進んでしまうので内容が入ってこないですし、会議中にカメラの音がして周りに迷惑をかけるのもストレスになってきました。
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資料の書き込みが出来ないと会議の満足度下がるぞ
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次に気になったのは資料に書き込みが出来ないことです。
資料に必要な情報は載っていますが、やっぱり自分に必要だと思う情報を資料に書き込みをしたいものです。
「『必要だな』と思う情報は個人差が大きい」と強く感じましたし、書き込みが出来ないことで会議の満足度が下がり、この部分でもストレスを感じるようになりました。
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資料の分類方法を考えるのが大変
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せっかく電子化した資料を必要な時に見ることが出来なければ意味がありません。
そのため資料をどのように分類するかについて色々と改良を加えていきました。分類を考えすぎてこれもストレスがたまったわけです笑。
そしてこの過程の中で「情報の分類の仕方も個人差が大きい」という気づきを得ました。
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結果個人的なペーパレスはある程度達成できた
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色々と試行錯誤をした結果、個人的なペーパレスを達成することが出来ました。その結果、職場内でも机がキレイな教員になれたような気がします。
自分の机の上に関して書いた過去記事です。もしよろしければ読んでみてください。ちなみに現在はさらに改良して、マルチディスプレイになっていたりします。
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職場全体のペーパレスを達成することに
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個人的なペーパレスを達成することが出来ました。その後、コロナが来て教員全員がiPadを使うようになったので、職場全体のペーパレスを達成しようと色々と考え始めたんです。
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他の学校の先生がペーパレスに文句を言っていた
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たまたま他校の先生とお話をする機会があったのですが、「ペーパレスになって困っている」と文句を言っていました。
「プリントに書き込めないし、会議資料も自分が見つけやすい場所に置きたいのに、誰かが指定した場所に置かれてるから見つけにくい。だから私は毎回資料をプリントアウトしているよ。」と。
教員のストレスマネジメントをしないとペーパレスは絶対に普及しないと強く思った瞬間でした。
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教員のストレスを極力減らす
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毎回、紙資料が配布され、それを撮影して取り込むとストレスが溜まります。
また、それらに書き込みが出来ないとストレスが溜まります。
さらに、情報の分類方法は個性が非常に出ます。そのため情報の分類を個人が出来ないとストレスが溜まります。
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職場のペーパレスを達成するために気を付けるべき3つのこと
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他校の先生の話を聞き、自分のペーパレス体験を踏まえ、ペーパレスを円滑に進めるために必要な要素は何か考えてみました。
その結果
①資料データをスムーズに配信・共有できる
②そのデータに書き込みができる
③書き込みしたデータを自分の情報分類法で格納できる
この3つの要素をしっかり満たせば、割と短期間に職場のペーパレスが達成できると思いました。
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この3つの要素を満たすためのツール導入
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これら3つの要素を満たすためのツールの選定が始まりました。その結果
①データがスムーズに配信・共有できる
→Classi・Slack経由でデータを共有
②そのデータに書き込みができる
→GoodNotes5というノートアプリ+Apple Pencilを利用
③書き込みしたデータを自分の情報分類法で格納できる
→GoodNotes5というノートアプリを利用
という結論になりました。
SlackとGoodNotes5は有名なアプリだと思いますが一応解説ページのリンクを貼っておきます。
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管理職に有用性を説得
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Slackは無料アプリなので比較的導入は簡単でしたが、GoodNotes5は有料アプリなので導入のハードルは高かったです。
そのため管理職へのデモンストレーションを丁寧に行ったり、ペーパレスを達成した他校の事例を紹介たり、学校の紙代を削減することで長期的に見たらコストパフォーマンスが高いということを説明しました。
その結果、GoodNotes5の導入が決まりました。
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GoodNotes5の素晴らしい点
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まずは値段が安いことです。GoodNotes5は買い切りタイプで本校が購入した時には980円だったと思います。
ちなみにApple School Managerというプラットフォームを通じて20アカウント以上購入した場合半額になります。
さらに、情報を格納するためのフォルダーやファイルが自由自在に作れることが素晴らしい点だと思います。
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電子化して良い資料のルール設定
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ペーパレスを達成するためのハードは整ったわけですが、「どの資料を電子化して良くてどれがダメなのか」というソフト面での調整が残りました。
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ルール設定を厳しくするとペーパレスが進まない
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このルール設定を厳しくすると全くペーパレスが進みません。初期の議論で「名簿は生徒の名前が載っているから電子化してはダメだ」という論調もありました。
でも、名簿を電子化できなければ我々教員はペーパレスの恩恵をほとんど受けることが出来ません。
また複雑なルール設定にすると教員の負担が増えるのでなるべくシンプルなルール設定にして以下のようにしました。
【電子化を禁止する資料】
①成績関係資料
②生徒指導資料
③生徒の重要な個人情報(病状・家庭環境など)
④学校推薦関係資料
⑤秘匿性が高いと個々人で判断する名簿
かなりシンプルかつ曖昧なルール設定ですが、このルールで運用してみて問題が起こるようであれば改善する方法を取りました。
現在のところ大きな問題は起こっていないのでこのルール設定を維持できています。
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1ケ月かからず職場がほぼペーパレス化した
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上記の3つの要素を満たし、ある程度柔軟なルール設定にした結果、職場のペーパレスが1ケ月かからず達成することが出来ました。
たまたま会議で紙資料が配布されると「あっ、今日は紙があるんだ。珍しいね」というような発言を教員たちがするようになったんです。
「ペーパレスに関する教員のニーズを理解し、導入することで生じるストレスを極力減らす形で進めることが出来たな」と何だか嬉しくなりました。
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これは成功例だけどICTに関しては問題は山積み
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ペーパレスは割と上手くいきましたが、これ以外のICT関連の課題は山積みです。
議事録の電子化・出席簿の電子化など達成すべきことがたくさんあります。
でも一つの成功体験が手に入りました。この自信と実績を基に違う分野でも戦っていけそうです。
これからも頑張ります。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
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