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従来学校は通信制に勝てるのか~均一化する教育スタイルと立地の思わぬ効用~

僕は私立高校で英語の教員をやっています。かなり楽しく教員生活をおくっています。

今日は学校の立地についての文章です。ちなみに立地の話はかなり後半になって出てきます。

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コロナ休校時の不安:通信制の学校との競争
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去年4~6月くらいに学校がコロナで休校になっていた時に「N高に代表されるような通信制の学校に生徒を取られてしまうのではないか?」と激しく不安になりました。

私立高校がコロナで休校になっている中、ICTなどを上手に使って以前と同じような形で授業を運営している通信制の学校に生徒は魅力を感じてしまうのではないかと思ったわけです。

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個人的結論:従来の学校はまだ大丈夫
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とは言え、あれから時間がかなり経ち個人的に思ったことは従来の学校もまだ生徒数を維持できるというものでした。

もっと言えば、「従来の学校には通信制の学校ではなかなか表現できない魅力があるな」と強みを再確認できたんです。

VRの革命的進化などのイノベーションが起きたらまた別だと思いますが、おそらく今の技術レベルであればまだ大丈夫だと思うんです。

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従来の学校魅力①:人にとって「誰かに会う」は最高のエンタメ
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とてもシンプルなことを書きますが、やっぱり人にとって「誰かに会う」は最高のエンタメなんだなと思いました。

通常時では気が付かなかったですが、僕は学校が再開してから非常に元気になりました。生徒の顔を見て、同僚の顔を見て何かホッとしたんです。

人にもよると思いますが、「誰かとリアルに触れ合う」ことで人は心のエネルギーを充電することが出来るんだなと実感しました。

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従来の学校魅力①ー2:恋愛要素
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これもくだらないことかもしれませんが、「好きなあの人に会える」って学校生活の中でとても大きな楽しみになっていますよね。

大人になるとそこまで恋愛が占める割合は大きくないかもしれませんが、高校生くらいの頃って恋愛が脳内を占める割合って結構大きいと思うんですよ。

そういう意味でも「リアルに人と触れ合う」って高校生にとって大きなエンタメ要素だなと思いました。

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従来の学校魅力②:託児所としての学校
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また保護者からの声で大きかったのは、「居場所が分かった状態で子供が家以外のどこかにいることがありがたい」ということです。

家に保護者がいない状態で子供を家に残すのは不安だし、保護者が家にいるときに子供がずっと家にいるのもなかなか心理的負担があるみたいです。

学校の託児所としての役割は想像以上に大きいのだなと思いました。

以上の理由によりまだ従来の学校のニーズはあるなと思いました。

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教育の差別化を図るもだんだん均一化していくはず
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さて従来の学校のニーズがまだあると仮定して話をすすめます。そうすると今後どんなことが起こるのかシミュレーションしてみます。

①各校でICTなどを使った授業の合理化が進む
②その中で圧倒的な結果を出す学校が出てくる
③その先行事例はデジタルツールを使っているので各校でトレースが始まる
④各校の教育スタイルが割と均一化していく
⑤教育内容で差別化をしていくのが難しくなる

おそらく今後ICTを使った学習スタイルをいち早く確立させ、圧倒的に結果を出す学校が出てくると思います。(個人的に東京都市大系列の学校を注目しています)

ただその先行事例はデジタルツールを使っています。従来の教員スタイルは教員のマンパワーの比重が大きかったわけですが、新しい教育スタイルはツールを主軸にして、マンパワーの比率が下がるため、以前よりもトレースしやすくなるはずです。

デジタル時代において先行事例がトレースされるのは非常に速いと思うのでどこかのタイミングで教育スタイルは均一化し、各校で差別化をするのが難しくなるはずです。

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ではどこで差別化を図るか?
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こうなると各校が差別化を図れる部分はそれ以外の部分になってきます。

①行事内容の充実
②特色のあるプログラム(プログラムの授業など)
③合理的な校則
④部活動指導
⑤ブランド
⑥立地

最終的に上記の内容で差別化を図る必要が出てくると思うので、校則は比較的早い段階で検討を始めた方が良いのではないかと思っています。

先日文章にしましたが、全国レベルで校則のデータベース化が進められています。ますます早急な対応が必要になると思います。

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立地ってやっぱり大事だよね
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今後の学校を考えて上記の内容の差別化を図ることは大事ですが、個人的には立地に大きな魅力を感じています。

これはいまさら変えようがないのですが、「立地って大事だよね」と思った最近の2つの出来事をお伝えします。

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スマホ利用可能な自由時間の価値が上がっている
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とある生徒と話したときに「先生、僕この学校に入って良かったよ。だって駅から3分で近いからさ。〇〇高校に行ったら駅から20分歩くので3年間で何百時間違うよね」と言われたんです。

正直、今の学生はエンタメがたくさんあるんです。ゲーム・SNS・動画コンテンツ。

これだけの選択肢があるため、以前よりも自由時間の価値が上がってると思うんです。特にスマホを使える自由時間の単価が上がっています。

通学時間の中でも電車の中とかは問題ありません。スマホが使えるからです。でも一般道を歩きながらだとスマホは基本的に使用できません。そのため、この時間が短縮されることは生徒にとってメリットがでかいと思いました。

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近隣住民トラブルリスク低下
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どこの学校でも近隣住民とのトラブルを抱えていると思います。

ただ本校は圧倒的に近所とのトラブルが少ないです。「本校の生徒が品行方正なのか?」とも思ったのですが、理由は本校生徒と近隣住民との接する面積が少ないというものでした。

本校は最寄り駅から近いので、そもそも地域住民と本校の生徒が接する機会が圧倒的に少ないため、問題を起こすことが少ないわけです。

立地に思わぬ副産物があるのだなと思いました。

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とはいえ、まずは学習スタイルの確立を
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色々と先のことを書きましたが、まずは学習スタイルの確立を達成する必要があります。それ以降画一化が進んでしまうかもしれませんが、とにかくこのスタイルを構築していきたいと思います。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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