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23.展示会ブースでの注意・人気のあるブース、人気のないブース

台東デザイナーズビレッジのクリエイター達は、いろいろな見本市や合同展に出展してきました。その出展の様子をずっと見てきて気がついたことや、展示会の中でも人気で人が集まっているブースなどを見ていて、どうしてこんなに違いがあるのだろうと感じることがよくあります。出展していると気が付かないことでも、傍目で見ているとわかることもあります。

◆ブースをデザインする

年に2回開催される東京インターナショナル・ギフト・ショー。雑貨好きには最高のイベントです。これほど品揃えとクオリティが高い展示会は世界でも数少ないのではないでしょうか。
ギフト・ショーに足を運んでみると、同じような商品が並んでいても、人気のあるブースと閑古鳥が鳴いているブースがあることがわかります。
この違いは何なのでしょう。比較してみました。

p155展示の図


このうち、特に注意したいのが来場者の足を止めるためのアイキャッチ。
それは、ブランドによってはメイン商品かもしれませんし、イメージ写真かもしれません。しかし、とにかく足を止めてもらわなければ、商品の説明もできません。一番力を入れるべきポイントです。
アイキャッチやディスプレイでもっとも重要なのは、ブランドとしてのメッセージをいかに表現するか。デザイナーのこだわりがブース全体に行き渡り、そのブランドのコンセプトや特長を伝えられるものにすることです。
準備が終わった段階で、ブースから5~10m離れて見て、メインのディスプレイや商品の印象がぼやけていないか、コンセプトやテーマが感じられるか、さらに近づいたときに全体の統一感があるかを検証してみましょう。

忙しいバイヤーは、最初にブースをチラッと見て自分のショップのメイージに合うかどうかを判断するそうです。興味を引くディスプレイがあれば、見てもらえる確率が高まります。何もお金をかけろといっているのではありません。お金ではなく、センスを駆使して、手間をかけるのです。

そして、欠かせないのが人。やる気はあるが表に出ないとか、疲れているとか、そんなことはお客様には関係ありません。また、必死になって売り込むことがカッコ悪いと思っているなら、それは大きな間違いです。
バイヤーからすれば、売り込みに一生懸命さがないブランドからは買いません。無名なうちからカッコつけてばかりのブランドは、理屈先行で一緒に仕事がしづらいから。もっとも好感が持てるのは、センスが良くて一生懸命な出展者です。

◆ショップへの飛び込み営業

一時期、自動車に自社ブランドの商品を積んで、全国のショップを回って売り込むことで成功できるという話がありました。しかし、1日に回れるショップは2店舗ぐらいだとすると、50店舗訪問しようと思ったら1か月かかります。1か月分の人件費を考えれば、合同展のほうが効率的なのではないでしょうか。

いきなり飛び込み営業しても、バイヤーがいなかったり、接客中で迷惑がられたり、お店側も売り込みに対しては敬遠しがちで厳しい対応になることも多いのです。何店舗も回って、断られ続けているうちに、デザイナーは自信を失い、人間不信になり、ビジネスの意欲もなくなることもあります。
それならば、合同展出展時に好感触を得たバイヤーを訪問するほうが、さらに効果的です。そのブランドに関心があり、展示会で知り合いになっているので、わざわざデザイナーが地方まで来てくれる誠意がプラスに感じてもらえて、成約につながりやすくなるかもしれません。

◆展示会でのマスコミ対応

記者が展示会で何十社も見て回ると、トレンドに流されているブースには「また同じか~。もう飽きた」と食傷気味になってしまうそうです。逆に、ほかのブランドと明確に違うポイントをアピールしている「つかみ」のあるプレゼンは、新鮮に見えることが多いのだとか。
そして、記者も人間ですから、コミュニケーションと気配りが必須です。
デザイナーに人間的魅力を感じたり、好感を持てれば、記事にしたくなります
。そのためには、自分のことをきちんと語れるようなコミュニケーション能力はもちろん、ちょっとした気配りができなければならないでしょう。取材してもらっているからと卑屈になったり、接待しろということではありません。
人の話を聞くときにタバコをふかしながらとか、ガムを噛みながらとか、腕組みしたり、疲れた顔していては相手が不快になります。質問に対して斜に構えて皮肉な答えを返したり、カッコつけたり、ネガティブな雰囲気だったりするのも嫌な印

象。取材されて当たり前とか面倒くさいという印象を与えれば、二度と取材はしてくれません。若手らしく、元気に気持ちよく対応するというのがベスト。もちろん、感謝の気持ちも忘れないでください。

◆コラム:展示会はゴールではなくスタート

最近では、展示会で商品力とプレゼンテーション力の上位1~2 割の中に入れば成果が出ますが、中位~下位ではまったく注文がないということも起こります。これを防ぐには事前準備が必要です。
しかし、あまりにも短い準備期間でいろいろなことをやろうとすると、準備の段階で疲れ、展示会当日はグッタリしてしまうということがよくあります。徹夜で意識が朦朧として、バイヤーとの受け答えもできず、笑顔も作れないようではむしろマイナスになり、せっかくの展示会出展料をドブに捨てるようなもの。
準備段階では、早めのスケジュールで動くこと。時間がない場合は、まずこれだけはやるべきだという目標を決め、それがクリアできたらあとは余力で乗り越えましょう。一度準備は完了していますから、気持ちに余裕ができます。
目標の設定にも注意が必要です。やらなければいけないハードルが高すぎると、あれも終わらない、これも間に合わないと無理をすることに。それでも準備が間に合わなかったとしたら、当日自信を持って接客ができなくなってしまいます。徹夜で疲れ切った顔をしていても悪い印象を与えます。そのうえプレゼンも不十分だったとしたら、成約にはつながらないでしょう。
また、合同展に出展することをゴールのように考えてしまうクリエイターもいます。展示会に出れば必ず取引が始まると勘違いしているのです。合同展は自分のブランドに関心を持ってくれる見込み客とのきっかけ作りにすぎません。その後のフォローで成約につなげ、顧客からファンへと育てていくことが重要です
合同展に出て、せっかく名刺をいただいたのに、それをフォローしないのは、スタートラインにたったまま走り出さない陸上選手みたいなもの。ビジネスにつながりません。


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