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「ジャムの旅 〜ブラッドオレンジ〜」
2018年以来、4年ぶりの宇和島になる。
あの年は夏に西日本豪雨災害が発生し、
今回訪れるブラッドオレンジ農家の児玉恵さんも被災した。
僕も復旧作業のボランティア活動に参加したが、その時の惨状はショッキングだった。
自然災害と常に隣り合わせの農家という仕事。
パティシエとしてどう農家さんと付き合っていくのか?考えさせられた。
あれから4年、児玉さんに久しぶりに会える。楽しみだ。
ブラッドオレンジを宇和島の特産にした第一人者、児玉恵さん。
バイタリティに溢れ、ユーモアたっぷりのカッコいいおじさんだ。
まだブラッドオレンジの知名度がなく、栽培を始めた頃はまわりの同業者からも白い目で見られたそうだ。
だって
「ブラッドオレンジ」=「血のオレンジ」
だからね。ちょっと物騒なイメージ。
ブラッドオレンジの主な産地はイタリア地中海だが、温暖化による気候変動で、ここ宇和島でもブラッドオレンジ栽培ができるんじゃないか?
そう感じた児玉さんは、周りの目も気にせずブラッドオレンジ栽培に踏み切る。
かっこいいね〜!
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久しぶりの再会も束の間、すぐに軽トラの荷台に乗せられ、高台にあるブラッドオレンジ畑に向かう。
僕は荷台で、愛犬のワンちゃんは助手席だった…。(笑)
まぁ、これもいつも通り。
なんだか懐かしくて嬉しくなった。
1月だがお日様が出ている日中はポカポカで、急斜面のブラッドオレンジ畑から眺める宇和海は穏やかだ。
そう、急斜面なのだ。
海岸線で平地は少なく、すぐに山の斜面が立ちはだかる。
傾斜30度、標高200mの所にブラッドオレンジが赤々と実っている。
以前もそうだったが、今回も軽トラからモノラックと呼ばれる滑車に乗り換え、この急斜面を児玉さんと僕、そして愛犬のワンちゃんと一緒に登っていく。
これ高所恐怖症の人には無理だろ…。
下から見るよりも相当急に感じる。
ガタッ、ガタガタッ‼︎
ヤバい音を立てながらどんどん登る。
大丈夫なのか…
ふと滑車の錆びた注意書きが見えた。
「人は乗らないで下さい」
っておい!
本来は収穫した果実を運ぶ役割みたいだが…
なんとか転げ落ちずにブラッドオレンジの木の下にたどり着いた。
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標高200mのブラッドオレンジ畑からは、穏やかな宇和海に浮かぶ島々も綺麗に見えるのだが、30度近い傾斜から転げ落ちないように踏ん張るのがやっとだった…。
なるべく南向きの、太陽の光をたくさん浴びた真っ赤な果実を選んで収穫させていただいた。
それにしてもいい香りだ。
「やっぱり収穫したては香りが抜群やね!」
長年ブラッドオレンジと付き合ってきた児玉さんでもそう感じるんだ。
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しかしこの急斜面での重労働を長年続けてきたなんて…。
児玉さん、尊敬します。
「生産者の大変さを実感できたでしょ?」
「ここから先、ブラッドオレンジの素晴らしさや生産者の苦労を伝えていくのは、あなたの仕事だよ。」
児玉さんの言葉に身が引き締まった。
収穫したてで旬ど真ん中のブラッドオレンジの香り、児玉さんの熱い想い、宇和島の温暖な空気感、すべてを閉じ込めた濃厚なジャムが出来上がった!
宇和島を出て、次は瀬戸内海に浮かぶ岩城島を目指す。
11月のレモン収穫に続いて今回は…。
楽しみな素材に出会えそうだ!
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