「ジャムの旅」〜愛媛編〜
11月中旬、秋も深まったとはいえ、温暖な日差しが降り注ぐ愛媛県の瀬戸内海へ。
「青いレモンの島」と呼ばれるのは瀬戸内海に浮かぶ岩城島。
一つも信号がないのどかな島には、いたる所に青いレモンが実っている。
青い⁉︎黄色じゃなくて?
って思うかもしれないけど、レモンは最初青くて、成熟するにつれ徐々に黄色に変化していくのだ。
時々思うのだが、正確には「緑」なのになんで「青」って言うのかな?
信号も「緑」なのに「青」って言うし…。
青菜も緑色の葉っぱでしょ?
青いレモンも英語で訳すと「グリーンレモン」となる。
なんでだ?(話がそれたな…)
パティシエとしてお菓子作りやデザート作りをする中で、レモンという素材はとても身近で、皮の香りを楽しんだり、素材の酸味を補ったり。よく使う。いや毎日使う。
ということで3年前、生産者の「ブルーレモンファーム」の古川さんを訪ねてみた。
(あれ?こっちはブルーって言ってるな……もういいか)
レモンの収穫が始まる11月頃のレモンはまだ青い。
この時期のレモンは香りがよく酸味もしっかりしている。
黄色になるにつれ香りも酸味もまろやかになっていくんだそう。
同じレモンでも季節による味の変化を楽しめるってことか。
以前よく通っていたバーは、季節ごとのレモンで作るレモンサワーが名物だった。
そういう楽しみ方、好きだな。
普段、各地の農園を訪れた際は、木になっている果実をそのままがぶりとやっちゃうんだけど、さすがにレモンはきつい…。
と察してくれたのか古川さん、岩城島でこのレモンを食べて育った「レモンポーク」を用意してくれていた。
バーベキューだ‼︎
脂がのった肉厚のお肉に香りのいい青レモンを絞っていただく…。
「旨いっ‼︎」
レモンポーク最高‼︎
これ以上の楽しみ方あるのか⁈
(いやいや、このレモンを使って最高のジャム作るんでしょ、あなた…)
あれから3年後。
「ジャムの旅」で戻ってきた。
正直、レモンオンリーのマーマレードはちょっと苦手だ。ストレート過ぎるというか、毎日という感じではない。
どうしようか?
ちょうど旬で、芳醇な香りがする洋梨のラフランスを長野県の「やまさ農園」さんから送ってもらい、この青レモンと組み合わせることにした。
レモン×洋梨
この組み合わせ、レストランのデザートでもよく作る僕のお気に入り。
今回も朝イチのレモンを収穫すべく、レモンのビニールハウスの中でテント泊だ。
畑でのテント泊ももう慣れたもので、5分で設営完了。
(テントの色もお揃いのレモン色…)
ハウスの中にはレモンだけでなく、古川夫妻が家で食べる用の野菜や果物も植えてある。きゅうりにみかんにたくさんあるな。
「夜、お腹空いたら好きに取って食べていいよー。」と古川夫妻。
「このみかんは何ですか?」
「これはね、紅まどんな。自由に食べていいからねー。」
「えっ⁈あの高級みかんでめちゃくちゃ美味しいやつやん!」
レストランでも年に一回使うか使わないかの高級みかん。
果肉がゼリー状でとろとろ。
晩ご飯用で買ってきたカップラーメンは食べずに、紅まどんなで腹を満たした。紅まどんなで白飯3杯はいける。贅沢。
2日目は朝イチから収穫。
さっそくジャム作りへ取り掛かる。
柑橘は下処理に時間がかかるんだけど、今回はブルーレモンファームの女性スタッフの方たちが手伝ってくれた。スケジュールがタイトだったので助かった〜!
普段の島の暮らしやレモンの事、お菓子作りのコツなんかもワイワイ話しながら、楽しいジャム作りの時間はあっという間に過ぎていった。
青レモンの清々しい香りと、若いがゆえの青臭さも、洋梨の繊細な香りと相まって美味しいジャムがたくさん出来上がった。
毎回感じるんだけど、こうして生産者さんや地元の方々との交流しながらの「ジャムの旅」は、短い時間とはいえ濃密で、別れ際は思った以上に寂しくなる。
もっとたくさん話したいし、もっといろんな表情の景色を見たい。
どうすればそういう働き方を実現し、継続していけるのか?
来年からは「ジャムの旅」以外にも、少しずつ可能性を探っていこうと思う。
今回も好奇心旺盛な「ブルーレモンファーム」の古川夫妻、そしてスタッフの方々にたくさんパワーをもらったので、そのパワーを次の「ジャムの旅」に生かしたい。
次は青森県弘前市に向かうぞ!
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