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やんばるで「ちむどんどん」してきた話。
「胸がワクワクする気持ち」を沖縄方言で「ちむどんどん」というらしい。
NHKの朝ドラでやってますね。
「ちむどんどん」する、で使い方合ってるのかな…。
東京から1泊2日の弾丸「ジャムの旅」。
これだけでも十分「ちむどんどん」状態なのだが、出会う人、出会う素材、出会う景色が濃すぎて、
「マジ超ちむどんどん」
状態になっていた。(沖縄でちむどんどんってまだ聞いたことないけど…)
梅雨がまだ明けていない6月中旬の沖縄。
空港に着くとなんと晴れているではないか!
南国の日差しと、関東とは比べ物にならない高い湿度。
肌にまとわりつくような暑さで、じんわりと汗がにじむ。
「海入りたいな〜」(ジャム作りたいな〜、とはならない…)
「やんばる」とは聞いたことあるけど、実際には沖縄のどのあたりを指すのか?
沖縄本島北部の地域を「やんばる」と呼ぶそうだ。
空港がある南部の那覇近郊は都会で観光地ムードがあるが、車を北に走らせると徐々に雰囲気が変わる。
緑が生い茂り、そこから見える海は南国のそれ。エメラルドグリーンだ。
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まずは「ちむどんどん」な人について。
先月の沖縄視察からたくさんの魅力的な人に出会ったが、今回はこの2人を。
山パ農園の福井さん
農園名が「山パ」ってまず面白い。
パッションフルーツの「パ」、パイナップルの「パ」らしい。
「山」はなんだっけ?忘れた…。
僕と同じ関西出身で、初めて会った瞬間から気が合った。
日本各地を巡って出会った生産者さんは、みなさんそれぞれ個性的。
寡黙で職人気質。
陽気で楽天家。
変態的なマニアック。
福井さんは…。また新しいタイプだな。
冗談言ってのらりくらり。
でも彼が作るパッションフルーツは本物だ。
その香り、酸味、ジューシーな果肉。
情熱的(パッション)だ!
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パッションフルーツは熟すと自分から実を落とすのだ。マンゴーと同じだな。
午前と午後、1日2回収穫する。
落ちた時に果実が傷つかないように、地面にはふかふかした藁のようなものが。
これはサトウキビを絞ったあとに出るカスらしい。
へぇ〜、これは捨てるものをうまく活用しているな。
福井さんの知恵、素晴らしい。
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クックハルの芳野さん
「クックハル」は沖縄やんばる素材を味わえる、芳野さんが経営するレストラン。
東京から沖縄に移り住んで20年。
日々、畑仕事に向き合い、やんばる素材を通じて人と人を繋いでいる。
今回のジャム作りの加工場を提供していただいた。
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「このスパイスは面白い香りがするね!」
「この香りは何に合うかな?」
「こんなフルーツ知ってる?」
好奇心旺盛で、新しい素材にはしゃいでいる芳野さんはとてもキュートだ。
自分もこんなおじさんになっていけたら素敵だな…。
とにかく今まで見たこともないようなスパイスやフルーツ、野菜がどんどん出てくる!
作り手としては好奇心が刺激されてワクワク、ドキドキ、そわそわ。
あれも作りたい!これも作りたい!となってくる。
そういうとこくすぐるのが上手だな〜。
「まだまだ氷山の一角ですよ!これから沖縄に通ってくださいね。」
もちろん通う気満々ですよ!
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そして「ちむどんどん」な食材について。
山パ農園の福井さんのパッションフルーツだけでも十分魅力的なのだが、今回は芳野さんから紹介された素材を組み合わせてみた。
摘果された青マンゴー
みんながイメージする沖縄マンゴーは、甘〜く熟したアップルマンゴーだ。
それを作る過程では養分を集中させ、実を大きくするために「摘果」という作業がある。
これは柑橘でもりんごでも葡萄でも同じ。
一般的に摘果した果実は廃棄されるが、この未熟な青マンゴーを食べた時、
「酸っぱいけどめちゃくちゃいい香りだ!」と感激し、
「ぜひ使わせてください!」となった。
沖縄産自家製ターメリック
芳野さんは「にわかスパイス研究部」なるものを立ち上げている。
加工場の裏には数えきれないくらいのやんばるで採れたスパイス素材が置かれている。
見たことないもの多い。
その中で僕はターメリックをチョイス。
鮮やかな黄色がパッションフルーツに、ほんのりと土臭い香りが未熟の青マンゴーと合いそうだ!
結構やんばるの勢いに押された感じの、個性的なジャムが出来上がった。
こんなのがあってもいいよね。
ポークカレーとかに添えたら面白いかも!
やってみよう。
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最後に「ちむどんどん」な体験を。
朝からのパッションフルーツ収穫に備えて今回もテント泊だ。
晴れ間もあり暑く、湿度も高い夕方。
山パ農園内に大汗をかきながらテントを張った僕は、近くの風呂で汗を流すことにした。
「じゃ、帰ってきたらバーベキューしましょう!適当な食材揃えて火を起こしておきますね!」
と福井さん。
こんなもてなししてくれるなんて嬉しいな〜。
風呂から帰ると、なんだか雲行きが怪しくなっていた。
ひと雨きそうだな…。
なんて思いながら基本「まあ、大丈夫っしょ!」の男2人はバーベキューを始める。
福井さん特製の「山パスープ」に「アルゼンチンソーセージ」が旨そうな香りを放っている。
風呂上がりのオリオンビールも美味しい!
すぐ来たね。
とんでもない大雨が…。
屋根なんてないからスープにもソーセージにも容赦なく雨が降り注ぐ。
切り分けたバゲットはもうふにゃふにゃ。
お風呂でさっぱりした体がたちまちずぶ濡れに…。
それでも僕たちはずぶ濡れの中、大笑いしながら美味しくいただいた!
そんなとんでもないずぶ濡れの中、
「赤ワインも開けます?」
福井さんの一言がウケた(笑)
ピタッと雨が止んだ瞬間、雲の切れ目から幻想的な満月が顔を出した。
「うわっ!すげ〜!」
幼稚な形容詞が男2人の口から漏れた。
こんな体験したらもう沖縄に夢中になっちゃうじゃないか!
バーベキューならよく晴れた空の下、冷たいビールを飲みながらワイワイやるのが一番なのかもしれない。
デザートを食べるなら都会のおしゃれなパティスリーで堪能するのが一番かもしれない。
旅行なら事前に組まれたツアーで、間違いのない観光地を巡るのが快適だろう。
でも今回みたいなちょっと不便でストレスのかかる体験って、この先ずっと何倍も記憶に残る。
そんな特別で一期一会な「食の体験」を生み出していきたい。
僕が作るジャムやデザートでみんなを「ちむどんどん」させたいのだ!
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なんじゃそりゃ?めっちゃ美味かったけど。
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