150年もデータ保管される遺言書、考えたらエモすぎる|もうすぐ4年「自筆証書遺言書保管制度」
4年前の2020年7月10日。自筆証書遺言書とその画像データを法務局で保管する「自筆証書遺言書保管制度」がスタートしました。制度開始から4年たった今、制度利用状況はどのようになっているのでしょうか。調べてみました。
遺言書の種類
遺言は、自分の財産を「誰に」「どのように」遺したいか、自分の意思や想いを伝えるための手段です。
手段にもいろんな方法があるのですが、現在主に活用されているの方法は、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」になります。
「自筆証書遺言」というのは、文字通り自筆で書かれている遺言書です。①自宅等で保管しておくか、②法務局で預かってもらう方法があります。
「公正証書遺言」は、公正役場で証人2人以上の立会いの下、作成してもらう遺言書をいいます。今回は、「自筆証書遺言」の中の保管制度のお話です。
制度の概要(BEFORE)←遺言を遺したい人ができること
「自筆証書遺言書保管制度」って、簡単にいうとどんなことができるんでしょうか。ざっくりいうと、自筆で書いた遺言書を法務局が保管してくれるという制度になります。「頼むねー」って保管をお願いできて、保管料は3,900円のみ。サンキュー法務省。
実際、遺言書を法務局で預かって欲しいなと思った時にできること(BEFORE)はこんな感じです。
自分で書いた遺言書を法務局が預かってくれるので、せっかく書いたのに見つからなかったとか、気づかずに捨てられてしまったりとか(紛失)、誰かに勝手に書き換えられる(改ざん)などの恐れはありません。
制度の概要(AFTER)←相続人の方などができること
相続開始後にできること(AFTER)はこんな感じです。こちらは遺言を書いた人ではなくて、その方がお亡くなりになってから相続人の方などができる手続きです。
遺言書の保管期限はなんと150年
遺言書は、原本に加え、画像データとしても長期間適正に管理されるそうです。原本は遺言者死亡後50年間、画像データは同150年間の保管とのこと。
…150年後にデータがあるかどうかは、誰も確認ができないのですが、これは私たちの子孫にお任せしましょう…。
ちなみに2010年6月1日の改正により、「住民票の除票」と「戸籍の附票の除票」の保管期間も150年になっています。この150年に合わせたものなのかどうかは分かりませんが、遺言の画像データも150年となっているようです。
自分の死後も150年間データがこの世に存在しているのは、なんというか、今風にいうと少しエモいかも知れません。
実際に制度利用した人はどれくらい?
自筆証書遺言書保管制度を利用している方は、2024年5月までで累計で7万5,068件。自分で書いた後にもう一度「見せて」という閲覧請求した件数は290件だそうです。
実際に相続が開始され、
・遺言書情報証明書の交付請求は5,004件
・遺言書保管事実証明書の交付請求は7,044件
・遺言書の閲覧請求は44件
となっています。
既に届けられた言葉が5,000件以上あるのは、良かったなと思う一方、切ないなとも思ってしまいました。
こちらのmagazineで、実際に遺言を書かれた方の記事をまとめさせていただきました。
遺言書に関する記事
・遺言書の種類と年間作成件数
・「遺言書、書いておいたらいいかもよ!?」というケース
・いつ開始?デジタル遺言制度
・7月10日でまる4年「自筆証書遺言書保管制度」|150年もデータ保管されるの、考えたらエモすぎる
・船上での遺言書
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